ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女

劇場公開日:2025年2月7日

ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女

解説・あらすじ

「水を抱く女」で第70回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞したドイツの俳優パウラ・ベーアが主演を務め、ナチスの密告者となったユダヤ人女性の実話をもとに描いたドラマ。

1940年、ベルリン。ユダヤ人である18歳のステラ・ゴルトシュラークは、アメリカでジャズシンガーになることを夢見ていた。3年後、工場で強制労働の日々を送っていた彼女は、ユダヤ人向けの偽造パスポートを販売するロルフと出会い、恋に落ちる。家族や同胞たちが隠れて生活するなか、ステラはロルフの手伝いをしながら街を自由に歩きまわっていた。やがてゲシュタポに逮捕された彼女は、アウシュビッツへの移送を免れるため、ベルリンに隠れて暮らすユダヤ人の逮捕に協力する。生き延びるために密告者となった彼女は、戦争が終わると裁判にかけられることになり……。

共演は「ミュンヘン 戦火燃ゆる前に」のヤニス・ニーブナー、「帰ってきたヒトラー」のカーチャ・リーマン。「ぼくは君たちを憎まないことにした」のキリアン・リートホーフが監督を務めた。

2023年製作/121分/PG12/ドイツ・オーストリア・スイス・イギリス合作
原題または英題:Stella. Ein Leben.
配給:クロックワークス
劇場公開日:2025年2月7日

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(C)2023 LETTERBOX FILMPRODUKTION / SevenPictures Film / Real Film Berlin / Amalia Film / DOR FILM / Lago Film / Gretchenfilm / DCM / Contrast Film / blue Entertainment

映画レビュー

2.5 それにしても、邦題の浅いことよ。。。

2025年9月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

2024(日本は2025)年公開、ドイツ・オーストリア・スイス・イギリス映画。

【監督】:キリアン・リートホーフ
【脚本】:マルク・ブルーバウム、ヤン・ブラーレン、キリアン・リートホーフ

主な配役
【ステラ・ゴルトシュラーク】:パウラ・ベーア

原題は、『Stella. Ein Leben.』(ステラ。ある人生。)
というらしい。

邦題は、「ある人生」にあたる箇所を、
「ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」とした。

本作を鑑賞して、邦題の浅さが気になった。

ステラは、確かに密告した。
密告し続けた。
英語版wikipediaでは、600人〜3000人とされている。

結局、両親も救えなかった。

戦後、ソ連で10年の懲役に服し、
ドイツに帰国後も裁判が待っていた。

旧友はステラに対して、
「悔いてくれ」
と悔恨の態度を示すことを強く諭す。
だが、ステラは意に介さず、能天気な会話を続けようとする。

ステラは、ただ、忘れたかったのではなかろうか。
確かに加害者であったが、
被害者であったことも事実だ。

ステラが受けた拷問や性的な虐待に対して、
誰なら耐えられたというのだろうか。
裁判時には、精神疾患の疑いも指摘された。

映画のラストに紹介された彼女の最期を思うと、同情を禁じ得ない。

まあまあ過激な性描写もあり、
ステラ役の女優さんは、実物の写真とはまるで異なる。
もっと、
内的な要素に踏み込んだ作品だと良かった。

☆2.5

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Haihai

3.5 悲しい女性だなぁ

2025年8月22日
iPhoneアプリから投稿
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ニョロ

4.0 君たちに過去の責任はないが繰り返さない責任はある

2025年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

アメリカでジャズ歌手になることを夢見たステラ。
冒頭のシーンで、ジャズ仲間と演奏の練習をしているシーンがとても爽やか。
それなのに・・・・・・

ユダヤ人として生まれたばっかりに、ナチスに追われ、工場で働かされ、ナチスに拷問を受
ける。夢も希望も一気に吹っ飛び、家族も仲間も、アウシュビッツ送りの運命を背負うことになる。
彼女が生き残るためにとった手段は、同じユダヤ人の居場所を密告すること。
もちろん彼女が望んだことではない。誰が生き抜くためとはいえ、密告者になるだろうか。
ナチスからも同じユダヤ人からも罵倒され、生き延びることが居場所を失うこととイコールになる。何ひとつ自らが悪いことをしようとは思っていなかったのに、いつのまにか戦犯呼ばわりされ、裁判にかけられる。
最近のドイツ映画は、そんなナチスの理不尽極まりない世界を、これでもかと剥き出しにする。

君たちに過去の責任はないが
繰り返さない責任はある

ラストのテロップに映し出された、強制収容所からの生存者の言葉が胸に響く。

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ジョー

2.0 「被害者か加害者か」…いや、加害者だったことは否めないでしょう。 ...

