「年齢も性別も異なる作家と編集者のバディ・ムービーとして楽しめる」九十歳。何がめでたい tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
年齢も性別も異なる作家と編集者のバディ・ムービーとして楽しめる
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豊かさや便利さを手に入れた代わりに、我々は、何か大切なものを失くしてしまったのではないだろうか?
面白おかしいエピソードと、葉に衣着せぬ物言いで、そんなことに気付かせてくれるのが、原作のエッセイの魅力なのだろう。
映画でも、そこのところはよく描かれているのだが、それ以上に、老作家と中年編集者とのバディ・ムービーとして楽しめるようになっている。
特に、ラストの記者会見で、老作家が、断筆宣言をしてうつ状態になっていたところを、エッセイを書くように勧められたことで、「編集者に救われた」と打ち明ける場面は、2人の固い絆を改めて認識することができて胸が熱くなった。
その一方で、年齢も性別も異なる2人が、そんな「友情」とも言えるような関係性を築けたのは、「昭和」の価値観と頑固な性格が共通していたからだろうが、そうであるならば、若い編集者ではなく、「この中年編集者だったからこそ、エッセイが成功した」みたいなところもきちんと描いてほしかったと思う。
それから、中年編集者は、老作家から、「面白い爺さんになれ」とか「当たって砕けろ」とかといったアドバイスは受けるものの、結局、妻とは別れてしまうので、「編集者も作家に救われた」みたいなことが明確に分かるエピソードがあっても良かったのではないかと思う。
まあ、中年編集者は、離婚した後も、娘に会ってもらえるようになったみたいなので、その点は、救われたのかもしれないが・・・
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