ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女のレビュー・感想・評価
全54件中、1~20件目を表示
それにしても、邦題の浅いことよ。。。
2024(日本は2025)年公開、ドイツ・オーストリア・スイス・イギリス映画。
【監督】:キリアン・リートホーフ
【脚本】:マルク・ブルーバウム、ヤン・ブラーレン、キリアン・リートホーフ
主な配役
【ステラ・ゴルトシュラーク】:パウラ・ベーア
原題は、『Stella. Ein Leben.』(ステラ。ある人生。)
というらしい。
邦題は、「ある人生」にあたる箇所を、
「ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」とした。
本作を鑑賞して、邦題の浅さが気になった。
ステラは、確かに密告した。
密告し続けた。
英語版wikipediaでは、600人〜3000人とされている。
結局、両親も救えなかった。
戦後、ソ連で10年の懲役に服し、
ドイツに帰国後も裁判が待っていた。
旧友はステラに対して、
「悔いてくれ」
と悔恨の態度を示すことを強く諭す。
だが、ステラは意に介さず、能天気な会話を続けようとする。
ステラは、ただ、忘れたかったのではなかろうか。
確かに加害者であったが、
被害者であったことも事実だ。
ステラが受けた拷問や性的な虐待に対して、
誰なら耐えられたというのだろうか。
裁判時には、精神疾患の疑いも指摘された。
映画のラストに紹介された彼女の最期を思うと、同情を禁じ得ない。
まあまあ過激な性描写もあり、
ステラ役の女優さんは、実物の写真とはまるで異なる。
もっと、
内的な要素に踏み込んだ作品だと良かった。
☆2.5
悲しい女性だなぁ
アウシュビッツの映画は数限りない。
どの映画もあまりの残虐さに目を覆うような内容だ。
でも,今回はもっと辛いテーマだった。
ステラは身勝手な女性だけれど、自分なりには大切な人を救おうとしていた。最後に裁判にかけられる。彼女のせいで身内が死んでしまった人たちの恨みを一身にうけ、無実になったとはいえ,悲しい生涯をおえる。
彼女は拷問されたり脅されたりして少しずつ密告者になっていく。彼女は決して悪人じゃない。けれど侵した罪は罪なんだと思う。戦時下で人が人でなくなっていくことが本当に悲しい。
君たちに過去の責任はないが繰り返さない責任はある
アメリカでジャズ歌手になることを夢見たステラ。
冒頭のシーンで、ジャズ仲間と演奏の練習をしているシーンがとても爽やか。
それなのに・・・・・・
ユダヤ人として生まれたばっかりに、ナチスに追われ、工場で働かされ、ナチスに拷問を受
ける。夢も希望も一気に吹っ飛び、家族も仲間も、アウシュビッツ送りの運命を背負うことになる。
彼女が生き残るためにとった手段は、同じユダヤ人の居場所を密告すること。
もちろん彼女が望んだことではない。誰が生き抜くためとはいえ、密告者になるだろうか。
ナチスからも同じユダヤ人からも罵倒され、生き延びることが居場所を失うこととイコールになる。何ひとつ自らが悪いことをしようとは思っていなかったのに、いつのまにか戦犯呼ばわりされ、裁判にかけられる。
最近のドイツ映画は、そんなナチスの理不尽極まりない世界を、これでもかと剥き出しにする。
君たちに過去の責任はないが
繰り返さない責任はある
ラストのテロップに映し出された、強制収容所からの生存者の言葉が胸に響く。
「被害者か加害者か」…いや、加害者だったことは否めないでしょう。 ...
