宇宙の帝国、ボアザン星のプリンス・ザルドス率いる軍団が地球に攻めてきた。
通常の兵器では歯が立たない。
この日の為に備えられていたマシンと5人の若者に託された。
5機のマシンからなる合体ロボット“ボルテスV”で地球を守れ。
レッツ・ボルトイン!
如何にもな70年代のロボット・アニメ。
日本では当時量産された熱血ロボット・アニメの中の一本だろうが、それがフィリピンで大人気!…というのを何かのアニメ特番で知った。
日本のアニメが海外で人気というのはよくある。
が、フィリピンに於けるこの『ボルテスV』人気は凄まじいらしい。
海外のアニメはアメリカ製くらいで、こういう系統のアニメは初めてで、当時フィリピン国民に与えた衝撃、興奮、熱狂。
視聴率は50%超え。幅広い世代に今も尚支持。
主題歌は“第2の国歌”のように多くの国民が歌えるとか。
その主題歌を歌った堀江美都子がフィリピンを訪れた時、国賓待遇だったとか。
故安倍元総理夫人がフィリピンを訪れた時、国民は主題歌で出迎えたとか。
日本から遠く離れたフィリピンで、そんな“ボルテス・フィーバー”が起きているとは…。
その人気は留まる事を知らず、子供の頃から見て育った熱狂的ファンが実写化。夢のような話でもある。
実写TVドラマシリーズと実写映画が製作。
その実写映画にフィリピンの製作陣が日本の為に追加・再編集、CGのクオリティーを上げた“超電磁編集版”として、この10月に誕生国で公開されたばかり。
先日BS12で“宇宙最速放送”。
フィリピンで日本のロボット・アニメが実写化。どんなものかちょっと気になってたので、早く見れて得した気分。
さてさて、フィリピンで新生した『ボルテスV』だけど…、
実写映画化と言っても『トランスフォーマー』や『パシフィック・リム』のような超大作ではなく、特撮ドラマ風。
良く言って愛やリスペクトたっぷり、悪く言ってベタでチープ。
この“B級グルメ”感がいいのだろうけど…。
ボルテスと敵の獣型ロボット“ビースト・ファイター”のバトルはCGを駆使してそれなりに迫力。実写化の醍醐味。
しかしそのCGも頑張ってはいるが、時々アニメっぽい。同じアジアでも如何に『ゴジラ -1.0』のVFX技術が凄かったか、改めて思い知らされた。
演出も演技も音楽も大袈裟。衣装やメイクもチープ。特にザルドス一派の美術・衣装・メイク・演技の学芸会レベルと言ったら…。
展開はダイジェスト的。なのに、テンポは悪い。
ロボット・バトルの合間合間に執拗に挿入される親子愛。メンバー5人の内、3兄弟と設計者の母。
やたらとお涙頂戴を煽る。クライマックス、ピンチに陥った息子たちを救う為に、母は戦闘機に乗り…。
おそらくこのシーンは大号泣・大感動なのだろう。
アニメを実写再現したボルテスのビジュアルや繰り出される必殺技(日本アニメよろしく必殺技名を高らかに叫ぶ!)は大興奮なのだろう。
ここぞという時に掛かる主題歌は盛り上がりMAXなのだろう。
フィリピンの国民性が70年代のロボット・アニメの熱量にマッチしたのかな…?
それはそれで嬉しいし、誇らしいが…。
正直、へ、へぇ…、これが人気なんだ…。
つくづく自分は『ガンダム』や『エヴァ』のようなリアル路線が好きなんだ、と。
『マジンガーZ』や『ライディーン』もちょっと見た事あるけど、あまりハマれなかった。
そもそもオリジナルのアニメを見た事すらない。主題歌もロボも設定も知らなかった。
だって、“ボルテスV”を“ボルテス・ブイ”と思ってたくらいだもん…。
日本人でありながら、スミマセン、フィリピンの皆様…。
まあでも、フィリピンでの人気よ永遠なれ。
レッツ・ボルトイン!