隣人X 疑惑の彼女のレビュー・感想・評価
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何とも変な映画
何とも変な映画。
宇宙からの難民が既に人間に擬態していて、社会に溶け込んでいるという設定。アメリカではその事実を認めているが、日本は未だ真相が明かされていない。その為、人々の不安が高まっている。そういう世界観。
異星人の擬態や侵入といえば、「散歩する侵略者」や「ゼイリブ」「ヒドゥン」等を思い出す設定。或いは「ウルトラセブン」の幾つかのエピソードやMARVELの「シークレット・インベージョン」を思い出したりする。意外と有り触れた設定。
この映画の個性的な所は彼らが人間を傷つける事が出来ないという部分。傷つけない、ではなく、出来ない。擬態した生物を仲間とみなすという事だろうか?まぁ、都合の良い設定ではある。
そして、その為、てっきりSFサスペンスかと思ったら、人間関係を描いた社会派映画だった。
つまり、「X」は人間と変わらない。結局「X」というは何でも当てはまる。だから登場人物が「X」捜しに熱狂すればする程誰が「X」か?何てどうでも良くなる😄。
そこが面白い。
結局、この映画は「X」を比喩とする事で、なかなか描きにくい、様々な差別やそれに伴う加熱報道を描こうとしている。
なかなかに野心的な作品という事が出きる。
孤独な佇まいの樹里さんが好きだった
惑星難民Xが人間の姿をして我々の日常に紛れ込んだ。Xは人間に危害を加えないようだが、必要以上に不安・警戒心を煽るマスコミ。
林遣都くんが演じる「Xを追う週刊誌記者」と上野樹里さん演じる「X疑惑のかかる女性」のロマンスがいい感じ。
しかし年下の遷都くんがダメダメでイラつく展開。映画なんだからそう真剣にならなくてもいいと思うけど、樹里さんが好きなので仕方なし。
まあ、作品としてはシンプルで薄味だったけど、孤独な佇まいの樹里さんが好きだった。
難しいですね
この映画はXや外国人を色眼鏡で見てはいけない!というのが凄く伝わってきます。
設定上Xは人に危害を加えてくはいけないとなっているようですが、人と一緒で危害を加えるXもいそうですけどね。
心の綺麗な人が凄く上手に描かれた映画だと思います。心がチョット綺麗になった気がします。しかし、危機意識は必要だろうなぁとは思い、作中のお父さんの「難しいですね」の答えが重く感じました。
ある意味ヤバすぎた
なんとなく気になっていた作品だったので見てみました。原作とか読んでなく事前情報も宇宙人と遭遇するファンタジーなのかな?程度で鑑賞しましたが、なんというか想像をぶっ飛ばしていろいろとツッコミどころありすぎて書きたいことがありすぎて全くまとまりそうにありませんがとりあえず書いていきますね。めっちゃ長くなりそう。とにかく内容が馬鹿馬鹿しく、なんだかかわいそうにもなるし、余計な要素いきなりぶっこんできたり一体どういう気持ちで見ればいいのだろうという感じでした。途中であくびが止まらず帰ろうかなと思ったくらいです。
Xは結局なんなのかよくわからないし、画的には真面目な感じに撮ってるけど、よくよく見てるとXという要素があることで非常に馬鹿馬鹿しいなと思える内容で、でもそれがないとただの普通のラブストーリーになっちゃうんだろうなとも思うし、ん〜まあちょっといろいろ中途半端な気がします。こんな内容なのにみんな真面目に演じてるからギャグとして見れば面白いだろうけど、なんとなくファンタジー的に見せたい感じもするし、とりあえずどういう気持ちで見たらいいかわからなかったです。