「被害者か加害者か」…いや、加害者だったことは否めないでしょう。
世が世であれば、ジャズシンガーとして成功していたかも知れなかったステラ…。
もちろん、彼女も戦争の被害者なのかと問われれば、むろん、「被害者」の一人ではあるのでしょう。
そして、彼女の戦争責任を裁いた法廷が結果としては「実質的には無罪」の判決を下したのも、おそらくは、その意味なのでしょう。
そう、受け止めました。評論子は。
まして、彼女にはジャズシンガーとして返り咲きたいという切なる願望が、常に心中を去来していたことでしょう。ナチスによって、工場の強制労働(?)に動員されてからも。
そして、その願望のためには(ユダヤ人には見えないことを巧みに利用して?)ナチスの将校に取り入ってしまえば、あとは同胞を売るところまで転落(?)するのは、時間の問題だったのだろうとも、評論子は思います。
ときに、いったんはナチスに占領されたパリでも、連合軍によって解放された後には、パリ市民は、占領中にナチス将校と親密な交際のあった女性を引きずり出し、衆人環視の中で、頭髪を丸刈りにするという、見せしめが行われたとのことです。
一方で、彼女たちにしても、占領時代を生き抜くには、ナチス将校と取り入る以外に、解放後の時代に希望をつなぎ、生計の途を確保する術(すべ)がなかったことには、多言を要しないでしょう。
ステラが、何とか生き延びて、再びジャズシンガーとして返り咲こうと足掻(あが)いていたのと同じように。
それだけに、本作のおしまいで語られる「君たちに過去の責任はないが、繰り返させない責任はある」という、ダッハウ強制収容所の生存者というマックス・マンハイマーの箴言も、その結論を裏づけるものとして、監督など、本作の製作者によって引用されていることも、疑いのないこととも、評論子も思います。
とはいえ、とはいえ。
そういう本作の「落とし処(どころ)」とは裏腹に、何か釈然としないものを禁じ得ない評論子でもありました。
それは、単に評論子には「右の頬を打たれたら、左の頬も差し出せ」というような寛容の精神が足らないだけなのかも知れませんけれども。
しかし、わが身可愛さ(アウシュビッツ送りを避けるため)とはいえ、そのために同胞を売ってまで…というのは、いかがなものでしょうか。
その点で、彼女が加害者であったことは、払拭しさることのできない要素でもあると、評論子は思います。
そして、密告者に転落してゆく彼女のその葛藤が、作品全体の描写からは充分には窺われないことが、本作の映画作品としての底の浅さになっているようにも思われ、評論子的には、佳作としての評価は無理(良作止まり)と思います。
ところで、「天知る、地知る、己(おのれ)知る」という箴言がありますが、彼女の場合にも当てはまる箴言だったと、評論子は、本作を観終わって、思います。
この箴言は、「「誰も知らないと思っていても、天も地も、自分も、そしてあなたも知っている。だから、隠し事(=悪事)はいつか必ず露見する」という意味のことわざです。この言葉は、中国の後漢時代の政治家、楊震の故事に由来します。楊震が賄賂を受け取ろうとしない際に、相手が「誰も見ていない」と言ったのに対し、楊震が「天も知っている、地も知っている、私も知っている、あなたも知っている」と答えたという逸話によります。(Wikipedia)
最後の最後に、二度目の企図として成功したという、彼女の自殺は、彼女自身が自らが加害者であったと認識もしていたことを雄弁に証言して余りがあったように、評論子には、思われてなりません。
自分の選択の誤りを認めた訳ではない
歴史を知る上で、勉強になる作品でした。同じ時代を生きた友人たち。裁判での出来事が彼女を蝕んで行く。
一緒に鑑賞した方が「面白かったが、直接の性描写が多過ぎる。1、2回観ればどういうことか分かるから、あとはいらなかった」と言ってました。魂が感じられる演技は素晴らしく、作品に説得力をもたらしてますが、確かに演出に好き嫌いはあるのかなと、思いました。
彼女はカポーよりもスパイに当たる。重罪!なのに。
フィクションである。そう思う根拠は
東ドイツだと言う理由だね。
疲れた。
出て来るユダヤ系ドイツ人男性は架空の人物。
また、
彼女の詳細を知る者はいない。どこで裁判を受けたかも定かではない、
そして、その東ベルリンって事が少し気になる。
モサドがこの女性に何故手を出さなかったか?
ドイツがパリを占領した時に、パリジェンヌがナチスドイツの将校に身体を売った。ドイツ敗戦後、彼女達は髪の毛をそられ丸坊主にされた。中には本当に恋愛した女性もいたと聞く。
モサドがこの女性を放って置くわけが無い。東ベルリンで捕まったからモサドも手を出せなかったのである。
彼女が惨めなのはドイツ人に利用されて、最後は東西ドイツ為に東側から西側へと。そして、一人孤独に死んだ事だね。自死?
