「一線を越えたニュースショー」15ミニッツ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
一線を越えたニュースショー
メディアを皮肉った社会派サスペンス。放火犯とデニーロとくれば「バックドラフト(1991)」の火災調査官を思い出す、今回は殺人課の刑事に回って、調査官は若いエドワード・バーンズに譲っている。冒頭の現場検証でエディ(ロバート・デ・ニーロ)はお見通しだったと言っているのはくすぐりですね。
本作で際立っているのが犯人の異常性、ノーラン監督のバッドマンの悪役並みとも言えるでしょう、どう見ても脳みその足りない映画オタクとすぐキレルならず者の凸凹コンビ、見た目とずる賢さのギャップというのも気味悪さを倍加させていますね。好きな映画がフランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生」とのたまうがやってることと大矛盾、通関の為のリップサービスか・・。
銀行強盗で金を持ってずらかった仲間を追ってやって来たのがニューヨーク、仲間の殺しを皮切りに目撃者や有名人の刑事まで狙われる。馬鹿なのかと思ったらテレビのワイドショーで犯罪実録が金になることや精神異常なら無罪になることを学んで即実践。放火は父親が消防士だったので学んだらしい。目撃者を消そうとした犯人が自らは現場撮影というのも強引なプロットかも。
(ネタバレ)
熱血火災調査官、法で裁けないなら消してやると誰しも思うところだがちょっと気持たせ、ラストシーンまで来て昔観ていたことを思い出した、とほほ。
過激映像しか頭にないニュースキャスターに必殺パンチをお見舞いするのは「ダイハード(1988)」の奥さん以来の快挙ですね。もっともタイトルの15ミニッツはアンディ・ウォーホールの言った15分の名声(In the future, everyone will be world-famous for 15 minutes/1968)にひっかけてメディアを皮肉っているのだから、こちらの方が狙いだったのでしょう。同様のテーマでは過激映像を稼業とする「ナイトクローラー(2014)」という作品もありました。誰でもスマホでHD映像も撮れるネット時代ではますます混沌さは深まるばかりですね。
驚いたのはまさかのデニーロさん、最近では「ジョーカー(2019)」でも亡くなっていましたがネット調査(Techinsight)によるとセレブ・スターの中では18回と最多らしい、どうりで断らなかったわけですね。(2位はブルース・ウィリスの11回、3位はジョニー・デップとブラッド・ピットの10回だそうです)