不死身ラヴァーズのレビュー・感想・評価
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否認と固着の果てに。
2024年。松居大悟監督。小さいころ死の淵から生還した女性は、そのとき出会った少年が忘れられない。中学校で再会して告白するが、突然目の前から消えてしまう。それ以来、同じ名前の男性が現れるが恋になるところで消える、ということを繰り返して、、、という話。
主人公の主観に沿って映画が進むが、それは否認に基づいた過去語りであることがやがてわかってくる。そのきかっけは、否認の元になった本物と遭遇すること。特殊な病を抱えている本物との付き合いを通じて、主人公は否認の事実を認めていく。
SF系や幽霊系など途中まではどんなフィクションでもありうる展開だったが、いかに特殊でも心理系で説明がつく現実世界の映画だった。否認と固着といった自我問題を抱える主人公と、事故により記憶に障害をうむ器質的疾患を持つ相手と。つまり、「心」に問題をもつ人と「記憶」に問題をもつ人が対峙しているのでどっちを信頼していいかわからない、というところがミソ。
同じロケーション、同じアイテムをどこで使うか、どこをずらすかによってリズムをつくることに意識的で安心して見られる。
ポップさが新鮮
よくある記憶消える映画ではあるが、全体に明るくポップでありながら、主役の走馬灯ではとの不安がつきまとい目が離せないくらいの緊張感があった。ギターの演奏もリアルで気持ち良く、記憶消え映画の中でも優秀作です。
とっ散らかってどうもよく分かりませんでした。
原作漫画は甲野じゅん視点になっていて消えるのは長谷部りのの方。映画化にあたっては男女をひっくり返した訳だ。
恋仲になると相手がきれいさっぱり消えてしまう設定は同じ。この不条理を暑苦しく絶叫して嘆く男の子(原作漫画はそんな感じ)より女の子が嘆く方が絵になると考えたのだろう。まあ見上愛さんはこざっぱりした中性的なイメージの女優さんなので割と淡々と不条理ドラマが進む。
大学生になってじゅんの家にりのが毎朝迎えに行くあたりから(事情があるのだがネタばれになるので)やや恋愛ドラマっぽくなってくる。
あれ、じゅんが消える話はどうなるの?と思っていたら妙な種明かし的な話がくっつく。これがとっ散らかっていてよく理解できない。
結局、最初から最後まで熱量が同じというか、アップでもダウンでないので、メリハリがないということにつきますね。
せっかく前田敦子を出演させたのに。キンキン声を出さないエキセントリックでない前田敦子ってどうよ、と思いながら観てました。
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