遺書、公開。のレビュー・感想・評価
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あえて混乱させたままの構成に意図を感じ、最後まで面白く観ました。
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが遅くなりました、スミマセン‥)
結論から言うと、今作の映画『遺書、公開。』を大変面白く観ました。
ところで今作は、序列1番だった姫山椿(堀未央奈さん)がなぜ自殺したのか?その理由を探るために、クラスの生徒と担任に配られた姫山椿からのそれぞれの遺書を読み解く所から物語が始まります。
そして整理すれば、姫山椿の自殺の理由は、
姫山椿は両親が離婚していて母子家庭で育っていますが、母親が苛立ちを持っていて、姫山椿にとって毒親的に存在しており、その影響からか姫山椿は周囲には本心を隠して優等生的に振舞っていて、クラスの周りに互いに心を許す存在がおらず、序列1位の影響も、姉との関係性もあり、最終的に精神的な孤立から自殺に至った、
と、分かる仕組みになっています。
ところが、この姫山椿の自殺の理由は、あくまで映画鑑賞後に後から整理したからこそ分かる話なのです。
なんと映画としては、姫山椿の自殺の理由を解明する構成には、実はなっていないのです。
これが個人的には非常に唸らせられた、この映画の面白い点だと思われました。
つまり、この映画に出て来る(姫山椿が書いたと思われていた)遺書は、姫山椿の自殺の理由を解明する為ではなく、姫山椿の自殺を、それぞれの遺書が渡された生徒と担任にとって自分事として突きつけ刻み直す為のものだったのです。
例えば、序列15位の谷地恵(兼光ほのかさん)の遺書の内容から、姫山椿の親が離婚していた事が明らかになります。
しかし、そこから姫山椿の自殺理由の解明に行くのではなく、谷地恵が姫山椿の親が離婚している事を言いふらしていた事に対しての、谷地恵の批判へと物語はスライドして行くのです。
それはクラスメイトや担任のほとんど全てに同様で、姫山椿の親友だと思われていた御門凛奈(髙石あかりさん)が、実は本心では姫山椿のことが「大嫌いだった」と明かされた所で頂点に達します。
この、自殺した姫山椿が悪口を一切口にしない(本当は毒親的な母親の支配の中で)優等生的な話しかしない事に、御門凛奈が苛立っていた事実は、(例えば映画『傲慢と善良』にも通じる)深さある1つの普遍的な関係性の独白だったと思われました。
このように、1観客として、姫山椿の自殺の理由を知ろうとして映画を観ていると、それぞれのクラスメイトと担任の自分事としての責任と人としての(姫山椿との)関係性の問題へと、どんどんとスライドして行く混乱させる構成に、良い意味で驚かされました。
そして、上に書いたように、姫山椿の自殺の理由も整理すればちゃんと解明できるように、そちらの事実関係も深さを持って提示されていて、逃げてない所にも唸らされました。
この映画は、クラスメイトや担任が姫山椿の自殺を客観視して理解して終わらせないように、遺書を書いた犯人が仕組んだ所に物語の本筋がありました。
そして更なる驚きは、(姫山椿の自殺をクラスメイトや担任に客観視させないという)遺書を書いた犯人のメタ視線も、映画の最後に嫌な感じで肯定しない表現をしている所にも(水槽の場面)この映画の秀逸さがあったと思われます。
この映画『遺書、公開。』は、整理して客観的に事件を自分と切り離して理解して解決することを拒否している作品だと言えます。
そして、遺書を書いた犯人に対しても、客観視(メタ視線)の否定が貫かれている一貫性に、この映画の質の高さがあると思われました。
そして実はこの映画は、更にもう一段深さを提示していると思われるのです。
それは、姫山椿の自殺の理由の1つに、クラスメイトや担任に姫山椿が信頼のおける人が誰一人いなかった事があったのですが、
【実は、姫山椿以外のクラスメイトも、誰一人信頼している人が周りにいない】
と、映画を通して最後に伝わって来るのです。
例えば、互いの信頼感の無さは、池永柊夜(吉野北人さん)と廿日市くるみ(志田彩良さん)との関係性でもそれは明らかだったと思われます。
つまりこの映画は
【映画の登場人物の誰もが、互いに信頼する人を失っていて、姫山椿のように自殺する可能性がある】
と(現在的に)暗に示している作品だったとも言えるのです。
最後にクラスで歌われた「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」も、どこか冷えた印象があり、互いに信頼感を失っているのがその理由のようにも感じました。
この作品はこのように【現在】を的確に表現した1つの作品とも思われています。
個人的には、姫山椿の親友だと思われていた御門凛奈の「大嫌いだった」への振り切り方はさすがに極端過ぎで、1%でも親友の色を残していた方がかえってその溝の深さがリアリティをもって伝わったと思われ、惜しい点だとは思われました。
(そのように要求すれば、御門凛奈を演じた、もはや若手の名優の一人でもある髙石あかりさんなら、更にリアリティあるそれでいて当初の演出意図も落とすことなく表現し演じていたと思われます。)
しかしながら、混乱させることで逆に安心した客観視を観客にも許さず、それでいて(ちゃんと整理すれば自殺の理由も解明可能な)描かなければならないことは深く描いた上で、本筋である当事者意識を観客にも迫らせた作品として、誰が何と言おうと私は今作の映画『遺書、公開。』を、優れた秀作であると僭越評価したいと思っています。