ゲルマン系のドイツ人が、ユダヤ系の女性の道徳観をとやかく言うべきではない。悪いのはヒトラーだけじゃなく、ナチスドイツ人なんだらか。この演出家のDNAにも流れていないとは限らない。
悲惨すぎるWW2時のドイツに住むユダヤ人の現実を生々しく
冒頭の明るいジャズバンド&ボーカルシーンのみ救われる気持ちになるが、
冒頭だから救われるとかではなく、明るいムードはあるが、
ナチスによるユダヤ人逮捕が深刻化してくると、途端にムードが暗黒に一変する。
史実やその時代の実際の映像やナチスを扱った映画を観ても
想像を絶する悲惨な状況だが、本作はそれをユダヤ人ステラの視点で描いており、
実に生々しかった。
ステラがゲシュタポの手先になり同胞の逮捕に協力するに至った変遷を見るに、
誰がステラを否定することができるだろうか?
ナチスによる顔面に傷を負い、歯も抜かざるを得ないダメージを与えるほどの拷問を受け、
絶望せずに生き延びるには、ステラがとった選択は理解できる。
ユダヤ人同胞はステラを軽蔑するが、ステラと逆の立場だったらみんなどうするのだろう?と
思いながら観ていた。
後半、戦後にステラは裁判にかけられるが、自由を得る。
戦後すでにソ連による10年間の禁固刑を受けており、ようやく刑期を終えていたからだ。
しかしながら、ステラの思い・精神状態が自由になって喜ぶといったことはなく、
ずっと心に傷を持ち続け、自死をもって人生を終えるステラの生き方に、
どうしようもなく悲しい気持ちになった。
WW2を取り扱う映画は毎年それなりの本数が公開されているが、
今なお平和にならず各地で戦争が起きている実態について、考えさせられる機会にもなっている。
もう本当に戦争なんてやめてしまって、本当の平和が訪れてほしいと心から思う。
「あなたならどうした」の問いかけの強さ
主役のパウラ・ベーアがとても魅力的
これ邦題の副題がひどくありませんか。
「ステラの生き方」とか「ステラという女」で良くないかな。
ヒトラーなんて全く出て来ないのだから。
主役のパウラ・ベーアがとても魅力的。スレンダーでありながら、とてもコケティッシュです。
意外なのは、密告者になる前のステラの苦難を描くに2/3の時間を使っていたこと。
だからこそ、密告者になったステラが密告をすればするほど、どんどん綺麗になっていくし、豪奢になっていくし、楽しそうになっていくことが、心底恐ろしく感じられました。
パウラ・ベーアの演技が輝き過ぎていて、私には他の役者の印象がほとんど残らなかったです。
被害者でもある加害者。
極限の状態に陥れば、私も密告者に直ぐなってしまいそう。
限り無い絶望感
自分の人生の為に
時は第二次大戦。ゲシュタポに捕まったユダヤ人女性が同胞を売る密告者となったことで生き延びるが、戦後裁判にかけられ…といった物語。
ジャズバンドで楽しく過ごすも、徐々にナチスの不穏な空気が町を包み…。自身にも危険が迫る中、偽造パスポート職人のロルフとの出逢い。
出逢って5秒で合tt…って、イケメンなら何でもアリかよ!!…という冗談はさておき、うまくいっていたかに見えた偽造パスポート生活にも暗雲が。。
彼女は加害者か被害者か…。
何とも回答に困る問いですね。確かに許せない気持ちもあるが、同じ立場なら皆さん彼女と同じようにしてしまうのでは無いでしょうか?
