Smile 2

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映画レビュー

4.0感染るんです

2025年3月20日
PCから投稿

誰かにうつさないと破滅する笑顔の呪いの続編。
呪いに罹るのは薬物乱用から立ち直ったポップスターのスカイライリー。架空ながら造形に瑕疵がない。じっさいドリューバリモアのショーに出る人はみんな闇のない健全発言をするのだが、それを始まりに置いて、そこから雪崩のように壊れまくっていく。演じるのは実写版ジャスミンのナオミスコット。恐怖に顔をゆがめても美しいAIみたいな顔はイギリス人父とインド人母の混交からできたそうだ。

にしても美しいなりのことをするんじゃなくて、何もかもかなぐり捨てて無遠慮に壊れまくる。ナオミスコットが演じることで画にメリハリがでる。まんがで使われる擬態音があるが、たとえばスコットが目を見開くとギョと擬態音が出たようになる。そんな濃さがあるものの、スコットはきれいだがフェミニンではないので絶叫クイーンの形容には適さない感じ。中性的だった。

引き続きパーカーフィンが演出していて前作同様の高評価を得ている。
スマイルの優位点はストーリーにアイデアを投入しなくても、笑いながらするようなことじゃないことをするだけでホラーテイストが醸成されること──だが、残酷描写も工夫されているし、カメラも奇抜だし、要所で変な音を出すサウンドプロダクションもいい。笑顔集団に遭遇し、直視していないと近づいてくるだるまさんが転んだ状態になるところは怖がりながらも笑った。
スターの孤独とストレスに加えて、ブラックスワンのような母娘の愛憎が絡み、それらの強迫観念がシームレスに幻覚へつながっていく行程が巧かった。

一作目のスマイルを見たとき、笑顔で残酷をやるのが怖いってことは知っていたし、なぜ今までなかったのだろう──とは思ったが、スマイルがはじめてやったわけだから、スマイルがコロンブスの卵になったわけである。アイデアは実現してはじめてアイデアたり得るのであり、且つこのアイデアは呪いの宿主を変えるだけで3も4もいける。じっさいに続編が予定されているそうだ。

ちなみにパーカーフィンがズラウスキのポゼッションのリメイクをつくるとも報道(2024年6月の報道)されている。パーカーフィンは憑かれたアジャーニの演技をナオミスコットに投影させたのかもしれない。

ところでスマイルは笑った口をあらわす湾曲線を記号的に使っているが、ナオミスコットの唇の(向かって)右端上にはホクロがあるのでそれが口角とつながることで口角が上がって見える。ホクロがなくてもナオミスコットの口角は理想的な上がりかたをしているが、ホクロがあることでさらに上がり、口角ライナーをひいたかのごとくキュッとして見える。
口角は美容や化粧の世界において脈所であり、いろんなメイクやエクササイズやマッサージが紹介されているが、何にもほどこしていないナオミスコットの口角にぜんぜんかなわないという無情よ。

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津次郎