今作を大変面白く観ました。
地味に素晴らしい
考えさせられるテーマと話の組み立て方が秀逸
社会の肩書ぼ重さ
※原作未読
✉️あらすじ
学級1位と序列された姫山椿がなくなった。彼女は誰からも羨む1位、なぜ自殺したかはわからない。そして誰が作った序列なのかもわからない。学級の時間を使って机に置いてあった遺書を公開することで何かわかるかもしれない。遺書を公開していき、1人1人の本性と序列に対する憎しみが暴かれます。
✉️良かったところ
・クラスメイト1人1人の演技がよい
✉️いまいちなところ
・頑張って2時間にまとめた感がある
✉️考察
・1位のプレッシャー、そして誰も知らなかったなぜ1位なのか、1位を継続するプレッシャー。2位からなぜ1位なのかもわからない憎しみ、そして隠れて行く本心。
・肩書を気にしない姫山でも、社会(学級)で創られた序列という肩書を演じ続けるためになる。なぜなら、みんなと仲良くであり続けたいのは本心であります。
社会の肩書との向き合い方を考えさせる映画でした
演技が大げさで笑えたのが一番良かったポイント。
新人俳優演技合戦
とても面白そうな予告に釣られ拝見しました。
個人的な感想としては、2.5点/5点
オーディション用の動画を見ている気分でした。
脚本自体は面白い部類だと思いますが、
伏線を回収していくタイプの映画にしては、
ちょっとパンチが弱く感じました。
面白いんだけど何か決め手に欠けるなあと
思いながら、
劇場からの帰り道でふと思いました。
面白そうだと予告を見て思い、
ハードルをMAXまで上げた状態で
さぞ面白いんでしょう見せてくださいよ!
と映画を見て、
なんだこの程度なのか少し残念、、、
この一連の流れをこう考えました。
この映画自体が【姫山】で、
見ている人間も【クラスの一員】だったのだと
勝手にハードルを上げられ、
なんだつまらない映画だな
新人俳優の演技合戦じゃないか
私ははこうゆう映画好きだけどなあ(人と違う自分が好き)など
過度な期待とプレッシャーや偏見
それを受けて、潰されていく
(劇場にもう数人しかお客のいない映画)
そう解釈すると、
自分も映画の一部だったんだと
そう思う事で全て合点がいき
少しスッキリしたので、2.5+0.5で星3つです。
批判するわけではないですが、
僕はこう思いました。
アイアム1番
とハルクホーガンはいいました。人間関係って難しいし役職に就くとこんな感じですよね。
スオミから笑いを抜いた感じでした。
最後の恋愛エピソード、動機以外には要らない感じですよね。
序列よりもコワイのは番手
原作は未読、前情報もなしで拝見。
入場時特典のポストカードをちゃんと見ていればよかったのだけれど、ギリギリだったので、すぐにバッグに入れて鑑賞。
なので、本編が終わってエンドロール前のキャスト紹介の番手でびっくり。
えー、序列19位のあの男の子が主役だったんだ!まさかの一番手。
てっきり、序列1位の自殺した女の子が主役だと思っていました。出番が多かったし。
何番手か忘れたけれど、彼女は上位でなくてショック。
で、大したせりふもなく、役割もないのに、要所要所で抜かれてアップになる窓側にいた金髪男子が2番手か3番手の上位で。えーっ!有名、もしくは事務所の力がある子だったのね、だからストーリーにはほとんど絡んでこないのに、抜かれていたんだと納得。
序列3位の、親友のフリをしていた女の子も、同級生のひとりくらいだろうと思っていたら、これもまさかの番手上位で。
俳優さんたちを知らずに見ててごめんなさいっていう感じでした。
帰宅してポストカードを見て、番手を再確認した次第です。
姫山さん可哀想
人間模様が面白すぎ
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高2のクラスで4月に突如、メールで序列が発表される。
1位が未央奈で、親切で優しい性格だったが、半年後に自殺。
クラス全員が葬式から帰ると、各自の机の上に遺書があった。
それぞれ個人に宛てたもので、全員内容が違った。
自殺の原因を探るため、それを全員が公開することになる。
その内容から、色んなことが明らかになって行く。
序列は人間観察が趣味の彩良が作ったことが判明。
でもそれは「ホームルームで発表しそうな順」だった。
それを拾った生徒が面白半分で序列として流したのだった。
さらに遺書を各生徒に配ったのは主人公と判明。
未央奈を名乗る人物から郵送で託されたのだった。
本人からじゃないと見抜きつつ、犯人を探るため従った。
で結局、全ての黒幕は彩良だったことが判明。
彩良は未央奈のSNSを密かに見つけ、読んでた。
そこで知った、未央奈の各生徒への思いを遺書で代弁した。
さらに彩良が序列を作ったのは、意図的だったことも判明。
未央奈にはかつて何でも一番の有能な姉がいたが、自殺。
平凡な自分も何かで一番になってみたいと願ってた。
それを叶えるため、彩良は未央奈が一位のリストを作った。
で一位になった未央奈は、姉の苦悩を知ることとなった。
一位が故に近づいて来る友人、去っていく友人、
一位を理由に色んなことを押し付けられたり、
一位だからと変に期待されて後から失望されたり・・・
そういったことに耐えられなくなり、自殺したのだった。
彩良に悪意があった訳ではない・・・という形で決着。
でも最後に彩良が独り言で、悪意があったことを告白。
一位になったらそういう未来が来ることも予測できてた。
でたぶん主人公のことを好きやったのかな?
