劇場公開日 2023年10月13日

  • 予告編を見る

「ホラー映画でどこまで法律的に気になる点を論じるかという点はあるものの…。」白石晃士の決して送ってこないで下さい yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ホラー映画でどこまで法律的に気になる点を論じるかという点はあるものの…。

2023年10月21日
PCから投稿

今年365本目(合計1,015本目/今月(2023年10月度)30本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))

 こちらもホラー映画。ホラー映画を1日に2本見るのも珍しい気がします。
そして「ビデオネタ」です。最近(しかも、今年2023年)、妙なまでにビデオネタの映画が多いように思えるのですが流行りなのでしょうか…(ビデオドロームが火付け役?)。

 もっともビデオだのカセットだのというのは本質論ではなく(単に少し古い時代の文化を演出したかったに過ぎない)、本質はホラー映画で、ビデオに関する古い文化が求められるといったことはありません。

 ここで書かれている予告編で述べられているのはその30%ほどで、残り70%くらいはどう考えても事前にはわからないような展開に飛びます。この点、80分ほどと短い映画ですが、ひとつのテーマをいろいろな角度から取り上げている(一応、テーマとしては一つだが、一見すぐに終わりかな…と思わせて第二部以降がある、という扱い)等、結構工夫があってよかったかな、といったところです。

 映画自体も良質だったし、ビデオカセットという「古い文化」について扱われていた点もよかったです。もっともビデオカセットうんぬんは映画の筋の本質論ではないのですが、この点、この「古い文化へのこだわり」というのも感じられてよかったです。

 どうしても映画の性質上、「ストーリーという概念が存在しにくい」上に、さらに「どこそこにヒント描写がある」というもの、それ自体もネタバレになってしまいます。とはいえ、リアル日本の今日で起きているような実際のできごと(2022~2023年を想定)を扱っているなど、「古典ネタばかりではなく最近のフレッシュな話題を取り上げている」という点、とてもよかったです。

 採点に関しては以下を気にしたものですが(一応、真似する人がいるといけないので、断り書きは入れてほしかった。入っている映画もある)、本質論ではなかろうというところです。

 -----------------------------------------------
 (減点0.3/遺失物に関する描写(ビデオカセットを勝手に拾って帰る行為について))

 廃墟でビデオカセットを拾っても、それにより即時取得(192条)が成立する余地がなく(即時取得には有効な取引行為があることが求められるが、拾う行為に取引行為がないため)、本来的には遺失物の扱いなので、事務管理(697条以下)として遺失物として処理されるべきものです(この点、勝手に何でもかんでも拾っていると、刑法上の占有離脱物横領罪の論点が入ってくるので)。

 (減点0.1/建物などに勝手に入る行為について)

 一般には「入っちゃダメだよ」でお巡りさんに怒られる程度で済むと思いますが、民法上も刑法上もアウトなので、ここは一言エンディングロールでもよいので「ホラースポット等に勝手に立ち入らないようにしましょう」は入れてほしかったです。
 -----------------------------------------------

yukispica