風のマジム

劇場公開日:2025年9月12日

解説・あらすじ

南大東島で育つサトウキビを使ったラム酒作りに挑戦し、契約社員から社長になった女性の実話をもとに、人気作家の原田マハが執筆した小説「風のマジム」を、伊藤沙莉主演で映画化。

那覇で豆腐店を営む祖母カマルと母サヨ子と暮らす伊波まじむ。祖母がつけた「まじむ」という名は、沖縄の方言で「真心」を意味する。ある時、祖母とともに通うバーでラム酒の魅力に惹かれ、その原料がサトウキビだと知ったまじむは、契約社員として働く通信会社「琉球アイコム」の社内ベンチャーコンクールに、南大東島産サトウキビを原料としたラム酒製造の企画を応募する。やがてその企画は、家族や会社、南大東島の島民をも巻き込む一大プロジェクトへと発展していく。

主人公まじむ役を伊藤が演じるほか、まじむの祖母役を高畑淳子、母役を富田靖子、まじむが通うバーのバーテンダー役を染谷将太がそれぞれ演じる。監督は広告やショートフィルムを手がけ、本作が映画初監督作となる芳賀薫。

2025年製作/105分/G/日本
配給:コギトワークス、S・D・P
劇場公開日:2025年9月12日

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映画レビュー

4.0 私も真心を大事に仕事をしたいと思った

2025年9月22日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

癒される

あーーー良いものを見た。
沖縄の優しい風がずっと作中吹いていて、最後らへんはずっと胸がいっぱいになり、涙目になりながら見ていた。

沖縄のサトウキビを使ったラム酒作りに挑戦し、契約社員から社長になった女性の実話をもとに執筆された小説の実写版。
原作は未読ですが、おもしろそうだなと思っていたのと、虎に翼以降伊藤沙莉ちゃんの演技に飢えていたので鑑賞。

いやーー良い。
映画館の上映数が少ないのが本当にもったいない。
主人公のマジムが、最初は契約社員の私なんかと自分で自分のことを軽視していたのに、徐々に自分の意思をしっかり持ち、行動し、信念を貫く人間に成長していく過程がかっこいい。

こういう役をやらせたら100点満点の沙莉ちゃんの脇に、こういうおばあ役の高畑純子さんと、母親役をやらせたら100点満点の富田靖子さんがいて、最強の布陣。ずっと見ていられる。
クスッと笑えるところとじんわり心に響かせる塩梅がうまいのなんのって!

さらにその周りに「宝島」とはガラリと雰囲気の違う尚玄さん、スパイス役のカフカさんの職場の人間たちと、優しいバーテンダー染谷くんと、あなたと仕事がしたいと一瞬で思わせられる遠藤賢一さんがいて一切の隙がない。

鑑賞後、私も仕事頑張ろうと元気が出る作品でした!私も沖縄産ラム酒飲んでみたい!

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AZU

3.5 主人公の決断を肩肘張らず柔らかな風に乗せて描く

2025年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

あまり肩肘を張らず、穏やかな気持ちで飛び込める爽やかな作品である。朝ドラですっかり国民的女優に昇り詰めた感のある伊藤沙莉だが、本作で演じるのもやはり「何かを成し遂げる人物」。しかし両者が同類かというと、だいぶ異なる。こちらの主人公はかなり直感型だ。論理的に考えるというよりは、まずは感じたままにサッと決断して、風のようにビュウと動く。ただし「まじむ(真心)」という名の通り、その一挙手一投足にはいつも気持ちがしっかり込められている。常識に縛られない。そして「おばあ」から受け継いだ思いを何よりも大切にしている。おそらく彼女にとって理屈は後から追いついてくるものなのだろう。実はこの先例のない沖縄産ラム酒造りに挑もうとする主人公には実在のモデルがいて、原作者の原田マハは彼女に惚れ込んで小説執筆を決意したのだとか。そういった他者を魅了する芯のある人間味を、本作でも伊藤が雑味なく真っ直ぐに体現している。

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牛津厚信

3.5 「ラム酒」と「酒造り」にも愛と真心を

2025年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

2025年9月は本作と「宝島」、沖縄を舞台にした劇映画が2本立て続けに公開された。フィクションではあるが、この「風のマジム」では21世紀の那覇や大東島の人々の暮らしぶりに、そして「宝島」では米軍統治下の沖縄で抗い模索した若者らの姿に触れて、観客の多くは沖縄をより身近に感じられたのではないか。

原作は原田マハの小説で、実話に基づく。那覇で暮らす若い女性会社員・まじむ(伊藤沙莉)が、サトウキビを原料とするラム酒の美味しさと、沖縄県産サトウキビで作るラム酒がないことを知り、社内ベンチャー企画公募を機に「南大東島産ラム酒造り」プロジェクトを立案、さまざまな困難を乗り越えながら実現に向けて奮闘する姿を描く。ちなみに、もともと沖縄電力傘下の通信会社社員だった金城祐子さんが企画を実現させ、南大東島産ラム「CORCOR(コルコル)」を生み出した話がベースになっている。

女性主人公が興味を持った未知の分野に根気強く挑み、前例のない挑戦に消極的な周囲の人々をも巻き込んで、大きな夢や目標を実現していくという大筋は、伊藤沙莉の代表作になった2024年のNHK朝ドラ「虎に翼」に通じる。小柄ながらエネルギッシュで明るくポジティブな伊藤のイメージが「虎に翼」と同様、まじむのキャラクターにも活きている。

ただし、酒好きの一人として残念なところもある。まず、ラム酒自体の魅力を伝える描写が少ないこと。砂糖精製時に出る廃糖蜜を原料とする伝統的なラムに対し、サトウキビ汁で作る貴重なアグリコールラムの味がどう違ってどれくらい美味しいのかを、もちろん味そのものを伝えるのは不可能ながら、香りや味わいを体験したときの表情や言葉に、照明や音響効果もあわせた映像でもっと印象的に表現することはできなかったか。また、ラム酒造りの工程を映像で描くこともなく、醸造家・瀬名覇(滝藤賢一)の参加が決まったあとの蒸留所での描写もごくわずか。ラム酒造り未経験のチームが新商品を開発するのだから、理想の味に近づけるための試行錯誤も相当あったはずで、それも興味深い見所の一つになり得たのでは。映画の作り手がラム酒と酒造りにも愛と真心をもっと注いでくれたらよかったのにと思う。

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高森郁哉

3.0 初志貫徹

2025年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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共感した! 19件)
ひでちゃぴん