「才蔵の無双シーンを観るために観る価値あり」室町無頼 aさんの映画レビュー(感想・評価)
才蔵の無双シーンを観るために観る価値あり
この映画は「長尾くん(才蔵)の成長物語」というのはまさにで
(元々小説は「天涯孤独の少年・才蔵の成長と活躍を描いている」とあるので才蔵は実質主役なのかな)
申し訳ないけどもはやそういう意識で観た方がしっくりくる
最初は小汚くて滑舌も悪くただ吠えている少年が
たった1年でとても凛々しく成長し最強のヒーローに!
顔つきもすっかり変わって髪が伸びただけなのに
なぜか身長まで高くなったように感じました。
餓死寸前で生き延び狂犬化する絶望才蔵
従順で素直とても無邪気で泣き虫な才蔵
心を決め凛々しく立派な青年となる才蔵
恩師のために命かけて走り抜く最強才蔵
可愛らしくもかっこよく、とても魅力的な才蔵で
長尾くんの成長過程の演じ分けが素晴らしかったです
本当にどんどんかっこよくなる!
最初の頃の才蔵は幼い印象だったのに
顔つき、歩き方、話し方...すべてが別人で
1年で5年分くらい成長するんです!
でも時折みえる純粋さや愛らしさは変わらずでかわいい
この映画のためにゼロから棒術を覚えた長尾くんと
自分を暗闇から救い上げてくれた兵衛のために
1年間の修行を経て最強の棒術を身につけた才蔵は
重なるところが結構あって
演技だけではなく、彼そのもののでもあるから
作り上げられた才蔵なのかなと思います。
最後の殺陣は圧巻でこれをノーカットで撮っているの
本当にすごすぎると思います(初めての殺陣なのに)
「才蔵無双」を観るためだけに映画館に行く価値あり
と思うほどでした!
才蔵だけで★5つけたい気持ち!
長尾くん、才蔵にピッタリだった!!!
2回鑑賞したのですが、1度目に感じたことと2度目に感じたことをふまえて書きたいと思います。
〈全体〉
1回目の鑑賞時は、
全体的になんでもありの海賊みたいだなという印象で
アウトローというか、もはやヤンキー映画。
全体的に場面の切り変わりが唐突な感じがあって
一揆に向けての展開があっちこっちいくイメージ。
こちらも一揆に向けて士気を高めたかったのだけど
置いていかれててるような感覚も少しありました。
(個人的感覚ですが)
冒頭にも少し書きましたがストーリーの軸が複数あることも初見ではついていけない要因なのかなと思います。
また、演出に気になるところがちょいちょいあって気が散ってたのかもしれないです。(一部後述します)
ぶっちゃけ途中間延びした感覚や最終的に才蔵が無双して全部ぶっ飛ばしてかっけぇ〜!!となった以外はちょっと期待外れかもと思ったのが終わった直後の感想でした。
2回目の鑑賞時は、
ある程度ストーリーや時代背景を理解した上で観たので
入り込むことができて楽しかったです。
細かいところが気になるという人は
時代背景や原作・映画の予備知識を持った上で観た方が
より楽しめるのではないかと思います。
2度目は間延びした感覚はなく意外と整理されたストーリーだったなと思い直しました。
〈修行シーン〉
1度目の鑑賞の時は
泣きそうになるくらい稽古は辛かったとインタビューで言っていたことが容易に想像できる内容だったのですが、その修行過程が映画にはあまり現れていないくてちょっと残念...。
あっという間に釘刺せるようになっちゃって
あっという間に強くなっちゃった感じがして
才蔵の頑張りに泣きたかったのにな...
尺の問題で仕方ないとは思うけど
才蔵が泥臭く頑張ってるシーンはこまめに挟んだ方が
「血の滲む修行」を感じられたのではないか。
それとも棒術の才がありすぎたのか?
などと感じていました。
2回目の鑑賞時は
最後の無双シーンで「修行の成果」を感じるところが多々あることに気がついて「あの修行が活きてる...!!」
と見事に泣きました。一揆本番をゴールとして観たら
修行の修行まで描く必要はないというか全体からみた尺的にもちょうどよかったなと納得できました。
2度観ても気になるところはあって
〈挿入歌〉
挿入歌のチョイスは気になります!
1回目鑑賞時は
音楽が急にポップに変わるのでビックリして
真剣な一揆というより楽しんでる感じに戸惑ってました。
一揆が終わった瞬間?も突然で急に歌い出してお祭り騒ぎになって「すべて燃えたよ」と言い出した時は
あれ?いつ終わった??と混乱しました。
2回目鑑賞時は
一揆は2段階に分かれているという前提認識を持ってみたのでそこは無理矢理感あるけどクリアして、
(実際の史実でも何度か一揆は分けて行われてるし)
一揆の中でポップな印象を受ける曲は兵衛が一揆を「おもしろかったのぉ」と言うように一揆は命懸けだけどお祭りのように描いて一揆勢のアウトローさを表現したかったのかな(実際、一揆楽しそうだなぁ、一緒に暴れたいなぁと思う瞬間もあった)
と咀嚼できるところはあったものの
「虫けら達のバラード」だけはどうしても違和感があります
あの時は9人中8人が絶体絶命の場面だったのですが、
「俺たちは所詮虫けらだしな」みたいな悲壮感を表したかったのでしょうか?
ちなみに1回目みたとき8人全員やられてることに気がついてなくて、2回目は「マジ才蔵超救世主じゃん!!!」ってテンション上がりました。
〈最後の"無頼"の意味〉
兵衛が落として才蔵が戦いながら拾った紙、大切な何かかなと思ったら『無頼』だったのは
「俺らを舐めんじゃねぇぞ、無頼だぞ!」ってこと?
「俺らを無視すんじゃねえ!」ってこと?
"無頼"にたいそうな意味を込めてるんだなということだけは感じたけど、"無頼"からの徳政令を勝ち取るが繋がらなくて「?」って感じになってしまう。
込められた意味を知りたい。
最後におまけみたいな感想ですが
才蔵の今後を続編で観たいなぁなんて考えてたら
兵衛もどきみたいになった才蔵が出てきて拍子抜けでしたw
何年後かわかんないけど泥もつかずにあの髪型にすると元のベイビーフェイスが全面に出ちゃうから
長尾くんは若すぎるかも
それに長髪の方がかっこいいし大人っぽかったから
なんとなく兵衛に似てるなくらいにとどめた方がよかったなと思いました。
解釈に悩むところはあるけど いい映画です!
高評価も低評価も理解できます。