「アビエイターの意味と、宇宙ロケット」アビエイター あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
アビエイターの意味と、宇宙ロケット
2004年12月公開
スコセッシ監督が本作を取った狙いは何なのでしょうか?
テーマは一体何だったのでしょうか?
単なる伝説の男の一代記という映画だったのでしょうか?
観終わってもしばらく疑問符でいっぱいなままでした
しかししばらくたってようやく自分なりの答えがやっとのことでまとまりました
スコセッシ監督は、この稀代の大金持ちの人生を通じて、アメリカの理想、成功者の在り方を描こうとしたのです
これもまたアメリカの歴史の側面を描くことに他ならないのです
アビエイターとは飛行士のこと
はるか上空から、地上の姿を見下ろす男のことです
地上にいては見えないものが見える男なのです
ハワード・ヒューズは金の力で大空を高く高く飛行する男なのです
映画業界は、アメリカの文化の根幹
航空業界は、戦後アメリカ経済の機関車
どちらも外の世界にオープンなようで、実はクローズな世界
内輪の人間だけで動いている世界だったのです
そこにヒューズは、空から舞い降り、その手を奥深く入れて自分がやりたいこと理想とすることを追求して実現してみせた物語なのです
前半は、映画業界に挑む彼の姿を描きます
飛行機で大散財する彼はまるで、ドン・キホーテのようでもあります
キャサリン・ヘップバーンやエヴァ・ガードナーという超有名女優との浮き名のシーンには映画ファンなら誰しも興味津々になるでしょう
キャサリン・ヘップバーン役のケイト・ブランシェットは、本当は全然似てないのに凄く似て見えます
細くて背の高い姿形の立ち振る舞いが彼女そのものに見えます
その話し方までそっくりなのです
物まねショーかよと笑うほど似ているのです
ぜひ吹き替えでなく字幕版でご堪能下さい
しかしキャサリン・ヘップバーンファンとしては
彼女はもっともっと美人なんですけど!プンスカ!なんですが・・・
後半は、パンナムに対抗する大航空会社を作っていく姿を描いています
パンナムは、いまはもうない航空会社
1991年に破産して、多くの職員と機材はアメリカン航空と、ユナイテッド航空に継承されています
しかし、日本ならJAL に相当するアメリカのフラッグキャリアーだったのです
つまりアメリカを代表する会社であったです
パンナムは権力と癒着してハワードを排除しようとしますが、ヒューズは敢然と闘いを挑み勝利するのです
冒頭の幼少期の母親とのいきさつ、強迫性障害などについての描写は、彼の人間としての説明であって、それ自体がテーマでは有りません
いろいろな問題を抱える一人の人間であるということです
稀代の英雄であることは間違い無いことなのです
アメリカ人の成功者の一つのモデルなのだと思います
つい先日の2021年9月16日、民間の宇宙ロケット「クールドラゴン」が打ち上げられました
3日間も地球周回軌道を宇宙飛行し無事帰還してきたと大きく報道されました
このスペースX社という民間宇宙ロケット会イーロン・マスクは社は、大富豪のイーロン・マスクが興した会社です
その少し前の7月にはAmazonの創業者にして大富豪のジェフ・ベゾスも、自らのロケットで宇宙に打ち上げられていました
この二つのニュースに接して、初めてスコセッシ監督が本作で撮りたかったのはこれだったのだ!と、遂に理解ができた気がしたのです
この二人の大富豪は正に21世紀のアビエイターたらんとしているのだと思います
ハワード・ヒューズを目標として乗り越えて行こうと野望を燃やしているのだと思います
アメリカの成功者とはこういうものである
それをヒューズが示しているからなのです
これもまた強迫性障害なのかもしれませんが・・・