「主人公モート・リフキンは、自分を見ているみたい」サン・セバスチャンへ、ようこそ 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公モート・リフキンは、自分を見ているみたい
スペインのサン・セバスチャンで開催されるサン・セバスチャン映画祭を舞台にした映画でした。主人公のモート・リフキンは、かつて大学で映画を教えていた初老の男性。観る角度によってだけど、第一印象は橋爪功にソックリな人(ストーリーには関係ありません)。妻のスーは映画の広報を生業としており、サン・セバスチャンには彼女のお供として来る。スーの第一印象は、この女優さん、どっかで観たけど思い出せない。
そんな旅行先のサン・セバスチャンで、スーは新進気鋭のフランス人映画監督であるフィリップと恋に落ち、その反動でモートも医者のジョーと良い仲になる。そう、ひと言で表せばダブル不倫のお話なんですが、扱いようによってはドロドロの人間関係を描いた暗い物語になるような話を、軽いタッチのコメディに仕上げており、その点は中々面白かったです。
特に、モートが兎に角間抜けな男代表みたいに感じられたのは、非常に刺さりました。年齢など関係なく、好みのタイプの女性に出会い、恋の予感がすればなりふり構わず突進する蛮勇は、同じ男として同意できる部分はあるものの、客観的に見ればかなりイタイ奴であり、なんか自分を鏡で見ているように感じられました💦その辺りの自分への”戒め”にもなるようなことを、コメディとして知らしめてくれたのは、ウッディ・アレン監督の優しさと言うべきでしょうか(んな訳ないか)。
俳優陣ですが、モート役のウォーレス・ショーンは、前述の通り橋爪功にしか見えず、仮に吹き替え版を作るなら是非橋爪功にあてて頂きたいと思いました。スー役のジーナ・ガーションは、前述の通り何処かで観たことがあると思いつつも思い出せませんでした。帰宅後ネットで調べたら、『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』で、ルーシー・リュー演じる女ワトソンのライバルである犯罪組織のボスを演じていた女優さんでした。何度も観ているドラマなのに、忘れてしまっていたとは。。。いずれにしても、エレメンタリーの時もそうでしたが、あっけらかんとして言いたいことをズバズバと言うド派手な役柄が非常に似合う女優さんでした。
最後の映画の創りについて。劇中モートの夢が過去の名画と融合する場面が何度も出て来ます。映画を教えていたモートでもあり、かつ映画祭を舞台にした映画でもあるだけに、非常に良い設定だったと思います。
敢えて難点を挙げるとすれば、サン・セバスチャンならではの風景とか名所をもっと出して欲しかったかなというところでしょうか。
そんな訳で本作の評価は、★3.5とします。