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2024.8.1 アップリンク京都
2024年の日本映画(91分、R15+)
ある出来事で体が入れ替わった小説家と美容師を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本はいまおかしんじ
物語の舞台は、関東圏のどこかの街
小説家として活動するたかし(小出恵介)は、妻・由莉奈(新藤まなみ)に男の影を感じていた
ある日の朝、寝言混じりにそのことを聞いてしまったたかしは、あっさりと妻から否定されてしまう
それでも疑念の拭えないたかしは、妻を尾行し、妻は見慣れない白い車に乗り込んだ
たかしはそれが不倫相手だと思って近づくと、そこにはたかしの父・英二(冨家ノリマサ)と妻がセックスをしている最中だった
証拠写真を撮って、その場を離れたたかしだったが、怒り心頭の状態のまま、高台の階段へと足を踏み入れる
そして、偶然そこを通りかかったサトミ(風吹ケイ)とぶつかってしまい、一緒に転落してしまった
大した怪我もなく、2人はそれぞれの日常へと戻っていく
だが、公衆トイレに寄ったたかしはモノがないことに気づき、自分が女の体になっていることを知る
また、サトミは男の体のまま自宅へと帰り、ルームメイトの真紀(荒木双葉)から変質者扱いされてしまうのである
映画は、イマドキ珍しい感じの男女入れ替わりもので、双方にパートナーとの問題があることが描かれる
たかしは妻の不倫相手が父親だし、サトミはパートナーの真紀がレズビアンではないことにショックを受ける
そして、2人が入れ替わったことを理解してくれるのは、行きつけのバーのマスター・熊野(田中幸太朗)だけだった
どんなに説得をしても誰も理解できず、2人は共通の悩みを持つ者として、一緒に暮らし始めることになったのである
物語は至ってシンプルで、慈愛精神から派生した妻が父の要求を受け入れるという謎理論が展開されていく
サトミのパートナーもクズ男に惹かれる性質があって、最終的には捨てられてシングルマザーになってしまう
だが、それよりもたかしとサトミの入れ替わりがどうなるかの方が問題になっていたりする
それでも、中身が入れ替わったことによって、これまでに得られないアドバイスや癒しが起きてしまい、それが問題を解決する方向へと向かってしまう
映画のラストは一風変わっていて、この手のジャンルは元に戻ることが多いのだが、本作では「相手の体のまま10年間を過ごした」という流れを汲んでいく
その間にサトミの体になったたかしは出産をしているし、たかしの体になったサトミは由莉奈との良好な関係を続けている
全てが丸く収まっている感じになっているのだが、サトミとたかしの関係も続いているので、俯瞰してみるとどうなっているのかは分かりづらい
たかしもサトミも、自分と相手の人生を半分ずつ歩んでいるようにも見え、たかしもマスターと同居しながら娘(華岡稟)を育てていたりするので、真面目に考えると頭が痛くなってしまう
とりあえずは幸せそうに思えるので、どの関係も破綻していないのなら、それで良いのかなとは思えた
いずれにせよ、結構ハードな濡れ馬がガッツリあるので、それ相応の「大人のリアルな入れ替わり」というものがわかるようになっている
由莉奈がセックスを通じて、中身が夫ではないことを悟ったり、真紀がたかし(中身はサトミ)に抱かれてることで縁を切ることになるのもリアルだったりする
このあたりの微細な感情の揺らぎは大人の入れ替わりならではだと思うので、その辺りを頭に入れて濡れ場をみると、いろんな発見ができるのではないだろうか