「なんで天使が出てきたのかわからないが、Wikiを読むと何となくわかりますね」ゴッドマザー コシノアヤコの生涯 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
なんで天使が出てきたのかわからないが、Wikiを読むと何となくわかりますね
2025.5.28 イオンシネマ茨木
2025年の日本映画(117分、G)
実在のファッションデザイナー、コシノアヤコの生涯を綴ったコメディ風伝記映画
監督は曽根剛
脚本は池田テツヒロ
物語の舞台は、2006年の大阪府岸和田市(ロケ地は千葉県香取市)
岸和田の救急病院に搬送されたコシノアヤコ(大地真央)は、脳梗塞で倒れ、その時を迎えていた
彼女の前には天使(温水洋一)を名乗るおっさんが現れ、「天国に行くか、地獄に行くかの審判を行う」と言い出す
彼は分厚い辞書の本を取り出し、最初から読み上げようとしたが、アヤコはそれを奪って「ここから始めて」と言った
時は遡ること1927年、アヤコは一台のシンガーマシンに憑りつかれていた
パッチ屋の松本(新藤栄作)は根負けして店の中に彼女を入れるものの、ミシンは従業員以外にはさわらせないと言う
そこでアヤコは学校を辞めて働くと言い出し、父・甚作(木村祐一)に直談判することになった
1週間後、根負けした父は就職を許すものの、下積み時代はミシンにさわらせてもらえない
だが、「夜中は遊んでるから好きにしたらよい」と言われ、アヤコは仕事終わりにミシンをさわることになった
その後、戦争の影が近づき、パッチ屋も閉店に追い込まれてしまう
だが、父の計らいによって、そのミシンは自宅に来ることになった
アヤコはそのミシンを使って日夜仕事をこなし、父の店の重要な収入源となっていた
それから順調に過ごしていたアヤコは、父の強引な勧めで、川崎武一(庄野崎謙)と結婚することになった
そして、長女・ヒロコ(浅田芭路、中高時期:寺田光、成人期:黒谷由香)、次女・ジュンコ(長尾柚乃、少女期:菊池麻衣、成人期:鈴木砂羽)、三女・ミチコ(小泉明璃、幼少期:江原璃莉、少女期:板垣樹、成人期:水上京香)を授かることになった
だが、武一に赤紙が来てしまい、そのまま帰らぬ人となってしまう
さらに父も病魔に倒れ、アヤコは母・ハナ(島津尋)、祖母・ヨネ(あづみれいか)、妹・ケイコ(北川都喜子)、キミコ(河北麻衣)、セツコ(中村莉那)たちと協力して、子育てをすることになった
さらにチヨ(大西礼芳)とともに店を切り盛りし、徐々に仕事をこなしていくのである
物語は、アヤコが裁縫に興味を持ち、それを仕事にしていく過程、三姉妹の成長過程を描いていて、これらの人生が「天国か地獄か」というテイストで紡がれていく
武一亡きあとに妻子ある男・西田(市川右團次)と恋仲になったり、その騒動のためにヒロコが彼の娘・恵子(吉村まいり)から「泥棒」呼ばわりされたりする
そんな中で、人生を謳歌したことの審判というものを描くのだが、その結論は「どっちでも同じ」という結ばれ方になっていた
実際にどっちに行っても掻き回すだけ掻き回すのだろうなあと思うし、その審判を気にも留めないキャラのように思える
ただし、なぜ天使が出てきて、天国か地獄かの審判を受ける構成になっているのかは意味がわからない
一応は、アヤコがキリスト教徒だったからだと思うのだが、彼女はそうだったということは映画では一切描かれていなかったりする
また、パンフレットは高い割には中身がなく、アヤコと三姉妹、家族のインタビューなどはあるものの、家族と関わった人々はキャラ名すらわからない
パンフレットの最後に掲載されがちなエンドロールもかなり端折られているわりには、川崎麻世役の人はこんな人でしたとサラっと追記されてたいたのは意味不明だったように思えた
いずれにせよ、彼女のデザイナー観とか、ファッションに興味を持った過程はそこまでふれられず、三姉妹の成功に関してもざっくりとした感じに描かれていた
基本的にはコメディ映画のタッチになっていて、ミュージカル演出などもあるので、そこまで辛気臭い話にはなっていない
この構成と演出がウケるかどうか何とも言えない
また、ホテルのロビーにコシノジュンコたちがいる近辺で三姉妹とアヤコが「ブランド立ち上げケンカ」をしているのだが、現場にご本人がいたらさぞかし緊張しただろうなあと思った
ジュンコだけびっくりするぐらいに寄せていたので、今後は三姉妹の映画がこのキャストで作られるのかなと思ってしまった
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