「ポジティブに評価して”踊る“ではありません。」室井慎次 生き続ける者 Parahucho perryiさんの映画レビュー(感想・評価)
ポジティブに評価して”踊る“ではありません。
“踊る”の軽妙かつテンポの良い熱い刑事ドラマを期待して鑑賞すると肩透かしを受けると思います。
大事件や猟奇的サスペンスに発展しそうな予兆は数々起こりますが、どれもそんなことには発展しません。
その一つ一つは室井さんを含めて登場人物の人生の苦悩の物語でしかありません。
かつての”交渉人真下正義“や“容疑者室井慎次”のようなスピンオフ的な要素は僅少です。
倉本聰さん的なヒューマンファミリードラマくらいに思って見れば感動もしますし泣けもします。
ただ、警察高級官僚OBとはいえ、室井さんの警察との関わり方や警察側の配慮や、
おチビさんの出戻りエピソードや室井さんの遭難時のひたすら警察無線交信での状況説明進行と無線のやたらと感情的なテンション、
その後室井さんが居なくなった後の子供達の暮らしぶり等にリアリティは欠けてますが。
まあ、“踊る”の看板が無かったら私自身わざわざ映画館に足を運んだかは疑問ですし、前編はここまでの興行成績は無かったとは思います。
作風規模的に見ても、新たな”踊る“映画の公開記念的にフジテレビ地上波の映画枠を使った2週連続ドラマだったらすんなり納得した出来だったとは思いますが、映画配給するほどの作品か?とは首を傾げたくなりもします。
興行収入を当てにしなくともある程度の視聴率とスポンサードは期待できたでしょうし、円盤化や各配信サービスで回収出来たでしょうに。
まあ、私的には柳葉さん的な室井さんへの葬送に寄り添ったドラマ作りだったんだろうなとは納得していますが。
寧ろエンドロール後一分弱の青島刑事登場と本格的な“踊る”プロジェクト再開への伏線が、このヒューマンドラマを芯のないものとしてぶち壊している気にしかなりません。
結局“踊る”やるならこの作風の映画必要でした?
こういうことするから不仲説がまことしやかに流れるんじゃないですかね?
今後の作品に室井さんが関わらないなら、その作品で沖田さんか新庄さんかに室井さんの行く末を語らせれば済んだんじゃないですかね。
総括すると元警察官僚OBの人生の終末へのロードムービーとしては感動できますし評価できますが、
”踊る大捜査線“が復活した!と、高揚して観に行くのは止めたほうが良いです。