6888郵便大隊のレビュー・感想・評価
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こんな女性上司になりたいが詰まっていた
第二次世界大戦中、女性の有色人種で編成された陸軍部隊があったことを、今作を見るまで知らなかった。まずはその存在に興味を持ち見始めだけれど、今の自分にも置き換えて考えられる話が盛りだくさんで、新年にぴったりな良い刺激になる作品だった。
ガラスの天井、差別、女性で黒人というだけで、隊の指揮官であるアダムズ大尉は、様々な嫌がらせや嫌味や、不当な扱いを周りの白人男性から受けるのだが、まーーこれが憎たらしいのなんのって!!!けれど怒りに震えながらも必死に耐え、毅然とした態度を貫くアダムズ大尉がかっこよすぎて、こんな上司の元で働きたいと何度も思ったし、また自分もこういう上司になりたいと思った。
特に部下への伝え方がすごく勉強になった。
無駄に希望を持たせるような言葉を投げかけるのではなく、常に冷静に状況を部下に伝えているのが良かった。
わざと「あなたたちなら出来ると思ってこの任務が与えられた」といえば、人によっては素直に信じてそれが違ったと気付いたときに士気が下がるだろうし、また人によっては、この上司は綺麗事ばっかり言ってと求心力を無くしかねない。
けれどアダムズは「私たち黒人女にはどうせ無理だと思って、上はこの任務を私たちに与えてきた」と伝え、その上でどうするのかを伝えた。
だから彼女の言葉は信用できるし、そして彼女が1番矢面に立ち戦っているのを知っているから従いたいと思う。
まさに理想の上司像だった。
歴史の新たな知識を得られたと同時に、日々の行動で活かせる学びもたくさんある、とても素敵な作品でした。
ほぼほぼ、ドイツが敗戦した1945年初頭からの1946年戦後処理の...
もっと評価されるべき! 見どころ多数の正攻法ドラマ♪ 後半ネタバレ
想像以上に完成度が高く、晴らしいドラマ!
史実自体にも感動するが、本筋以外にも見所多数。
私がアカデミー会員なら、「作品賞」「主演女優賞」「監督賞」「脚本賞」の4タイトルにノミネートしたい位に♪
(3年前より、アカデミー作品賞は二つのマイノリティ要素が含まれないとその作品はノミネート対象にならないが、黒人女性が主人公で、白人男性に恋をする展開も挿入
されているので、本作は対象に含まれる可能性あるかも)
尚、ネットの、オーディエンス レーティング サマリーでは、3800以上の評価で★5が圧倒的に多く、 平均が4.7と驚異的数値!
内容はタイトル通り、郵便業務の命を受けた女性だけの有色人種(ほとんど黒人)部隊の葛藤・活躍物語。
戦火で物資輸送を優先する為、前線の兵士~家庭間の手紙類の配達が滞っていたのを解消する為、上記部隊が派遣されるが、果たして・・・。
★冒頭、戦争アクション作かと間違うほど、大規模戦闘シーン 戦闘機が墜落・爆風で吹っ飛ぶ兵士
物語的には掴みの映像だが、さすがネトフリ、金の掛け方が半端ない♪ (邦画ではこうはいかない)
★抜群の人物描写! &キャスティング!
序盤、主人公女性の母親・祖役役の存在感と個性の描写が素晴らしく、何気ない家族会話シーンでもじっくり魅せ、私はこの時点で、この作品は只者ではないとの予感♪
入隊後の仲間兵士も個性豊かで、口悪いちょいデブ兵士は、笑・涙シーンの源泉で主人公以上の存在感♪
大統領夫人が スーザン・サランドン なのもビックリ。
パッチリ綺麗ながらも、眼力の鋭さは78歳でも健在!
憎まれ役の陸軍大将もよく見る名脇役。
とにかく出てくる人物が皆、ピッタリの配役ですべてのシーンでその登場人物の魅力で見入ってしまう。
★そして中盤以降から、この作品の本当の主人公は、この部隊の女隊長アダムズ大尉だと分かる!
軍上層部から、女性であること・黒人であることで侮蔑され、指令は期待された物でなく、未達成を理由に部隊解体が目的なのを知るや、怒りの奮闘が見る者まで伝わる。
私が最も高評価したくなる正攻法作品で、多要素な見どころを備えている、大のオススメ作!
↓ やや展開ネタバレ 含む
このアダムス大尉が、6階級も上の司令官ハルト将軍に、
顔ほぼ20cmの間隔で、軍法会議をも覚悟で自部隊を"弁明"するシーンは、本作一番の見どころで、震えながらも怒りの言葉を発するのは、「主演女優賞」に値する演技と!
