白石晃士の決して送ってこないで下さいのレビュー・感想・評価
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今だからビデオテープ
つい最近公開されていた「戦慄怪奇ワールド コワすぎ!」は逃してしまい、本作が初の白石晃士監督作品。清水崇や中田秀夫のような、配給会社の思惑に左右され、まともなホラーを作れなくなった監督とは違い、白石晃士は基本小規模上映であり、いくら有名になろうとも自分のスタイルを変えないことから根強いファンも多い。ようやく初挑戦。結構楽しみにしていましたが、期待以上の面白さで、コワすぎ!を見れなかったことを、更に悔やみました。 超低予算映画であるため、派手な演出やCGがあるわけではない。iPhoneで撮ったような画質で、役者も有名な人は出ていない。それでも、そんな限られた状態を活かして色んなアイデアが練られている。ホラー映画監督・白石晃士の元に日々届く映像の中から、選りすぐりのものを観客にお見せするというフェイクドキュメンタリー。素人が撮った映像を1本の映画としているため、そんじょそこらの映画では出せないリアリティがある。見てはいけないものを見てしまった感じが、ものすごく楽しい。 作りは完全に「世にも奇妙な物語」。 ホラーとしてはあまり怖くないし、驚かされるものも正直無いんだけど、人間の怖さはこれ以上ないほどしっかり描かれているし、短尺ながらに全体のまとめ方は秀逸。白石晃士のストーリーテラーが少々ハードルを上げすぎているようにも思えるけど、かいばしら、沖田遊戯を初めとしたキャストが映画初出演とは思えないほど演技が上手いため、かなり不気味でゾクゾクする。嫌いになりそうなくらい、気持ち悪さを発揮してくれるんだよね。 低予算でもこんなにしっかりとしたホラーが作れることに驚きだったし、今後ともシリーズ化してほしい作品だった。上映館が相当少ないため、中々厳しいかもしれませんが、もし近くで上映していたら是非。
ホラー映画でどこまで法律的に気になる点を論じるかという点はあるものの…。
今年365本目(合計1,015本目/今月(2023年10月度)30本目)。 (参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで)) こちらもホラー映画。ホラー映画を1日に2本見るのも珍しい気がします。 そして「ビデオネタ」です。最近(しかも、今年2023年)、妙なまでにビデオネタの映画が多いように思えるのですが流行りなのでしょうか…(ビデオドロームが火付け役?)。 もっともビデオだのカセットだのというのは本質論ではなく(単に少し古い時代の文化を演出したかったに過ぎない)、本質はホラー映画で、ビデオに関する古い文化が求められるといったことはありません。 ここで書かれている予告編で述べられているのはその30%ほどで、残り70%くらいはどう考えても事前にはわからないような展開に飛びます。この点、80分ほどと短い映画ですが、ひとつのテーマをいろいろな角度から取り上げている(一応、テーマとしては一つだが、一見すぐに終わりかな…と思わせて第二部以降がある、という扱い)等、結構工夫があってよかったかな、といったところです。 映画自体も良質だったし、ビデオカセットという「古い文化」について扱われていた点もよかったです。もっともビデオカセットうんぬんは映画の筋の本質論ではないのですが、この点、この「古い文化へのこだわり」というのも感じられてよかったです。 どうしても映画の性質上、「ストーリーという概念が存在しにくい」上に、さらに「どこそこにヒント描写がある」というもの、それ自体もネタバレになってしまいます。とはいえ、リアル日本の今日で起きているような実際のできごと(2022~2023年を想定)を扱っているなど、「古典ネタばかりではなく最近のフレッシュな話題を取り上げている」という点、とてもよかったです。 採点に関しては以下を気にしたものですが(一応、真似する人がいるといけないので、断り書きは入れてほしかった。入っている映画もある)、本質論ではなかろうというところです。 ----------------------------------------------- (減点0.3/遺失物に関する描写(ビデオカセットを勝手に拾って帰る行為について)) 廃墟でビデオカセットを拾っても、それにより即時取得(192条)が成立する余地がなく(即時取得には有効な取引行為があることが求められるが、拾う行為に取引行為がないため)、本来的には遺失物の扱いなので、事務管理(697条以下)として遺失物として処理されるべきものです(この点、勝手に何でもかんでも拾っていると、刑法上の占有離脱物横領罪の論点が入ってくるので)。 (減点0.1/建物などに勝手に入る行為について) 一般には「入っちゃダメだよ」でお巡りさんに怒られる程度で済むと思いますが、民法上も刑法上もアウトなので、ここは一言エンディングロールでもよいので「ホラースポット等に勝手に立ち入らないようにしましょう」は入れてほしかったです。 -----------------------------------------------
KAIBASHIRAアナザーストーリー的な。
完成披露試写会にて! タイトルに”白石晃士”を入れるとは随分強気な作品だなと思ったけど、想像以上に白石監督が登場していたので納得(笑) 一つ言っておくと、そんなにワクワクして挑む作品ではないです(笑) 後味が苦くて、一連の事象を何一つ理解しないまま劇場を出ることになるので、「コワすぎ!」のようなエンタメは期待しない方がいいかと思います。 若干「ほん呪」を意識した調査パートがあったり、視聴者からビデオが送られてくるという設定が「パラノーマル・フェノミナン」を彷彿とするのでホラーテイストを想像すると思うんだけど、意外とヒトコワでスリラーに寄せたストーリーだったので。 「ノロイ」の再来を期待する人にも肩透かし。 個人的には新ジャンルというか、軽く世にも奇妙な物語を見てる気分だった。 ただ、ジャンプスケアがなかったり、ホラー初心者でもある程度優しい強度なので KAIBASHIRAさんや沖田遊戯くん目当ての方や、ホラーライト層でも試しやすいんじゃないかな? こんなこと言っちゃ作品に失礼だけど、映画館のスクリーンで見るような規模じゃなくて スマホで細々と観た方が自分事に思える作品かもなあ… 隠し撮りだったり、ハンディカム、Goproのような家庭的な手法で撮影された映像が多いから、スマホや自宅のテレビで細々と観た方が身近に恐怖を感じやすいのかなって。 KAIBASHIRAさんにあて書きされた脚本と言うこともあってか会話も演技もナチュラルでストーリーを邪魔してなかった。彼はちゃんと主演の役割を果たしていた(笑) 序盤にばしらさんとの疑似デートみたいなシーンが入るのはなんか気恥ずかしくて、でも彼のファンにはご褒美映像だったと思うし流石に私もニヤニヤしたよ(笑) 暴力とその抑制、解放、本能みたいなメッセージ性を感じたんだけど、いまいち汲み取れなくて、考察しようにも会話が多くて聞き逃すしいい具合に2回以上見ないと真相に辿り着けない姿勢を取られていて悔しい。 女優さん達は白石監督の他の作品にも登場しているので、親近感もあるし 演技に癖がなくて見やすかったです。私は小倉綾乃さんが好きになっちゃった… シリーズものになるっぽいのでこの作品は序章だと思うことにします…!! 私は考察をあきらめた…!!!(笑)
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