「ただ、愛されたかっただけなのに・・・」A.I. ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
ただ、愛されたかっただけなのに・・・
スタンリー・キューブリック監督の原案をスティーブン・スピルバーグ監督が映画にしたということで当時、大騒ぎだった覚えがあります。
勿論、自分も大きな期待を持って映画館へ足を運んで鑑賞したんですが・・・
良い印象は持ってません。ガッカリした記憶だけが残っていて、再見しようとも思いませんでした。今回、BS放送で見かけて、年取った今ならどう思うだろうと観てみました。
結果、ファンの人にはごめんなさい。やっぱり自分には合いませんでした。
あまりにも、子供が可哀想すぎる。
スピルバーグ監督らしいSFチックな世界観。ロボット達の哀愁とか、見応え十分な映像ではあるのですが、面白みがない。
切ない映画は、切ないなりに、また観てみたいという気持ちが湧いてきたりするんですが、本作にはそんなところはありませんでした。
【ネタバレ】
ジュード・ロウのロボットもなかなか魅力的だったんですが、何故か引き込まれない。
ハーレイ君の演技がうますぎるのか?
見るに耐えない切ない気持ちになっちゃいました。
ロボットが、作られた感情の中で愛を求めていく。何も悪いことはしていない。ただ、愛されることを願っただけなのに、悪い方へ悪い方へと流れていってしまう。
あの子供にしたって、元気になったのは、喜ばしいことなのに、愛情を独り占めできない事から、嫌な奴になってしまった。全てがうまくいかない。
ラスト、いきなりの2000年後で、地球人類が滅んだ世界。
ロボットのハーレイ君は、やっと願いかなって母親とのひと時を過ごすことができた。満足げな顔で眠りにつくんだけど・・・
ホンッとにそれでいいの!
こんなに後味の悪いハッピーエンドは、感じたことがなかった。
作品全体、悲しみに包まれていたんだけど、なぜか泣けなかった。涙腺の弱いオヤジも平気だった。哀しみに対して、怒りみたいな感情が湧き上がる不思議な一本です。