2025年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「被害者か加害者か」…いや、加害者だったことは否めないでしょう。

世が世であれば、ジャズシンガーとして成功していたかも知れなかったステラ…。
もちろん、彼女も戦争の被害者なのかと問われれば、むろん、「被害者」の一人ではあるのでしょう。
そして、彼女の戦争責任を裁いた法廷が結果としては「実質的には無罪」の判決を下したのも、おそらくは、その意味なのでしょう。
そう、受け止めました。評論子は。

まして、彼女にはジャズシンガーとして返り咲きたいという切なる願望が、常に心中を去来していたことでしょう。ナチスによって、工場の強制労働(?)に動員されてからも。

そして、その願望のためには(ユダヤ人には見えないことを巧みに利用して?)ナチスの将校に取り入ってしまえば、あとは同胞を売るところまで転落(?)するのは、時間の問題だったのだろうとも、評論子は思います。

ときに、いったんはナチスに占領されたパリでも、連合軍によって解放された後には、パリ市民は、占領中にナチス将校と親密な交際のあった女性を引きずり出し、衆人環視の中で、頭髪を丸刈りにするという、見せしめが行われたとのことです。
一方で、彼女たちにしても、占領時代を生き抜くには、ナチス将校と取り入る以外に、解放後の時代に希望をつなぎ、生計の途を確保する術(すべ)がなかったことには、多言を要しないでしょう。
ステラが、何とか生き延びて、再びジャズシンガーとして返り咲こうと足掻(あが)いていたのと同じように。

それだけに、本作のおしまいで語られる「君たちに過去の責任はないが、繰り返させない責任はある」という、ダッハウ強制収容所の生存者というマックス・マンハイマーの箴言も、その結論を裏づけるものとして、監督など、本作の製作者によって引用されていることも、疑いのないこととも、評論子も思います。

とはいえ、とはいえ。
そういう本作の「落とし処(どころ)」とは裏腹に、何か釈然としないものを禁じ得ない評論子でもありました。

それは、単に評論子には「右の頬を打たれたら、左の頬も差し出せ」というような寛容の精神が足らないだけなのかも知れませんけれども。

しかし、わが身可愛さ(アウシュビッツ送りを避けるため)とはいえ、そのために同胞を売ってまで…というのは、いかがなものでしょうか。
その点で、彼女が加害者であったことは、払拭しさることのできない要素でもあると、評論子は思います。

そして、密告者に転落してゆく彼女のその葛藤が、作品全体の描写からは充分には窺われないことが、本作の映画作品としての底の浅さになっているようにも思われ、評論子的には、佳作としての評価は無理(良作止まり)と思います。

ところで、「天知る、地知る、己(おのれ)知る」という箴言がありますが、彼女の場合にも当てはまる箴言だったと、評論子は、本作を観終わって、思います。

この箴言は、「「誰も知らないと思っていても、天も地も、自分も、そしてあなたも知っている。だから、隠し事(=悪事)はいつか必ず露見する」という意味のことわざです。この言葉は、中国の後漢時代の政治家、楊震の故事に由来します。楊震が賄賂を受け取ろうとしない際に、相手が「誰も見ていない」と言ったのに対し、楊震が「天も知っている、地も知っている、私も知っている、あなたも知っている」と答えたという逸話によります。(Wikipedia)

最後の最後に、二度目の企図として成功したという、彼女の自殺は、彼女自身が自らが加害者であったと認識もしていたことを雄弁に証言して余りがあったように、評論子には、思われてなりません。

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talkie

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