船酔いで最低の体調直後に行進するシーンも目頭が熱くなる見どころ。 その軍隊がどれほど鍛錬されているかは、その部隊を行進させればすぐ分かると言われる。 一糸乱れぬ行進をして、指揮官の号令で、隊列を変えたりほぼ同時の敬礼が出来るか否かで塾練度が判断出来るからだ♪
見事にやってのけた! おそらくエキストラを含む演者は相当練習したのだと思う。
エンディングで、前半主人公リナのご本人の現在映像なども描写されるが、それ以上に当時のアダムス大尉の白黒映像も映り、その凛々しい容姿は女性ながら、まさに軍人とした出で立ちで、より感慨深い物が伝わりました。
いや~冒頭からエンドまで、削るシーンが一分もないと感じるほどで、最近の戦争関連ドラマではピカイチに思います♪
PS
アダムス大尉演じるケリー・ワシントンは、本作では薄メイクで口を尖らせて言葉を発するシーンが多いので、女性としての魅力ある容姿に見えてないが、平時のご本人はハル・ベリーにも劣らないような美人さん♪
(名前で検索すれば、多数の画像見れます)
実話に基づくからこそ考えさせられる
「実話と生存者の証言に基づく物語」というテロップが最初に出るということは、あの人権感覚皆無の糞レイシストの中将のような上官は、この映画のために作られた人物造形ということではなく、実際に存在していたということでよいのだろうか。
だとすると、誰か教えて欲しい。
なんでそういう人物が出世できるのか、その仕組みと理由を。
(今も「そういう人物」に該当する人物が、あの国やその国の首脳たちを筆頭に何人も思い浮かぶが…)
理念的なことではなく、実務的な面で、心の底から疑問に思うのだ。
つまり、糞レイシストたち自身が、どんな価値観を持っていようが知ったこっちゃない。「ご自分の心の中でご勝手にどうぞ」だ。
ただし、郵便大隊の彼女たちの能力の高さや、あげた成果を客観的に評価できない曇った眼差しは、リーダーとしての資質に決定的に欠けてやしないか。欠けるどころか、それでは正しい戦況判断も出来ない訳で、軍を敗戦に追い込みかねないし、純粋に、処分されるべきはどっちだという話だろう。
糞レイシストの権化の中将に「私たち黒人は、生まれた時からあらゆる前線で戦っている」と毅然と言い放つアダムスの力強さにしびれるし、入隊したてで、制度的な差別に晒される黒人女性たちが「南部へようこそ」と皮肉るタフさもシャレている。しかし同時に、彼女たちにそれを強いている特権性と同様なものが、今現在も自分自身と自分を取り巻く社会の中に残ってはいないかと考えさせられる映画だった。
それにしても、それだけ差別されながら国に忠誠を誓える気持ちって、どこから生まれるのかがもう一つ残った疑問。
上記のように、苦しくなる場面が多い映画だが、リナとエイブラム二人のシーンには胸を掴まれるし、その輝きにキュンとした。演じている俳優たちが、とても魅力的。
6888を忘れない
第二次大戦下、兵士や家族ら間の手紙や郵便物を届けた黒人女性たちから成る陸軍婦人部隊の実話に基づくヒューマン・ドラマ。
監督がタイラー・ペリーというのが驚き!
アメリカでは人気のある俳優で、監督としても活躍。しかしその監督作は一部のファンには受けヒットはするものの、批評家からは酷評。日本では全く紹介されないような黒人コメディばかり。
こういう正統派の感動作も撮れるとは…。
まあ監督作も全部がコメディばかりではなくハートフル・ドラマやシリアス・サスペンスも何本か撮ってたし、役者としてもジャンルは広く。意外ではなかったかもしれない。
母と伯母と暮らす学生のリナ。白人の恋人エイブラムとの仲も良好で、戦時下であっても平凡な日常や青春を送っていたが…、
軍人として戦地に赴いたエイブラムが還らぬ人に…。
悲しみに暮れるリナは決意する。軍に入り、ヒトラーと戦うと。
リナが配属されたのは“6888大隊”。黒人や有色人種から成る婦人部隊。
隊長のチャリティー・アダムズ大尉は厳しい。
日々の訓練に挫けそうになるリナ。
やがて隊にある任務が下る…。
メロドラマ的な設定なので隊は実在でもリナはフィクションかと思ったが、彼女も実在の人物。EDに100歳となった現在のリナが。
リナに焦点を置いた作品ではなく、隊ひいては属する皆に焦点が当てられている。
即ち、黒人/有色人種で女性。
軍内部で受ける差別偏見の数々。
黒人/有色人種というだけで不当な扱いを受ける。
女性というだけで見下される。
差別偏見に満ちた周囲の醜悪な白人男ども。
軍の何処にも居場所は無い。味方もいない。
唯一の味方は同じ隊の面々。
黒人女性活動家や時のルーズベルト大統領の尽力で婦人部隊が結成されたが、高官連中は隙あらばいつでも潰そうと。特に大佐は忌み嫌う。
お前ら(黒人/有色人種/女性)にまともな任務など出来るものか。
そんな彼女たちに当てられた任務とは…
手紙など郵便物の届けや仕分け。
軍には届けられていない郵便物がごまんとある。
配達自体が滞っていたり、宛先不明だったり、兵士が各地移動して場所の特定が出来なかったり…理由は様々。
これらの処理に当たる。
言ってみれば、戦局に何の関係も影響も無いような雑用。
だが、本当にそうか…?
