「比喩を観客の何かに置き換えると」ロボット・ドリームズ 豊島区のはずれさんの映画レビュー(感想・評価)
比喩を観客の何かに置き換えると
犬をはじめとする、ニューヨークらしき都市にいる擬人化された動物も、ロボットも何かの比喩です。動物が街に暮らす訳がないですし、ロボットに感情がある訳もないですからね。
ペットが逃げ出した人であれば、ロボットをそのペットだと置き換えるとか、友人や恋人と別れた人は、ロボットをその相手だと思う等、自分に起きたことに置き換えるといいでしょう。
いろんな動物が暮らす街は、もちろんいろんな人種や立場の人が暮らしているということの比喩。ナマケモノやアリクイまでいたのには、笑ってしまいました。
ビーチに入れなくなった理由と、意外と早く諦めたところについては、ちょっと腑に落ちないところがありましたが、それによってロボットに起こったことが、最後にうまくつながった感じでした。
犬が飲んでいた飲み物は、以前コカ・コーラから出ていたノンシュガーのコーラ「TAB」。目玉模様のゲイラカイトも懐かしいです。テクニックなしに、高く揚がる凧だったと思いますけど。ピザ屋に「Since 1963」と書いてありましたが、監督の生まれ年のようですね。映画評論家の町山智浩氏いわく、今から35年ぐらい前、監督が留学していた頃のニューヨークの町並みが再現されているんだそう。
アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「September」が効果的に使われていて、犬がロボットと楽しい日々を送ったのが9月であれば、頻繁に映るツインタワーが攻撃されたのも9月。ロボットが犬に対して"Do you remember?"であれば、あの事件についても"Do you remember?"なのかなと思いました。