仲間を売るくらいなら死んだほうがマシだ!!…なんて軽々しく言えるのは平和ボケの環境に身を包まれているからであって…。勿論ワタクシも。
あとは、美形の彼女は図らずも女であることで生き延びられ…。ソ連に10年云々…あの時の視線もやはり"買収"が行われていたのかな?なんて思ってしまう。
こんなご時世でなければ、それだけで大分お得な人生を送れていただろうに。
とにもかくにも「生きたい」と思うのは皆同じなわけで、幾つもの偶然が重なったこの行動の結果に対する答えは難しいと感じると共に、どうか今この時代からも戦争がなくなり平和が守られる世界になってほしいと改めて思わされた作品だった。
ステラはゲシュタポに逆らって死ねばよかったのだ、と誰が言えるのだろう。
先日NHKでウクライナの女性兵士の特集があった。
5メートル先に敵兵がいて、目が合ってしまったら、もう銃の引き金を引けなくなるという発言があった。
たとえ自分自身や家族が殺されるかもしれない状況においてさえ、たやすく人を殺すことなど出来ないという描写だった。
しかし、ユダヤ人というだけで、殺すことの容赦のなさはいったいどこから来るのか?
(人は特定の個人を簡単には殺せない。しかし、憎しみの対象である人の属性を滅ぼすことには喜びさえ感じるのかもしれない。)
ステラも最初から躊躇なく、同胞を売ることを受け入れたわけではない。
一つ裏切り、二つ裏切り、そのうちに数百人をナチスに密告してしまうさまは、自分だったら逆らえただろうかと見るものに問いを突き付けてくる。
この映画のクライマックスは実は裁判の場面だと思う。
ステラに密告された側のユダヤ人たちは到底彼女を許すことなどできない。
その誹謗の中で、彼女は自己を弁明し、懲役を免れた時点で心底、安心するのだ。
裁判の時点で、彼女が罪を自覚し、懺悔の様子を開示していたら、ユダヤ人たち、そして観客の私たちは彼女を許すことが出来ていただろうか?
殺したドイツ人も殺されたユダヤ人たちも、そしてステラも、個人の信念で何かを動かすことが出来たのだろうか?
彼女の自己弁明は、個人に責任を帰すことの単純さと愚かさを私たちに突き付けてくる。
同胞を売るたびに、ステラの生活レベルは向上していく。
欲に目がくらんで、人としての正義を失っていく過程と捉えることは簡単だが、自分自身を納得させていく、あるいは自分自身を組み伏せていく過程と考えると、単純に軽蔑できない。
その末の裁判でのステラの態度だ。
彼女は史実の通り、最後に自殺する。
裁判のあとの自殺に至る数十年は一切描かれない。
ステラが自分のなしたことを清算するのに要した時間の長さと、それを強いた傍観者の残酷さを思うと胸が痛い。
ステラはゲシュタポに目を付けられ利用された。
逆らって死ねばよかったのだ、と誰が言えるのだろう。
ステラは最後に化粧し、身支度を整えて死ぬ。
衝動的に死ぬのではない、自分の尊厳を守ろうとしているのだ。
哀れな。
私たちは裏切り者としてのステラの属性を憎むことができる。
しかし、彼女の存在そのものを否定できるだろうか?
戦争と個人、公と私の問題として深い。
追記
ステラの暴力を受けるシーンのすさまじさは歴史に残りそうだ。
彼女は悪くない 戦争が悪いのだ。(゙ `-´)/
何度も繰り返される、ナチス独が 歴史上最悪 プロパガンダ映画
連合国側の戦争犯罪は 未だに 隠ぺいされたまま。
原爆も東京大空襲も、民間人を一瞬で10万単位で 焼き殺した。
なのに、語られるのは 誇張された、アウシュビッツ。
ありもしない南京大虐殺。
中国やソ連では 革命で もっと ひどい 虐殺が行われたのに相変わらず、人類史上最悪の 犯罪は アウシュビッツだと 洗脳。
あなたならどうする…?