主人公に心を許す未央奈が気に入らんかったらしい。
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いやー、めちゃくちゃ面白かったなあ。
遺書が1つ公開されるごとに未央奈の本心が分かり、
それによって色んな事実があぶり出される。
未央奈は闇を抱えてるが人にはとても優しい。
でも心の中では恨んでる生徒が大勢いたらしい。
遺書には、文体軟らかく婉曲的にそれが書かれてる。
多くの遺書が公開されるにつれてそれが分かって来て、
そのナナメ読みによりさらに新たな事実が明らかになる。
クラスの生徒の本性も次々と暴かれて行く。
一見いいヤツと思われてたヤツが実は最低だったり、
悪いヤツと思われてたヤツが実はいいヤツだったり。
そのへんの人間模様の表現が実に面白い。
生徒役の俳優陣は未央奈と彩良しか知らんかったけど、
裏が暴かれた時の逆上の演技とか、みんな上手やわ。
何度も書いてるけど、おれは学園物がやたら好き。
自分の学生時代は自分らしく生きられてなかったから。
序列とかスクールカーストとか当時はなかったが、
もしあればおれは真ん中から下の方だろう。
積極的に発言するとか全くできんかったもんな。
でも勉強に関してはいつも一番やった。
つまり未央奈とは正反対に近い立ち位置にいた。
でも自殺に至った未央奈の苦悩はよく分かる。
一番のレッテルを張られると本気で色々しんどいから。
無責任にそう扱われること自体が重圧なんよな。
あと地味で人間観察が趣味の彩良にも共感したな。
目立たないけど色んなことをよく観察してて、
実はトンデモないことを考えてて実現してみせる。
そのへんが昔の自分に似てるって思った。
いやまあ未必の故意とは言え人を死なすような、
そこまで大それた計画はやれんかったけどな。
シリアスになれない笑
原因はこれか?こいつか?あいつか?と泳がせつつ、人間観察眼による考察で締めくくるなら心療内科とか警察まして探偵は不要やないかーい。
フィクションなのでそこ気にしたら負けだけど、自殺は大問題だけれど、不謹慎なイタズラが起こったら、教師はクラス内だけの問題にてはいけないし、無人職員室をいじり放題なのは由々しき事態ですよ!!学校も教育委員会も大謝罪案件!いや突っ込んだら負けなんだけど…!!
たま〜にこういう「そこで爆発する??」みたいな感情演技作品は良いですね。顔芸からしか得られない栄養があります。音楽でシリアス増幅させようとしてるけどなんか違う。
離婚言いふらしの下りと親友ぢゃなかったぱおんの下り最高だった。地味に、一位とは世界違うからっていう所も。逆差別も良くないよ!というのがメッセージでしょうかね。
一位の子は皆に嫌われて皆を嫌いになりながら、居場所がクラスルームにしか無かったんやなぁと。全てメンヘラ女子の手中なのヤバいっすね〜と。不登校の子が言ってた「何であいつが」が消化不良っぽい〜。
冒頭から観ていれば、一位の子(と姉)が不憫でならないし、暴露会の後に仲良くアンジェラ・アキ歌うのがキツかったです。良いのかそれで。
何を持って一位なのか、賢そうなクラスメイトが居ながら、場の空気に流されまくっていたのは草。結局は序列に振り回される凡人しか居なかった!
派手なアクションが無いのに、ニンジャよりは面白く鑑賞。劇団が定期公演でやってそう。
日本の学園モノ事件起こりすぎ笑学校はネタの宝庫や〜!怖いとこやあらへんで多分!
この点数もある意味序列?
感想
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