GEMNIBUS vol.1のレビュー・感想・評価
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高齢化問題を取り上げた映画になぜゾンビが?
途中までそこそこ面白かったが途中からゾンビ映画になってしまった。もっとこの問題を掘り下げて欲しかったし、バーチャルリアルティーと健康との関係を深掘りして欲しかった。このテーマにゾンビはいらない。
それから主人公の年齢設定が変。1965年生まれだと。話の設定が2035年だと言うから70歳か。70歳にしては老け過ぎている。2035年の70歳はこんなんじゃないだろう。また、このテーマで前期高齢者を持ってくるのは如何にもミスマッチ。作者は本当に老人問題を知っているのか?実際に現場をリサーチしたのか。高齢化社会の実態を知らない若い映像作家が、脳内のイメージで作ったような作品だと感じた。
育成枠
若手育成と新しい才能の紹介の場という機能としては、面白い試みなのはよかった。
ただ、個別の作品クオリティに凸凹がありすぎた印象で、ものによっては「なんでこれをOKしたの?」と思わなくもなく。
時に、野球でたとえれば、二軍の13-0の試合の7回表攻撃を観てるようなかったるさすらあり。
監督というよりは、プロデューサー陣の育成が重要なんじゃないかとも思いました。
以下、個別の感想。
『ゴジラ VS メガロ』はYouTubeで発表、公開済みで新鮮味は薄れ、白組の金属質なCGの癖が強くて、日比谷のスクリーンだと目がチカチカした印象。
『ファーストライン』は微笑ましい佳作。
作画、演出の奥深い世界を感じつつ、「アニメーターの描くアニメーター」というのがすごくリアル。
演技もキャラも、作監のアニメーターの味が出ていて見応えがありました。
「とにかくやってみたい、始めたい」「上手くなりたい」という衝動を描いた作品であり、『音楽』『ルックバック』をどことなく思い出す部分もありました。
『knot』の絵面はたしかにスタイリッシュ方向ながら、見せたい絵が優先な演出で繋がりが悪く、脚本的練り込みの弱さが目立った。
『フレイル』はチープ。
さすが東宝結構豪華
東宝の才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」による、テーマも作品間の繋がりもない4本の短編オムニバス。
ゴジラ VS メガロ
少女に呼ばれて現れたメガロが東京を徘徊するゴジラと闘う話。
ストーリーは良く解らず、取りあえずゴジラとメガロが必殺技をぶつけ合うバトルアクションですね。
ドラゴンボール的なバトルが好きな人にはあうのかも知れないけれど、迫力だけという感じ。でも、こういう枠でこれはお見事。
☆2.5
knot
人の顔が判らない絵本作家のメンヘラ家族とトラウマの話。
息子が言うことを聞かない的な始まりだけど、結局自分しかみていない主人公が、トラウマと向き合うって感じかな?昔の家に入ったあたりでちょっとテンポが…ストーリー自体はかなり良かったんだけどね。取りあえず藤田さんは有能だった。
☆2.0
ファーストライン
新人アニメーターが初めて1人で任されたある作品のラストシーンの制作で苦悩する話。
迷って先輩たちに感想を求め、ドツボにハマっていくけれど…まあなんとなくその辺りで落としどころは見えてしまう。てもショートだし単純明快どストレートで良い感じ。
☆2.5
フレイル
2035年の日本で老齢者が高校生のアバターになって青春を楽しむVR世界にゾンビが現れる話。
病は気からってことで老人が元気になるのは良いけれど、それだけで話し膨らませて終わった方が良かったんじゃ?ゾンビ登場でパニックになっていたけれど、所詮VR世界の中だけですよね…というのがついて回ってしまった。
☆2.0
ちな監督の才能
ファーストライン目当てで、初日舞台挨拶の日に観ました。絵が動くワクワクと共に、まるで音楽も一緒に飛び出すかのような一体感、立体感。サントラはもはやサントラの域を超えています。ちな監督の、クリエイティブを愛するまっすぐな思いと、それだけではない企画力、構成力、巧みなフレーミング。監督にこれだけの企画を思いつかせる角野隼斗さんの縦横無尽な音楽力。短編なのでストーリーはシンプルですが、国際映画祭ノミネートも納得です。新しい才能の一歩に立ち会うって嬉しいものだなと思いました。
他の作品のことはほとんど知らずに観ましたが、個人的に一番苦手だと思っていたSF学園ゾンビ映画「フレイル」がけっこう面白かったです。奥平大兼はやっぱりいい俳優。脚本も、アイディアを雑多に詰め込んだように見えるけれど各々に必然性がある。「knot」は少し苦手でしたので、計4本の全体としては★3.5。
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