劇場公開日 2024年12月20日

「悪くはないが、連ドラでじっくり観たかった!」【推しの子】 The Final Act おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5悪くはないが、連ドラでじっくり観たかった!

2024年12月21日
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鑑賞方法:映画館

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原作コミックは未読ですが、テレビアニメで一気に引き込まれ、実写映画化に大きな期待を寄せていました。公開1週間前からアマプラ全8話をまとめて視聴し、万全を期して公開2日目に鑑賞して来ました。期待以上とは言いませんが、物語の決着を見たという満足感は得られました。

ストーリーは、アイドルグループ「B小町」のアイの大ファンである産科医・雨宮吾郎のもとに、双子を妊娠中のアイが患者として現れ、彼女を狙うストーカーらしき男によって殺されてしまった吾郎はアイの息子アクアとして転生するが、その数年後、同じストーカーによって今度はアイ自身がアクアの目の前で殺されてしまい、最愛のアイを亡くしたアクアの人生をかけた復讐が始まるというもの。

本作の魅力は、転生というファンタジックな設定とは裏腹に、現役アイドルの極秘出産と殺害、双子の父親の正体、謎の真犯人、芸能界の裏事情などのヘビーな要素を詰め込んだ、先の読めない攻めたストーリー性にあると思います。これらの要素は実写に適しており、事前に視聴したアマプラ版の全8話でも、アニメとのテイストの違いはあるにせよ、うまく映像化されていたと思います。

そのよさは本作にももちろん引き継がれており、事件の真相に迫るアクアが、どのように復讐を果たしていくのかというのが最大の見どころとなっています。ここに、一度はアクアとケンカ別れしたルビーが絡んでくる展開が熱いです。アマプラ版では今ひとつパッとしなかったルビー役の齊藤なぎささんの演技が、本作では一気に魅力的なものとなっています。おそらく本作で描くストーリーのために、ドラマ版ではわざと抑制していたのでしょう。あふれるような思いを込めてアイを演じるルビーの心情が、ひしひと伝わってきます。

ただ、アマプラ版を観てない人は、本作を理解できたのか疑問です。しれっと登場する、有馬かな、MEMちょ、黒川あかね等の存在感がかなり薄かったのも残念です。逆に、アマプラ版視聴済み派には、前半は復讐のための復習となっており、バランスの悪さを感じます。アクアが映画製作によって犯人を追い込むまではかなりおもしろいし、ルビーがアイの気持ちを考えて考えて考え抜いて役作りを進め、覚悟を決める過程にはほろりとくるものがあります。それだけに、もっとじっくり描いてほしかったし、なんなら劇場版ではなくアマプラで最後まで描いてもよかったと思います。

また、事件の真相が明らかになり、双子の思いも遂げられたように見えるので、それはそれでOKですが、結末がどうにもスッキリしません。犯人の意図が意味不明すぎるし、最後のオチもなんだかなって感じで、ちょっとモヤモヤします。バッドエンドやビターエンドも甘んじて受け入れますが、せめてスッキリはさせてほしかったと感じます。

キャストは、櫻井海音さん、齋藤飛鳥さん、齊藤なぎささん、原菜乃華さん、茅島みずきさん、あのさん、濱田マリさん、倉科カナさん、金子ノブアキさん、成田凌さん、吉田鋼太郎さん、二宮和也さんら。どなたの演技も申し分なく、作品の完成度を高めています。中でも、本作では出番が少なかったですが、ドラマシリーズを通しての原菜乃華さんの演技が秀逸で、陰の立役者だと感じます。

おじゃる
トミーさんのコメント
2024年12月22日

共感ありがとうございます。
原作漫画もアニメもドラマもほとんど観てないですが、何とか周辺情報だけで理解出来ました。
原菜乃華さん丸っこいのでちょっと苦手でしたが、新生B小町では一人黒髪で良かったです。

トミー