「力作だが・・終盤に違和感・疑問点が複数・・ 舞台挨拶配信上映 後半ネタバレ★3.6」室町無頼 レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
力作だが・・終盤に違和感・疑問点が複数・・ 舞台挨拶配信上映 後半ネタバレ★3.6
う~~ん邦画にしては大作・力作だが、終盤に進むにつれ、いかにも映画的演出が散見し、上映時間も短く感じるほどには至らず。
他作を見る予定だったが、"舞台挨拶の同時配信" なる物が上映前に観れると知り、★平均の高評価もあり、急遽今作にシフト♪
劇場に入ると、「室町無頼」のタイトルの下に、
"初日舞台挨拶生中継付き上映"のサブタイトルがスクリーンに♪
そして他作予告などなく、すぐ現場の生映像が写し出され、監督・主要配役4名登場し、挨拶&トークに♪
大泉洋が常に笑いを獲るトーク進行(下ネタ含む)が多く、客席の特に女性達はキャッキャと笑い声♪
私は彼女たちほど笑えなかったが、あるコメントに感心。
「用心棒」の三船敏郎さんになったつもりで、殺陣に挑みましたよ~と♪
そしてあの名台詞、「斬られりゃ、痛いぞ・・。」と真似る♪
ほほ~大泉洋も黒沢&三船のファンだったんだと知り、嬉しくなる。
「用心棒」は私の生涯BEST3の1本。
(トークは全体で35分も。 現在一部がtubeで見れます)
さて本作、冒頭に飢饉で死人の山・・の映像に、想像にないシリアス感が伝わり、前のめりに・。
が、大泉洋の殺陣シーンで、BGMがウエスタン調・・・・うぬ、違和感が。
登場人物の衣装の汚さがリアルで、特に長尾謙杜は汚れた顔にボロ衣装でアイドルらしさを意識しなかった。
他の端役は渋めの顔が多く、これ白黒映像なら昭和の作品に見えたかも、と思えるくらい序盤の演出はよかった。
演者=
堤真一の幕府侍「骨川道賢」役がハマっていて、低く抑えた声での演技はこの役そのもの存在感。
長尾謙杜は演技というより、修行シーンのアクションや “六尺棒”での立ち回りが多く、相当訓練を積んだようだ。
殺陣監督から、撮影前に「ベストキッド」的基本動作ばかりを練習させられ、
意味が分からなかったが、いざ撮影で指示どうり出来て初めて、その有り難みを理解したと語っていた。
ただ大泉洋が、役柄的にはいぶし銀の役で挨拶トークとは真逆で、
髭を生やした容姿も普段より貫禄はあるが、、どうしても大泉洋にしか見えない・・。
この役が、役所広司さんなら、作品がワンランク上がったろうな・・と視聴中にも感じてしまう・・。
(大泉ファンの方、スイマセン^^;)
真面目に熱演しているが、私的にやはり威厳が足りない。
全体的に「動」のあるシーンはいいが、「会話」シーンは説明描写に感じてそれほど引き込まれず、ややもたつき感も。
特に大泉と松本若菜の寝床シーンは、ハッキリ言って"様"になっていなかった(笑)・・。
物語が進むにつれ、シリアス感が薄れ昨今作品と変わらぬ演出に感じ、今風BGMがよりアンバランスに。
一揆の始まる盛り上げ感、大人数での激突殺陣などは金が掛かっていてそこそこの醍醐味だが、問題なのは終盤・・。
えっまだ続くの・・・と感じるエンディングで、さらに一人がマーベル級の活躍に??
★が私的に2段階下がった。
平均★も視聴前は4.3だったが、早くも4.1に・・。
(現在は3.8まで下がっている・・)
終盤ネタバレ↓
城内になだれ込んでの、大乱戦はいいのだが、決着が付かないうちに、太鼓が鳴り出し、一揆側が浮かれ出し踊る・・
なんじゃこりゃ・・。
なんか他作で観た様なシーン。
この浮かれ状態がエンディングかと思いきや、
一揆側10数名と、幕府側100名以上が対面状態に・・
いつの間に? 他は全部死んだ?
まさか・・・え~~この人数で突っ込むの?
主演までやられてジ・エンドなはずが、
長尾謙杜が、ハンマーの代わりに"六尺棒"を振り回し、
マイティー・ソー ならぬ マイティー・ケント状態で100人力に!
(役名は才三だが♪)
侍劇が一気にマーベルアクションに様変わりしてしまって、謙杜ファンは大喜びかもしれないが、こっちはため息・・。
バカ殿の息の根を止めてはいいのだが、
門に「無頼」の紙を射貫いて少年劇画かっ?・・と、
それで再度ジ・エンドかと思いきや、
逃げのびた二人に再度、決着・・。
この演出はまさに「椿三十郎」のエンディング・オマージュ・・。
▲一番の懸念ポイント
恩師が亡き者にされたのに、泣き崩れることなく、
亡骸を埋葬する事もなく、スタスタ去る・・。
あり得ないだろう・・。
私が、もし脚本家なら、骨川に「わしが丁重に弔う・・・ 行け。」
と一言言わせ、才三は悔し涙を拭う・・・
ぐらいには演出しまっせ・・・
さらに年月を経た映像に・・えっ、ま~だあるの・・
再会した二人に、思わせぶり・・・それ必要?
マーベルのオマケ映像の真似?・・
なんか不味い薬味を継ぎ足した様で、★さらにダウン・・。 もったいない・・。
先日見たネトフリ作品「6888郵便大隊」は逆にラスト映像で★が上がったのだが・・。
PS
「用心棒」「椿三十郎」を未見の方は是非♪
役所広司でも追いつけない、三船敏郎 主演です。
三船さんは、当時の殺陣監督が "私の何倍" も巧い、
そしてあの殺気は、三船さんしか出せないと絶賛。
海外の映画賞に行くと、国際的俳優が、
三船さんの名シーンをこぞって真似をした程だったそうです♪