とりあえず内容としてはアメリカがXという謎の生き物みたいな人間に擬態する生き物の受け入れを表明して日本もそれを受け入れすることになり、とある週刊誌が日本に潜んでいるXを見つけろと編集長が言い出して探偵を雇ってXの疑惑があると絞り出した何名かの日本人を記者たちが追うことになります。そこで主人公である契約を打ち切られそうな記者が必死こいてXの疑惑ある女性に近づき付き合うようになります。その中でだんだんと彼女はXではないと思っていき、さらに本当に好きになっていくのですが、ある時、Xに襲われる夢を見ます。その時に白髪の男性の顔が出てきて、それがXの正体だと思い込みます。そしてたまたまX疑惑の彼女の父親の話を聞いて白髪だと分かると写真を見せてもらうとなんと夢に出てきた男性だったのです(笑)さらに同時期に祖母を預けている施設の利用料を滞納し、退所の危機が出てきたことにより目先の金が必要になり、主人公は彼女の父親に会うことにこぎつけ、しまいにはその父親がXだというガセネタを週刊誌に売り、なぜか完売するほど話題になり父母の家に記者が多数押しかけ、さらには彼女の家にも記者が押しかけます。しかし父親が会見をし、そこで自分がXではないことについて話すだけではなく、娘が本当の娘じゃないことも暴露。(もっと細かくありますがめんどくさいんで割愛します)ま、これをきっかけに娘と父の関係が修復することにもなり主人公も世間から叩かれて、とりあえずガセネタだということはバレ仕事も辞め、最後彼女に謝りに行く流れです。書くの長すぎて結構端折ってますが。
野村周平がクズ役ではなく珍しくいい役だったのもなかなかいい感じでした、あとは台湾の留学生の子がバカすぎるのと、彼女との会話に不自然さが多々あり。日本語あまりわからない設定なのに主要キャラとはちゃんと喋れてるし、上野樹里が英語達者なことは何も説明なし、野村周平も英語はあまりわからないといいながらなぜか中国語は理解しているようだし、この辺の設定がグダグダで見ていてだいぶキツかったですね。こんなわけわからない映画にバカリズムさんが出たのが意外すぎますが、あえてこのぶっ飛んだ設定だからこそ出たのかな。とにかくいろいろやばかったですが人に話すネタとしては最高の映画な気がしました。ただ、何も感動とかはありません。だいぶ駄作だと思いますし、文句が止まりません!笑
あ、あと嶋田久作が最近は寡黙な男みたいな役多い気がしますがパワハラ上司みたいな役やってて新鮮でした!
思考実験としては面白かったが作品としては・・・
2023年劇場鑑賞294本目。
人間そっくりになれるけど種の特性状絶対人間に危害は加えない宇宙人がいることを政府が発表しているが、危害を加えないなんて証拠ないだろ、というフワッとした理由で宇宙人探しをする記者の話。
ネタを掴むため宇宙人の疑いがある(なんで候補に絞れたかはよくわからない)上野樹里に近づいて恋人になる林遣都。おいふざけんな、そんな簡単に上野樹里と付き合うなよ!
利用するために近づいたけど彼女のことを好きになっていって、でも事情があってお金はほしいし・・・という中で悩んでいくのですが、最後らへんどんでん返しを安易にしようとしすぎてしっちゃかめっちゃかになってしまったのが非常にもったいなかったです。
。。ん?
えっと、よく分からなかった。
二度みないとわからない。
X、誰?何が目印?何が証?
その説明がなかったりフワッとしてたりで断定が難しい。
伏線が印象的でなかったりポッと出だからなのも一因。
その上逆転などもありますますわからない。
ん?んー?
と唸っているうちに終了。
伏線回収、謎解きって明確にするのがセオリーだと思うのだけれど。。。
もっとロマンティックに、ミステリアスに、と勝手な想像でいってしまい大失敗。
意図的な二度見て演出だとしたらちょっとズルいなって思ってしまった。
敢えて
Xとかの舞台装置は置いといて、ラブストーリーとして見れば良い話しかと。
人種とか年齢より大事なものが有るという事ですね。
結局誰がXなのかは、敢えて分からないようにしてると理解しました。
DNAどうなんだい?
設定なんだけど、そこまではあり得ないでしょって思いながらも主演お二人の関係性と別カップルの行方が気になり、どちらかと言うと異星人としては見られず、多様性やマイノリティ絡みの恋愛ヒューマンドラマ的に陥ってしまったが、林遣都の笑顔が大好きなので良かった😄
他人をどう認識するかの物語
他人をどう「認識」することが、人間関係において大切なことかを描いていました。
どんな人間だって、他人ならその心の中のありようはわからないのだから、誰しもが「X」みたいなものなわけで。
さらに現実にある問題をクロスして、一歩深く考えたら、他人を仲間、友達、同朋、恋人と思うところに、人種や国籍は必要なのか?
