ドクちゃん フジとサクラにつなぐ愛

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ドクちゃん フジとサクラにつなぐ愛

解説

ベトナム戦争で使用された枯葉剤の影響で1981年に結合双生児として生まれ、88年に分離手術に成功した後も深刻な健康問題を抱えながら平和のアンバサダーとしての使命に生きる「ドクちゃん」ことグエン・ドクさんの人生をとらえたドキュメンタリー。

2024年2月に43歳を迎えたドクさんは入退院を繰り返すなかで、結婚18年目になる妻トゥエンさんと双子の子ども・フジくんとサクラちゃん、そして闘病中の義母を自宅介護しながら家族で唯一の稼ぎ手として暮らしている。

ドキュメンタリー作家の川畑耕平監督が、今や“教科書の中の人”となりつつあるドクさんがたくましく生きる姿を記録。日本とベトナムの友好の絆を象徴するドクさんの人生の軌跡を、ドクさん自ら監修を手がけて本人の視点から忠実に描き出す。

2024年製作/72分/G/日本
配給:ギグリーボックス
劇場公開日:2024年5月3日

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(C)2024 Kingyo Films Pte. Ltd.

映画レビュー

4.0彼らの身体、彼らの心は誰のものか。

2024年6月3日
PCから投稿

ドクちゃんことグエン・ドクは40歳になった。その命はベトナムの勝利と連合軍の枯葉剤の罪の象徴でもある。
ドクちゃんは、自分の葬式は国によって行われるだろうが、それは国の医学的成果のためであり、自分のためではないと語る 。

ベトちゃんドクちゃんは1881年に胴体を共有する結合双生児として生まれ、ベトちゃんの様態悪化に伴って88年に日赤の協力のもとベトナムで分離手術が行われた。日本でも募金活動が行われている。ベトちゃんはそのまま昏睡し目覚めぬまま2007年に息を引き取った。

ドクちゃんはその後、学校に通い、恋をして結婚して、フジくん、サクラちゃんという双子が生まれる。双子は中学生になり最初は博物館などに付き合ってくれるが、お父さんの故郷へは付き合ってくれない。小さい家に暮らし、子どもたちは塾に行き、靴下を洗ってくれ、肩を揉んでくれる、普通のありふれた親子だ。

ドクちゃんは観光客に枯葉剤の影響を話すガイドツアーに協力している。広島大学の客員教授もしている。
劇中では大阪の和泉長野市東中学校を訪れ公演を行うが、その前のレクリエーションでの弾けるような笑顔を見せ、松葉杖と片足でサッカーをしてみせる。「僕は何でもできる」という言葉も勇気を与えてくれるだろう。

一方で腎臓は弱り、ストーマを付け、痛みやめまいに見舞われる。それを押して「戦争はいけない」と語ることをライフワークのようにしている。
何のためにそうしているのか、映画を最後まで見るとわかるだろう。

映画は家族の暮らし、双子の成長、小さな幸福を主として捉えつつ、ドクちゃんの病気や活動、結婚の思い出、ベトちゃんの思い出が徐々に語られる。
また色々な立場の人と話すシーンがあるが、相手の語りによってドクちゃんという人間を浮き彫りにする。
ドキュメンタリーとしては手堅く、ドクちゃんの生活、生き方に寄り添って撮られている。

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A・ガワゴラーク

4.0フジとサクラ🗻🌸

2024年5月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ところどころ、いきなり場面が変わって、少しわかりにくいと思ったところはありましたが、ありのままの暮らしが伝わるところがよかったです。
ドクさんの、いつも憂いがある表情は、顔立ちか生い立ちのせいだろうか、と思っていたら、大阪の中学校にきた時、弾けるような笑顔を見せていたのが心に残りました。ベトナムを愛していても、離れると、少しだけほっとするのでしょうか。
お父さんとの面会の場面、お父さんの言葉の意味がわかりづらかったけれど、きっと、言葉では表せない思いがあるのでしょう。
大変な思いをされてきたけれど、素敵な奥さま、かわいくて素直で勤勉な子どもたちの存在が、ドクさんの人生を表していると思います。
枯葉剤に苦しむ人たちが、今も、ドクさんの他にもおられるとのこと。枯葉剤のことも、もう少し掘り下げて、平和への祈りをより深めてくれたら、なお良かった気がします。

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eigaeiga

4.5この映画の「合理的配慮」が何なのかが謎。別の意味で「配慮」もないのもつらい。

2024年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年169本目(合計1,261本目/今月(2024年5月度)3本目)。
(前の作品 「マイ・スイート・ハニー」→この作品「ドクちゃん フジとサクラにつなぐ愛」→次の作品「無名」)

 日本では「ドクちゃん」の愛称で知られる同氏を描いたドキュメンタリー映画になります。かなり古いので、観る方をリアルで年齢で制限しそうです(私の年齢もばれそう)。

 この映画は主人公を同氏に取るため、デフォルトでいわゆるバリアフリー上映になっています。この手の「バリアフリー上映」を可能にするためのアプリ等もありますが、映画の作品それ自体がバリアフリー上映という珍しい映画ですが、おそらく配慮されたものと思います。

 ストーリーとしてはドキュメンタリー映画という事情で、コロナ事情を経る前~、収束が見えて「様子を見る」少し前くらい(日本では2023年あたり)までを描くところです。

 本映画は確かに同氏に関するドキュメンタリー映画という扱いでしか見ることができないのですが、文化庁の推薦枠他の扱いであれば、もう少し「枯葉剤とは何で、どのような問題があるのか」といったことに触れて欲しかったです。

 採点に関しては明確に気になったのが以下です。

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 (減点0.4/「前世の行いが悪いとこういう子が生まれるんだ」)

 ・ こういった思想自体には日本にも、ここベトナムにも、あるいは韓国でもヨーロッパでも程度の差はあってもあったのでしょう。まだ医学が発達する前ではそういう考えもまぁ理解はできます。

 ただ、現在2024年においては完全に否定されている議論(日本では、一時期、「親の育て方が悪いと自閉症になる」とかという趣旨不明な主張からパッシングを受けた当事者がいた)であり、こうした思想「それ自体」は、(日本国憲法でいえば)思想良心の自由というもので、「思うだけならご自由に」ですが、口に出した瞬間(ここからが「表現の自由」になる)、それは他の人権との間で制約を受けます。

 しかし、
  ・ ベトナムではまだ地域差別が根強いこと(ベトナム戦争を経た事情があるため)
  ・ 枯葉剤自体の被害がほとんど知られていない

 …といった事情もあり(また、この2つは日本ではおよそ存在しない論点)、そのような言われ方をするのは理解はしますが、もう少し当事者(この映画の趣旨的に、当方のような重度身障(内部障害)者や、車いすの方などが想定できる)に配慮した誘導(「そういう考えはおかしい」と言い返すなど)が欲しかったです。

 (減点0.1/通貨単位「ドン」がいくらくらいを指すかよくわからない)

 中盤あたりに文房具店かで、マーカーペン?を買うシーンがあり「7000ドンだ」と言われるシーンがあります。日本で購入しようと思えば100円ショップにある程度ですから(消費税の話は度外視)、その程度の換算レート(つまり7000ドン=100円程度)なのかなと思ったら、もう少し違うようです(42.12円とのこと。投稿時点における通貨レート変換で確認)。

 ※ ほか、数か所でお金の「ドン」の話をしますが、1/200程度で見るとよいのかなといったところです。
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yukispica