劇場公開日 2024年12月20日

「教育の可能性を説きつつも、現実のやるせなさも描いた一作」型破りな教室 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0教育の可能性を説きつつも、現実のやるせなさも描いた一作

2025年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

国内最底辺の学力だった小学校を立て直した熱血教師の物語、というと、日本であれば某ドラマをどうしても連想してしまうんだけど、本作の主人公、フアレス(エウヘニヨ・デルベス)の教育熱と発想力もなかなかのもの。教育に対する情熱に国境は関係ないんだ、ということを実感します。

とはいえ本作の舞台であるマタモロス小学校は、子供であっても生活のために犯罪やゴミ拾いの仕事をせざるを得ないかったり、親に代わって幼い兄弟の世話含めた家事全体を取り仕切らなければならない、といった生徒を多数抱えています。

将来の展望が全く見えない状況を見てしまうと、はたして教育を受けることに何の意味があるのか、そして教育で将来が拓けるというバラ色の夢を語っていいのか…、という思いもよぎります。だからこそ、ある生徒の親が、フアレスに「子供に進学の夢を見させるな。どうせ卒業した後のことには責任を持たず、次の生徒にまた夢をみさせるだけだろ」という台詞にむしろ現実の重みと説得力があるようにも思えてきます。

そうした「現実」に直面しても学び続けることができるのか、フアレスと生徒たちの応じ方に着目!なのですが、その一方でどれだけ意欲や才能があっても現状を引き受けざるを得ない人もいる、という部分にもしっかり光を当てているところに、本作の良心を感じました!

yui