「アメリカの銃社会に切り込む社会派ドキュメンタリー」ボウリング・フォー・コロンバイン といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの銃社会に切り込む社会派ドキュメンタリー
本作の内容については全く知らない状態での鑑賞。
しかしながら、タイトルからコロンバイン高校銃乱射事件についての映画ではないかと推測を立てて鑑賞しました。その予測は大当たりでしたね。
本作は、私にとって初めてのマイケル・ムーア監督の映画となります。
切り込んだ内容のインタビューや、鋭い切り口で事件の真相を究明していくのは非常に楽しめました。また、平和な日本に住む自分が知らなかったアメリカ銃社会の実情についても知ることができて非常に良かったですね。
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アメリカ合衆国コロラド州にあるジェファーソン郡コロンバイン高等学校。1999年4月20日、二人の生徒が校内で銃を乱射し、多くの死傷者を出すという大規模な事件が発生した。ドキュメンタリー監督であるマイケル・ムーアは、この事件はアメリカの銃社会の闇であるとし、事件の詳細やアメリカの異様な銃社会についての調査やインタビューを開始する。
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「コロンバイン高校銃乱射事件」という事件名は聞いたことがある方も多いかもしれません。私はアメリカで発生した大規模な銃撃事件について調べたことがあったので、本作の内容を知らなくても、タイトルに「コロンバイン」が含まれていることから本事件についての映画だろうと推測して鑑賞することができました。もちろん、劇中で事件に関する詳細な説明もありますので、全く知らない方が鑑賞しても面白さが減衰することは無いと思います。
20年前の本作を鑑賞する私たちは、当時本作を鑑賞した人よりも情報のアドバンテージがあると思います。つまり、本作はアメリカの銃社会に対する批判と警告を行いましたが、2007年のバージニア工科大学銃乱射事件や2016年のオーランド銃乱射事件、2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件など、コロンバインを超える死傷者を出した事件が何度も発生しているということを知っています。
マイケル・ムーア監督はアメリカの銃社会に警鐘を鳴らす映画を2003年に公開したのに、結局アメリカは今でも銃社会だし、大規模な銃撃事件は起こっているし、銃による死者は全然減ってないし、いまだに全米ライフル協会が広く幅を利かせています。ここまで銃による殺人が横行しているのを観ると、アメリカは銃犯罪社会から脱するのは無理なのかもしれないとも感じてしまいます。
アメリカでは何故銃犯罪が他国と比べて異常に多いのかが不明のまま終わるのも良かったですね。解答を用意しないことで、観客自ら考えさせることができますからね。
色々考えさせられる映画でした。オススメです。