戦地の兵士たちは家族や恋人からの手紙を心待ちにしている。
故郷の家族や恋人たちも手紙などで無事を知る事が出来る。
時には戦死も伝えなければならないが、兵士たちの士気や精神面を支えるこれも重要な任務だ。
リナがまさしくそれ。エイブラムは手紙を出すと言っていたが、届かず。
待っている側の気持ちは胸痛いほど分かる。
だからこそ、届けたい…。
クライマックス、遂にリナの元に届いたエイブラムの手紙。リナの溢れる涙は胸を打つ。
白人男どもからすれば“お似合いの仕事”。
細かな作業だが、重労働。皆、疲労困憊。作業場は最悪の環境。冬の時期、暖房も無い。
あからさまな嫌がらせ。現代ならば何もかもがハラスメント。
しかし、屈しない。差別や偏見、嫌がらせを言い訳にしない。
それを体現したのが、隊長のアダムズ大尉。
見た人全員が讃える。全く同感。
アダムズ大尉がカッコいい。
リーダーシップに溢れ、常に毅然とした性格。
部下には厳しいのは自分にも厳しい証拠。常に真っ直ぐで、それでいて部下の事をしっかり見ている。
マイナス面ばかり見られ、リナは私の事嫌いですよね、と。アダムズは嫌いではない、と。
手紙を届ける大事さなどリナから教わった。それを評価。
大尉の位だが、白人兵士どもからすれば他の黒人/有色人種女性と変わりない。
映画館で席を巡って兵士と揉め事。黒人女どもは後ろに行け。アダムズが仲裁に入る。が、大尉のアダムズに対しても白人兵士は無礼な態度。上官に敬意を払えとアダムズが忠告しても態度は変わらず。
軍で上官の命令や上下関係は絶対。それすら通用しない。
上官に訴えるが、その上官がまた人種差別主義者なのだから埒が明かない。
軍人として、理不尽な命令や仕打ちにも堪え忍んでいたアダムズ。
ある時、冷静沈着だったアダムズの感情が爆発し、声高らかに上官に直訴。
部下たちは数々の仕打ちを受けている。
黒人、有色人種、女というだけで、私たちは戦争以前に戦っている。
このシーンは響いた…。
途中から完全にアダムズが主役に。
いや、完全に主役なのだ。数々の差別や理不尽と戦う黒人/有色人種女性の代弁。
ケリー・ワシントンが熱演。
最初は進まなかった郵便作業。
が、部下たちからの意見、各々の前職や特技を活かし、作業は進む。
やがてそれは、たった半年で滞っていた1700万を超える郵便物を待っている大切な人の元へ。
見たか! 誇り高く、優秀な陸軍婦人部隊“6888大隊”の活躍を!
一般兵士たちから惜しみない拍手が送られる。
一部の差別主義者の偏見などどうでもいい。恩恵を受けた皆の感謝の声が物語っている。
彼女たちの功績が知られたのはつい最近の事だとか。
人種差別はまだまだしぶとく根付くが、悲観ばかりじゃない。
手紙が届けられた兵士たち、家族や恋人たち。
隊の一人一人。
決して忘れる事はないだろう。
この逸話を知れて良かった。
6888を忘れない。
黒人女性部隊の孤高の戦い
冒頭の戦闘シーンからグイグイと映画世界に引き込まれ、
黒人女性による味方との戦い、不可能とも思える郵便大隊としての任務遂行など、
その苦難の道を乗り越えていく様に猛烈に感動しました。
最初はリナと戦地に向かうエイブラムとの関係性や、軍人になる意思を固めたリナに
スポットをあてていて、その時代感やリナが受けている差別的な扱いを
視聴者にインプットすることで、今後の展開における重要な礎をつくっています。
そしていよいよ入隊してからの厳しく鍛えられるシーンと
戦地⇔戦地外との連絡をとる唯一の手段である手紙が届かないことが
課題視され、解決に向かうストーリーがシンクロしていき、
6888郵便大隊が組織されるところで
アダムズ大尉にスポットがあたるのが素晴らしく良かったです。
ここで主役が交代しているといっても過言ではありません。
最後にリナがエイブラムの墓を訪れ、エイブラムの手紙を読むシーンは涙が出ましたね。
後日6888郵便大隊の功績も認められた背景には、
アダムス大尉の凛とした佇まいと揺るぎない信念によるものだと思いました。
良い作品でした。
戦争以前に戦っている…
