ゴジラ-1.0/Cのレビュー・感想・評価
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圧倒的にゴジラが怖い
色が抑えられ、凹凸明暗が強調されてディテールが細かくわかる。
このバージョンの方が、圧倒的にゴジラが怖い。
終戦直後という描いた時代との親和性も相まってしっくりくるし、また、色が削げたことで情報量が絞られあちこちに目が行きにくくて主要な情報を拾いやすい。
役者の表情、特に目の演技については分かりやすさが増しました。
世界に観てもらうには元のカラー映画がよいだろうが、個人的にはこの『マイナスカラー』の方がよいと思いました。
ストーリーも各セリフも通常版と変わってませんが、何度か観て冷静になれたことも相まって、ツッコミどころとした過剰なくらいセリフで説明しすぎな部分について、「海外だと日本の風土、日本人の考え方・メンタリティ・生き恥の概念が理解できないだろうから、このくらいの説明がちょうどよかったかもしれない」とも思えました。
また、これは「怪獣映画」ではないなと再確認。
ここに出てくるゴジラは、決して初代ゴジラのような「戦争や原水爆の恐怖」「もう一度やってきた厄災」の化身である「怪獣」ではない。
あえて言えば、敷島の「戦争のトラウマ」の化身。
なんの戦果も上げられず同胞を見捨てて、自分だけ戦場で生き延びた敷島が、PTSDを克服するというのがメインの話。
そのPTSDへの特攻、というシーンで逆算で物語を作った、泣かせ…「ドラ泣き」ならぬ「ジラ泣き」狙いの脚本。
本作でのゴジラというのは、あくまでも泣かせのための「便利な道具(方便)」なんですよね。
だからこそ、怪獣には興味のない人たちも響いて普遍化し、自国を守るのではない中東などでの戦争でPTSDを抱えた人や、そんな人たちが身近にいる欧米で、この作品は受け入れられているんじゃないかな……
なんてこと風にも思えました。
色がついてるときは、「ここがおかしい」ってツッコミに忙しく、アトラクションみたいなCGの派手さに気を取られて、そこまで思い至りませんでした。
最高の「壊滅の序曲」、正当な1作目の前日譚
ゴジラ-1・-C(マイナスC)見てきました・・・
今の気分は・・・最高のものを見たという興奮と感動、同時に自分に対する恥ずかしさ。
先のカラー版マイナスワンへのレビューに「監督には誇りと矜持を」などと書きました。まあ、自分は何も見えていなかった。1954年の1作目への偏重した評価の余り、マイナスワンを色眼鏡で見ていた、というか見るべきものが見えていなかった。ほんと恥ずかしい。
(カラー版マイナスワンへのレビューを削除したいほどだけど、自分への戒めのため残します。あれはまあ、1作目のレビューの出来損ない位のものとして読んでいただければ・・)
それほどこのマイナスCから受ける印象はカラー版のマイナスワンと違っていました。モノクロ画面のトーンは、敷島が抱え続ける哀しみ苦しみをそのまま反映し、カラー版で感じた各役者の演技の浮わついた感じも、この全編を覆う暗鬱なトーンに抑えられ、それぞれの人物の悲しみ、苦しみ、怒り、覚悟といった感情の輪郭がくっきり浮かび上がってきて胸を打ちました。ゴジラ来襲のシーンは薄明のような不鮮明さ故に、その不条理さ、無慈悲さが一層際立ち、立ち向かう人々の悲壮感も更に・・・(銀座来襲シーンの、敷島が「黒い雨」に打たれる、その雨の黒さ・・・)
何より、このモノクロトーンが、私がこだわりすぎている1作目に漂う「核の時代」の空気感を予感させ、違和感なく同調しているのがすばらしい。「核の原罪」を描くゴジラ映画には、やっぱりモノクロ画面こそふさわしいとつくづく思ってしまう。
しかも、あえて1作目が語った「パンドラの箱を開けた科学者の悲劇」には触れず、逆に1作目では描き切れていなかった市井の人々が敗戦の絶望から更なる絶望に立ち向かう力と意思を取り戻す過程をしっかり描いている。
