「才蔵無双を観るために映画館に行く価値がある」室町無頼 aさんの映画レビュー(感想・評価)
才蔵無双を観るために映画館に行く価値がある
この映画は、まさに"才蔵の成長物語"だ。
才蔵の“成長”が物語の核で、
映画は兵衛視点で描かれており、原作読者も新鮮に楽しめる。
史実圧縮や展開の速さ、慣れない西部劇風演出、挿入歌や一揆の描写、「無頼」の意味などで、初見は戸惑うかもしれない。
私はだいぶ戸惑った側の人間だ。
しかし、背景や時代性、人物たちの心情に理解を深めることで、
作品は観るほどに面白くなる。
歴史に名を残さなかった人々の生き様や、
現代にも通じるテーマが力強く刻まれており、
今では「高く評価されるべき作品」だと胸を張って言える。
でも、最初からこの想いだけは変わらない。
「才蔵無双を観るために映画館に行く価値がある!」
飢えと孤独に耐え、ただ吠えるだけだった少年・才蔵が、自分の意志で変わっていく──
最初は小汚く滑舌も悪くて「威勢だけ」だった才蔵。
けれど1年の修行を経て、最強のヒーローへと成長する姿が心に刺さる。
1年で表情や立ち振る舞いまで別人のように成長し、
時折見せる純粋さも魅力だ。
そしてなにより、修行や殺陣のシーンは圧巻。
ゼロから学んだ棒術を、無双シーンではノーカット披露。
このシーンだけでも映画館に行く価値がある。
長尾謙杜の人柄と演技が才蔵に完全に重なり、
奇跡的なキャスティングだと思う。
インタビューで「泣きそうになるくらい稽古がつらかった」と話していたとおり、
あの殺陣を完成させるまでの努力は想像するだけでもすごい。
修行過程はもっと観たかったが、
最終決戦の“無双”シーンでその成果をしっかりと感じられる。
恩師のために命を懸けて走り抜く最強才蔵は本当にかっこいい。
理解しづらい部分もあるが、咀嚼すれば魅力にハマるだろう。
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