女性ましてや黒人というだけで差別され、功績も認められない。黒人、有色人種女性部隊という分かれていた時点で大いなる差別だと思う。リーダーとして毅然と振る舞い、差別に立ち向かうチャーリー少佐は格好良かった。このような部隊がいることも歴史があることも知らなかった。
人としての戦いは戦場だけではない
生まれた時から戦ってるという言葉が印象的だった。
戦場に立つ人たちと家族の手紙を届ける仕事を、兵士たちを鼓舞するためで勝利に必要と訴える。与えられた任務は当初侮辱的と受け取りながらも意義や意味を考えて遂行に向けて整理する。
史実と異なるところや脚色もあるのかもしれないけれど、人種差別、性別差別が強く残る時代に、仕事をすること自体も難しかったはず。
戦地でのことを描いているが、この映画では人としての生き方を考えさせられた。
複雑に絡み合ったプライド
集合ラッパ、
様々な作品で聞いてきた、
「刑事コロンボ 祝砲の挽歌」
パトリック・マクグーハンを思い出す。
訓練シーンは、
黒人女性版「フルメタルジャケット」
陸軍婦人部隊、黒人兵の物語だ。
志願した理由が各兵士の等身大で描かれている点は、
観客に自分事のように受け止めてもらうよう、
突きつけてくる狙いが感じられる。
田舎を抜け出すため、
戦地にいる夫を帰還させるため、
あるいはイケメンを見つけるためといった現実的な動機から、
国のため、ヒトラーを倒したいという理想的な動機まで様々だ。
この多様性が観客にとって、
より身近に感じられる要素となり、
それに沿ったエピソードも積み上げられていく。
グラスゴー到着後の行軍シーンは、ラストまで必見だ。
軍人としての誇りと、
同時に人間としての尊厳を守りながら進む彼女たちの姿には胸が熱くなる。
軍人としてのプライド、
それを支える女性としての怒り、
さらに黒人としての誇り、
人としての尊厳が絶妙に絡み合って描かれている。
同胞であるはずのアメリカ軍からのあらゆる差別や妨害、
嫌がらせと闘いながら、自らの存在と誇りをかけて戦う兵士たち、
『6888郵便大隊』は、戦争の残酷さとともに、
戦争を生き抜いた人々の誇りと闘志を描き出した作品であり、
ただの戦争映画にとどまらず、
観客に力強いメッセージを届けている。
事実とフィクション。
実話に基づくヒューマンドラマとの触書だが、
どこまでウソが混じっているのか…。
それが気になって気になって。
●1945年頃、ホントに黒人女性が白人の学校で学べるの?
●1945年頃、白人男性と黒人女性があんなふうに付き合えるの?
●あんなに差別的で妨害してくるやつが軍の重職につけるの?
●不発弾の埋まった道路はなぜ通行止め時にしてなかったの? など
今の時代、ポリコレがどこまで入っているのか、考えてしまう。
鬼畜米英のク⭕️ンボ女性のアイデンティティとナショナリズム
大日本帝國にとっては、鬼畜米英のク⭕️ンボ女性のアイデンティティとナショナリズムの話である。
つまり、敵国の鬼畜と言われる兵隊にも家族がいると言う事だ。ロシア兵だろうがウクライナ兵だろうがアメリカ兵だろうが、そして日本兵だろうが家族がいるのである。従って、本来なら『家族の為に戦う』事は正しくないのだ。
この映画の最初に最愛の人物の死を描く。
その部分を大いに評価したい。
大切な任務
戦時下のアメリカ陸軍婦人部隊。有色人種である事を理由に訓練を終えても現場に派遣される事はなく不遇の扱いを受けていた。
そんな中、国内では兵士を待つ家族から戦場に行った兵士から手紙が届かずに多くの国民は不安と不満が爆発寸前。
そこで彼女らを戦地に派遣し、裁き切れず駐留してる数万の郵便物を仕分け兵士にそして国内でまつ家族へ届ける作業を担う実話ベースの作品。
黒人、女性という点で多くの差別を受けながらも愛する国のため、愛する人のために強く使命を担う姿がとても強くかっこよく描かれていた。
戦争作品でも黒人女性にフォーカスを当てた作品は新鮮味があり興味深い作品だった。
この時代の手紙の存在、生きている証というのがどれほど大切なもので、それを届ける彼女らの様な任務がどれほど大切かをストレートに伝えてくれる。
思いの外ストーリーの進行もシンプルで見やすい。
戦争作品が好きな人には是非見てほしい作品。
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