「血の繋がっていない大家族」大きな家 おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)
血の繋がっていない大家族
児童養護施設が舞台のドキュメンタリー映画といえば、2011年公開の『隣る人』を想起。
『隣る人』の方はどちらかといえば施設で働く職員にスポットが当てられていて、映画を観終わった後は席を立てなくなるぐらいの衝撃を受けた記憶があるが、今回の作品はそこまでのエグ味は無い感じ。
『隣る人』は、ある場面のことを思い返すと今でも泣きそうになる。
竹林監督の前ドキュメンタリー作品『14歳の栞』と構造は似ていて、舞台が中学校から児童養護施設に変わり、数人の子供の日常をフィーチャーしていく作りは同じ。
オシャレでCM的な演出が、個人的にドキュメンタリーとしては演出過多に感じる。
女子チームが賑やかなのに対し、男子チームはよくいえばクール。
他人の誕生日に蔑む発言を連呼する感じが、体育会系中学生男子っぽいなあと思った。
きっと、画面に映ってないところで、職員の方々はそうとう苦労されているのでは?と思いを馳せてしまった。
血は繋がっていないけど、大家族もののテレビ番組を観ている感じ。
女子チームはずっと修学旅行みたいで楽しそうで、この映画を観て、児童養護施設に悪い印象を持つ人はいないのでは?
子供たちは父親か母親はいるようなので、ではなぜ施設にいるのかは気になった。
この映画は字幕付きで、幼児の発言はひらがなで表示されていたが、子供に「どこ行きたい?」と質問した時の答えが「さいきょうせん」で、ひらがなにすると強そう、とどうでもいいことを思った。
運動会のエピソードが素敵。
教室で子供を孤立させてしまったことに責任を感じた担任の「もう一度チャンスをもらえませんか?」という発言がカッコ良すぎる上に、ちゃんと結果を出すのが素晴らしすぎる。
施設の子供たちは成長するとみんなチャラくなっていくのが若干気になったが、まあでもそれが普通な気もした。
17歳の女子の「20年後どうなりたい?」と聞かれた時の答えが、ダメなんだろうけど個人的には「わかる!」と思ってしまった。
映画の最初と最後に「映画に出てくる人をSNS等で誹謗中傷しないで」と警告が出るが、そんな警告が必要なほど腐ってる世の中が悪い。