マイナスCこそ、1作目の正当な、そして最高の前日譚、「壊滅の序曲」だと思いました。
G1.0マイナスカラー鑑賞しました
さて、わざわざモノクロにコンバートして上映するという公開形態をとった本作ですが、いろいろと新しい発見がありました。
カラー情報が無くなったことにより、リアリティ(?)というか、肉感的な感覚、役者が画面のそこにいるという生々しさが無くなった感じで、モノクロに慣れている方にはリアルに感じるのかもしれませんが、なんか「情報が減った」感覚があり、その分、カラー情報に隠れていた情報が入ってくる感覚がありました。
特に音、声。
あれ、こんな感じだったっけ?セリフがするすると頭に入ってきます。
モノクロでリアリティが増すというよりは、アニメ観てるみたいな感覚が襲います。
いいセリフ回しだなと、感心しました。
あと、憲子が浩一を突き飛ばして、吹き飛ばされるシーンがはっきり見えました。
カラーでは気が付かなかったところにいろいろ気が付けたのが今回の鑑賞におけるメリットでした。
モノクロは映画の質をあげました。
カラーだと色を視覚が意識しすぎてしまい、映画への没入感が落ちるのがわかりました。モノクロだと視覚が色を意識しないため、演者の台詞、表情に目が集中するので初見のカラー版では気付かない人間ドラマの趣きの深さに感心しきりでした。またゴジラの迫力はモノクロ版が圧倒的に良かったですね。
ゴジラのテーマって改めて名曲
モノクロがよく似合ってました!ってカラー版を観てないので比較できないのですがとにかくよかった。ストーリーも面白かったしゴジラの迫力がとにかく半端ない、出現するシーンはひたすら不気味、火を吐くシーンは戦慄が走った。破壊シーンもリアリティがあって凄い。ゴジラのテーマがこれほど心に響くとは!感動した!
解像度が下がっても物語は生きてる
小説-漫画-アニメ-白黒映画-カラー映画と解像度が上がって感動が増しそうだがそうは成らない。想像力の入る隙間が減るんだろうか。解像度が上がることで”思ってたのと違う”ところが気になることも多い。今回は逆方向なのでどうなんだろう。
個人的にはカラーでも見てるので安心して鑑賞できた。恐怖は増さなかったよ監督。
伊福部さんの音楽が偉大だと思い知らされる映画でもあった。
復刻感体験映画
通常カラー版を観てからの本作の鑑賞でした。
ですからストーリーは知った上での鑑賞で、画質や第1作目のゴジラ感を愉しむ為だと思いましたが、よく考えたら以下のポカが思い浮かびました。
1.ゴジラ(1954)は未だ観ていない
2.小生のリアタイ特撮は既に「帰ってきたウルトラマン」の時代
3.子供の頃、ウルトラQに興味が無かったのは白黒作品だったから。
(自分でウケました。)
白黒作品だったらCG特撮はどうもしっくりこない、ならば本作はゴジラ(1954)へのオマージュとして愉しむべきだと思いました。
とにかく画面が暗過ぎる。もっと丁寧なモノクロライズを!
「シンゴジラ・オルソ」の時も今回の「ゴジラ-1.0/C」でも思ったのだが、
仕上がったモノクロ画面があまりにも暗過ぎる。
敷島の家ん中なんか真っ暗。黒だけじゃなく白もぶっ潰れてる。
観にくい事この上ないよ。
ゴジラの原点である、ほぼ70年前のモノクロの2作「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」を
4KUHDやBlu-rayで観ても、全然暗さは感じない。
かつての黒沢作品だってモノクロ映像は全く暗くなく、むしろ躍動感に溢れてる。
またカラーをモノクロ化したMADMAX FURYROADやTHE MISTを観ても暗くなかった。(暗くないどころか魅力が増していた…この域に達して欲しかった。特にMADMAXのブラック&クローム・エディションは半端ない!)
今回は色調補正が失敗してるんじゃないかな?
