旅人の必需品

劇場公開日:2025年11月1日

解説・あらすじ

韓国を代表する映画作家ホン・サンスが「3人のアンヌ」「クレアのカメラ」に続いてイザベル・ユペールと3度目のタッグを組んだコメディドラマ。

ソウルを旅する謎めいたフランス人女性イリス。生活費を稼ぐためフランス語の個人レッスンをしているが、そのあまりにも風変わりな教え方に生徒たちは戸惑いを隠しきれない。レッスンを終えると、彼女は年下のボーイフレンドのアパートへと帰っていく。イリスは何のために韓国へやってきたのか、そしてなぜフランス語を教えているのか。韓国の国民的詩人ユン・ドンジュの詩に触れるなかで、謎に包まれた彼女の日常が徐々に浮かび上がっていく。

共演にもホン・サンス監督作の常連俳優が顔をそろえ、主人公イリスがフランス語を教える生徒ウォンジュをイ・ヘヨン、そのパートナーをクォン・ヘヒョ、イリスのボーイフレンド・イングクをハ・ソングク、その母親をチョ・ユニがそれぞれ演じた。2024年・第74回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞。日本では、ホン・サンス監督のデビュー30周年を記念して5カ月連続で新作を上映する企画「月刊ホン・サンス」の第1弾作品として劇場公開。

2024年製作/90分/G/韓国
原題または英題:A Traveler's Needs
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2025年11月1日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第74回 ベルリン国際映画祭(2024年)

受賞

審査員グランプリ(銀熊賞) ホン・サンス

出品

コンペティション部門 出品作品 ホン・サンス
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映画レビュー

3.0 サラダもいいけど、やっぱりチゲが食べたいです

2025年12月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ホン・サンス監督は私の大のお気に入り。会話劇の心地よい世界に浸れるので、いつもいそいそと観に行きます。売れるとプロデュース業に回ってしまう監督が多い中、コンスタントにリリースしてくれるのも嬉しい限りです。

今回は過去二度タッグを組んだことのあるイザベル・ユペールの起用です。

食事、愛飲、散歩、楽器演奏(愛の夢!)などいつものホン・サンスらしいシーンが出てきてご機嫌でした。ク・ヘヒョとイ・へヨンの夫婦はホン・サンス組の安定の演技。

ただ今作は、肝心の会話が英語中心になってしまい、韓国語の独特の響きをあまり聞けなかったのと、韓国人の心情表現が従来作より浅くなってしまったように感じました。ここはやや物足りなかったかな。
外国人の旅人をメインに据えたので仕方がないところですが、もう少し化学反応的展開があっても良かったのかなと思います。

一方で外国語学習において、単にhappyやbeautifulだけでなく、自分の心の深い部分を見つめて外国語で表現できるようにするというのは、いかにもホン・サンスらしくてとても気に入りました。

緑のカーディガンのユペールが少し巻き肩になっているところとか、詩碑を読む3人を背中から撮るショットも独特で良かったです。

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sugar bread

4.5 「ホン・サンスが描く虚飾のある人と超然としている人」

2025年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

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かな

4.0 観る者ごとに空想させ、感じさせる造りの映画

2025年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

韓国ソウルに旅しているフランス人女性イリス。彼女は一風変わった教え方でフランス語の個人レッスンをしており、まずは教え子の若い女性とのやりとりからスタート。

次いで初めてレッスンをする夫婦のもとを訪ねる場面へと展開し、その後同居させてもらっている年下の韓国人男性住のアパートに戻る。そこで男性の母親が突然訪ねてくるいう流れで展開。

登場人物との会話の端々、心の機微から、それぞれの人生や生活が一体どのようなものであるのかを観る側に想像させるような造り。

教えている相手はいずれも裕福、韓国人男性は中流といった印象を抱かせ、韓国社会におけるヒエラルキーも作品の中に散りばめられている。

公園で下手なリコーダーをおかしな旋律で吹くイリスと出会い、同居を決意したという男性は詩人。イリスは詩に対する興味が深い。

イリスの下手なリコーダーに対して、それぞれの登場人物が楽器を一定以上の技量で奏でる場面があったり、イリスはマッコリが大好きで、昼間からマッコリを飲むシーンが頻繁に出てきたりという演出など、特徴的なシーンを混ぜ込んでいる。

そんな所からも全編にわたって不思議な空気感を感じ、観る者によって見方、捉え方が異なるよう造られている。

イリスは自由で謎めいた存在。ストーリーらしきものはなく、それぞれの関係を淡々と描いた映画。ホン・サンス監督作品は初めてみるがその独特な造りに驚く。

日常に潜む不思議な心の揺れのようなものを、観る者ごとそれぞれの視点で想像させ感じさせられる。監督に遊ばれている感じさえするインディペンデント映画作品。

鑑賞後、ホン・サンス監督映画の世界観の一端を観たという印象が残った。

一昨日観た「旅の日々」そしてこの「旅人の必需品」ともに、起伏の緩い、ゆったりとした流れの作品。歳を重ねた今だからこそ、ほっこりしながら、観ることが出来た気がする。

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Toru

3.0 必需品ってなんだったんだろ?

2025年11月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ユペール見に来たのですが、監督がホン・サンスでした。以前「逃げた女」見た事あるんだけどちょい苦手。
たぶん脚本あまりかっちりさせず役者アドリブに任せるやり方なんじゃ無いかなぁ、、自然と言えば自然なんだけど役者の力量、組み合わせによりばらつきが生まれやすい気もするし何よりテンポが出にくく冗長になるリスクも高い。
でも本作は設定が面白かったせいか割と楽しく見れました。

苦手克服したのかオレ?

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masayasama