ユダヤ人迫害がテーマの作品はかなり見込んでいて、これもその中のひとつとして、金髪美女がナチス将校を色気でたぶらかすような筋立て(2024年夏公開「フィリップ」の女版)かな、とあまり期待しないで鑑賞したが、期待以上・予想以上に惹き込まれた
18歳のステラ、アメリカでジャズ歌手になるのが夢で仲間とバンド活動中。ナチズムが台頭している中、両親は伝手を頼りビザ申請しても駄目と嘆いている…でもユダヤ人であるだけで迫害されるなんて他人事とばかりに笑いさざめく日々…
シーンはあっという間に3年後、この手の映画にお馴染みのユダヤ人の地味な服を纏って、つらい工場の立ち仕事するステラ。バンド仲間と結婚しているが、夫婦仲はしっくりしていない。夜な夜なアパート内の誰かが強制連行される音に怯える日々。ある日親しくしている工場のチーフの、席を外せ!という目配せを見逃さず、母親と隠れようとした所に、突撃隊が「全員外に出ろ!」と踏み込んできて…
よくあるユダヤ人迫害の作劇「アンネの日記」「戦場のピアニスト」、「シンドラーのリスト」も、隠れ家に潜んだりした末に収容所に送られた人々のものなのだが、「ステラ」はユダヤ人なのにもかかわらず、ナチス政権下の街中で生き延びた人間なのである
飢えや虐待の末に殺害され、モノのように処理されることは、言葉にならないほどの悲劇であるが、悲惨な中でもユダヤの仲間同士の交流や支え合う姿に人間性の温かみがあるが、ステラはその輪の中には入れない
工場での逮捕から逃げて両親と共に潜伏した後、身分証明書の偽造を生業とする、ユダヤ人男性(ロルフ)と生き延びる道を選ぶのである
彼は魅力的で有能ではあるが、生き延びる知恵を金に換えて、仲間であるユダヤ人に高値で売るのである。市中に潜む仲間の為の身分証明書偽造や、隠れ場所の斡旋、ユダヤ人に親身に接するドイツ人の情報を操る彼の傍らで、半ば刹那的に生きていく美貌のステラ…
中盤ゲシュタポに捕まり「アウシュヴィッツに送られたくないなら、隠れ住んでいるユダヤ人の情報を寄越せ」と壮絶な拷問を受ける。この映画はR指定なのだが、これはこの暴行シーンが凄まじいからと思えるほどに真に迫る。ここまで痛めつけられ、情報提供か収容所送りかの道を選べと言われたら、自分ならどうする…?と自問自答する。急極の選択かもしれない
収容所を生き延びる話も生死を分ける瞬間の連続だが、ナチスの手先として生きていく道を選ばざるをえなかったステラはシン・レッド・ラインを辿るギリギリの道を進むより生き延びる手段はなく、その意味で彼女は加害者であり被害者でもある訳で
ステラを演じたパウラ・ベーアの、文字通り身体を張った演技が凄まじい。この話は大戦後行なわれた戦争裁判をモチーフに創られたそうだが、「シンドラー」のような感動の涙すら許さないストーリーで、2時間を全く飽きさせることない。「戦場のピアニスト」のような大掛かりな戦闘シーンは無いが、どのシーンも緊張感に満ちていた
人間であれ
主人公が…
前日に「リアルペイン」を鑑賞し、上映時間との兼ね合いから、奇しくも同じ系統(?)の作品を連続で鑑賞することになりました。しかし、こちらは自己中、身勝手、軽薄な主人公のステラに全く感情移入できず、彼女の周辺の人々、その時代のユダヤの人たちを取り囲む社会情勢や日常生活に思いを巡らせることに終始していました。
なので、ステラが密告者になる前にナチスから拷問を受けているシーンでも、本来なら「ステラが可哀想」「女の人に容赦なく暴力を振るうナチスはやっぱり酷い」などという哀れみと憤りが入り混じるような感情になるところだったと思うのですが、全くそんなことはなく、むしろ彼女の行状に対する報いだろう、と冷めた目で見てしまっていました。
こんなふうに思う自分て酷い人間なのかな?とか思ったり。
しかし、拷問を受けた後、ナチスに加担することにした更に加速した彼女の悪行(?)の数々を観ていると、もちろん生き抜くために仕方がない選択だったとはいえ、やはり彼女には一切思いを馳せることはできないな、と確信しました。
ラストで自ら命を断とうとしましたが「なに?今さら?」と更に冷めて、冷酷になっている自分がいました。
悪女なの?
全54件中、1~20件目を表示