言っておきますが、カラー版は9回も観た程大好きだけど、良い作品だけにもっと丁寧なモノクロライズして欲しかったかな、もったいない!…カラー版は特に海神作戦の時のゴジラがグレー、空もグレー、海もグレー、軍艦もグレー、すべて異なるグレー色が織り成す濃淡のグラデーションがとても美しく、背ビレと熱線のみクリアブルーでそのコントラストがセンス抜群だったのに、本作ではその良さも消えてた。
蛇足ですが、本当に無気味なモノクロゴジラを観たかったら2作目の「ゴジラの逆襲」をオススメします。歴代随一醜悪なゴジラの造形、動物感とスピード感溢れるアンギラスとの死闘、特撮と完全リンクした濃厚な人間ドラマ。自衛隊の作戦展開のダイナミズム。
名作と言われる1作目より、よっぽど凄かったのを最近再認識しました。
より映像、ストーリーに集中し、ゴジラの恐怖がマシマシに。
カラー版6回鑑賞後、1/12にマイナスカラー版を鑑賞。
都合7回目でセリフも覚えてしまっているほどですが、
モノクロ版ではあらためて引き込まれてしまい、あらためて感動を覚えました。
いい作品に出会えてうれしいです。
圧倒的な絶望感、恐怖を味わえます。
震電の雄姿にも感動が大きくなりました。
未来を生きるために・・・
「ゴジラ-1.0」モンスターバースのゴジラとは、また違う意味で楽しませてもらいました。
基本的に怪獣王、キング・オブ・モンスターのゴジラが好きなんで、人間と戦うゴジラにはあまり魅力は感じないのですが・・・やっぱり面白いものは面白い。
今回、マイナスカラーということで、白黒のゴジラなんですが・・・どうでしょう?
自分的には、はっきり言って、どうでも良いって感じでした。
確かにドラマ場面では、あの昭和の風景に白黒は似合ってました。小津安二郎監督作品みたいな雰囲気が漂ってました。
でも、わざわざCGで作ったゴジラや銀座の町並みから色を抜くのはどうなのかな?チョット違う感じがしました。
(余談ですが、「シン・ゴジラ」にも白黒バージョンがあるようだけど、それって必要?)
まぁ、本編が面白いから、そのくらいのこと、気にならないんだけどね。
それより、「ゴジラ-1.0」を映画館で見てから、数々のネット情報に一喜一憂。考察がすごいよね。そんな知識を含んでの今回の鑑賞。いや~、ホンッと楽しませてもらいました。
白黒はやっぱり関係なかったかな。
【ネタバレ含む】
ところでラストの首筋の謎のアザ?動いてましたよね。
最初、見たときには気にしてなくて・・・
ネットで見かけて気になってました。
なるほど、G細胞ね。
浜辺美波さんは、この影響で死ななかった?ゾンビ?
G細胞をメインにして、ゴジラが出てこないゴジラの映画が出来たりして・・・
あっ、そのためにタイトルをGにした?
情報量が減るからこその効果
最初の数分だけ脳内でカラーの記憶との戦いがありましたが、すぐにこの世界観に入り込めました。
白黒の世界の良さも発見できました。
時代にマッチし、光がより映え、怖さが増しますね。
特に白黒の世界での光や明るい色にはこれほど視線誘導の力があるのかと気付かされました。
つまり、目が合っちゃうんですね。怖さが増す要因だと思います。
カラーを観ていることが前提かもしれませんがまた別の魅力がありますので興味がある方はぜひ!
白と黒の恐怖と猛威の中に、新たな魅力と美を見た
『ゴジラ ‐1.0』のモノクロ版。
『シン・ゴジラ』もモノクロ版が公開されたが、今回は全国340スクリーンの大規模公開。製作側のよほどの自信と更なる興行アップの期待が窺える。
レビューは書かないつもりでいたが、こちらはこちらで思う事があったので。
詳細はカラー版で書いたので、簡易レビュー。
『~‐1.0』はもう一度劇場で観たいと思っていたけど、他にも観たい映画や都合などでなかなか。
そんな時、このモノクロ版の公開。
絶対観たいと思った。もう一度観たい事もあったが、それ以上の理由も。
昭和、第1作より前の時代が舞台。それに、ゴジラの原点=第1作はモノクロ。モノクロで見る価値は充分あり。
ありふれた言い方かもしれないが、まるで昭和の映画を見ているよう。
ベタな演出や演技が賛否分かれている本作だが、かえってそれがモノクロになって活きた。
ゴジラの熱線による破壊の閃光。白と黒のコントラストが映え、そこにカラー版以上の“美”を見た。
ゴジラもより恐ろしく。神々しく。
カラー版と全く同じ作品なのに、また別の作品のような魅力と見応えと新鮮さがあった。
きっと、第1作を初めて見た方はこんな感じだったんだろうなぁ、と。
モノクロで話は同じなのに、劇場が結構混んでた事に驚き。多くの人もモノクロに興味や見たかったんだなぁ、と。
改めて見て、THE日本映画的で人間ドラマベースなのに、アメリカで大ヒット&高評価したもんだとも。
これも改めて見て感じたが、単なる怪獣映画に留まらず、人間ドラマをしっかり描き、戦争時代の背景が争い続く今の世に訴えるものがある。苦難に対し乗り越え、未来へ。メッセージ性と抜群のエンタメ性。
アメリカでは今賞レース開幕中。各前哨戦によって、作品賞にノミネートされたり、外国映画賞や視覚効果賞も結構受賞。外国映画賞はアカデミー国際長編映画賞日本代表に選ばれた『PERFECT DAYS』より多く受賞し、視覚効果賞に至ってはオスカーでもノミネートどころか受賞を狙えるポジションに。
『シン・ゴジラ』の国内映画賞席巻も驚きだったが、今回は国内映画賞ではなく米オスカーに手が届こうとしている。
アメリカと日本のCGやVFXの技術の差は圧倒的で、差を縮める事など絶望的と思われた。が…
アカデミー賞授賞式。視覚効果賞発表の時、ゴジラの名が呼ばれたら、私はもう…。
その面白さと魅力と迫力と恐怖がモノクロになってさらに。
『ゴジラ ‐1.0』の猛威はまだまだ続く!
再見する機会を与えてくれた
2ヶ月前の衝撃の再確認を行うには充分。初回は気にならなかったセリフ回しが気になったり、逆に感心したりと楽しめた。改めて高雄、震電の映像化も痺れた。
そしてモノクロならではの観点としては、単に時代背景的なノスタルジーにひたるだけでなく、俳優の表情やセリフが入ってきやすかったり、おもちゃ臭いCGがいい感じにぼかされたりして良いところもあるが、全体的に映像が暗すぎて目が疲れたし、状況が分からないことがまあまああった。
なので、どちらかを選べと言われればカラーですが、作品は本当に質が高いと思います。
絶妙ににリアル!
カラー版を2回観ており、3回目を観ようかな…と考えていたところのカラーマイナス版でした!
当時の記録映像を見ているようなリアル感があり、また違った迫力がありました!
戦争には負けてしまいましたが、国難に立ち向かう日本人の底力を魅せてくれる構成で、途中からどんどん感動が高まっていきます!
今回も最後のシーンのゴジラテーマでクライマックス感が最高潮でしたー
モノクロで際立つ絶望!
ゴジラ・シリーズ第30作(通算33作)のモノクロ版。
TC PREMIUM THEATERで鑑賞。
ノベライズは既読です。
1作目を彷彿させるモノクロ映像によって戦後間も無い時代の空気感が醸し出されていて、映像に説得力がありました。
カラーも良いですがこちらのバージョンが正なのではないかと思えるくらい、モノクロがしっくり来ていて驚きました。
ゴジラの恐怖が2割増3割増で迫って来てこんな絶望に抗えんのかよと、今回3回目なのに新鮮な気持ちで観れました。
[余談]
いちばんはじめに出る東宝マークもモノクロだったら完璧だった。その後のスタンダードサイズのモノクロマークは1作目の流用だろうと思われますが、本編はシネマスコープなのだから、モノクロのTOHOSCOPEマーク(黒澤映画とかの素材を拝借?)にしても良かったんじゃないかなと感じました。
世界映画史上の重要作、到達点。
色を廃し濃度高まりまた落涙。
世界映画史上の重要作、到達点と言おう。
全編が役者神木の激演に依る奇跡のバランス。
主役個人が延々のたうつ訓戒苦悶と
破壊神のあの大殺戮を忘れるなとの激昂憤怒の拮抗。
それでいて爽快。
まだある映画の可能性が嬉しい。
戦中日本人を尊び、現代日本人を鼓舞する素晴らしい作品
右にも左にも寄らず、戦争を描ききった素晴らしい作品。日本人であることを初めて誇りに思えたほどに感動した。まさかゴジラで泣かされるとは思いも寄らず。陰謀論でもなく悲観主義でもなく、近い将来、日本は戦争することになると思う。日本政府はクソだし、アメリカも信じられない今、日本は滅びる他ないと思っていた。しかし、この作品を見て、日本人によって、必ず再度立ち上がることができると信じることができた。カラー版は見てないのだが、全役者が白黒映像に耐えられる演技、素晴らしかった。今年度の日本アカデミー賞の作品賞、山﨑貴に監督賞と脚本賞、安藤サクラに助演女優賞、佐々木蔵之介に助演男優賞を与えるべき。
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