そしてその他人の属性に勝手に不信感をもって疑心暗鬼になり、隠していることを暴きたて、出生から差別することがどれだけ醜いことなのかを描き出しているようにも思えました。
X=宇宙人難民を「日本人に擬態するアジア系移民」や「在日◯世」と置き換えればわかりやすいのかもしれません。
いま、この時代にはすごく刺さる内容だと思いました。
設定は適当だけど、嫌いにはなれない
近年の日本映画で、人間社会で普通に暮らしている異星人が描かれる映画が増えた気がする。そうした映画では当然、人種や民族、宗教、性的指向等、自分とは異なる人のことをどう捉え、どう受け入れていくかのメタファーとして描かれる。社会が異質なるものをどう受け入れていけばいいのか、昔よりも苦悩しているということなのかもしれない。社会が成熟してきているってことなんだろう。
本作では、難民Xのことを「理解できない存在」として恐れ、忌み嫌い、排除しようとする社会の流れが描かれる。逆説的に選ぶべき道はそうではないでしょ!と最初から言っているようなもの。それを伝えたいんですよね?と訝ってしまう。だって、今の日本社会であそこまで排他的になるのかな?いや、一部の人は絶対にあんな感じになるよ、絶対。でも、大半の人はどうなんだろう。わからないから不安を感じる人は多いと思うけど。
たしかに、Xがどんな存在なのかあそこまで情報を伝えないんだから、そりゃ不安にもなるだろうよ。あんな情報開示なら、全面的に秘密裏なままひっそりと地球人に紛れてもらったほうがマシなんじゃないか。難民Xが地球に来た時期もわからないから、子どもができててもおかしくないくらいの年数が経っているのかもわからないし。そもそもトレースって…。適当にトレースさせるのか?、そして戸籍や住民登録は?ってあたりが曖昧なんだよな。
意外とシリアスな内容のくせにそのあたりの設定が適当だなと呆れていたのだが、結構惹き込まれている自分がいたのも事実。伝えたいことは別にあるから、上野樹里がXなのか?なんてどうでもいいんでしょ?なんて思っていたのに、そうだったのか!なんて彼女がXかを気にしている自分を確認したりする。不思議な映画だった。
いろいろと文句は出てくるのに嫌いではない。そんな珍しい評価の映画だった。
心の目で見ること
上野樹里さんの映画、初めてかも、
というのが観に行こうと思ったきっかけ。
ミステリーなのか、SFなのか、と思いながら見始めたけど、
ヒューマンドラマ?でした笑
ストーリーは、異星人Xを受け入れることになった日本で、
X疑惑の人間を追跡する、といったもの。
でも、Xは意外と意外とその辺にいるかもな、と思わせられた。
誰もが宇宙人、逆にXじゃないと示すエビデンスなんてないしな。
この映画でも多様性とかバイアスといったものを考えさせられた。
最近、多いなぁ、とつくづく思う。
そして、ちゃんと心の目で見ないと、色眼鏡を通してみてはだめだよ、
と思った。
でも、おばあちゃんのためとはいえ、好きな人とその家族を・・・
はダメでしょ笑
最後は・・・なんだかなぁ、でもそうなるんだ、って感じ。
上野樹里さん、久しぶりに観ましたが変わらず、きれいでかわいい、
それに芝居が上手、ということを再認識。
林遣都さんはVIVANTのイメージがまだ残っている笑
こちらもすばらしい演技でした。
野村周平さん、最初わからなかった汗
両親役の原日出子さん、酒向芳さん、夫婦愛素敵です。
おまけに酒向芳さんの髪の毛の色チェンジもウケた。
どうする家康ではハゲ頭(光秀)だったのに笑
思ったストーリーではなかったけど、これはこれで面白かった。
お互い様
冒頭、主人公の勤める出版社でのボーっと立ってる主人公とそれに進路妨害されて毒づく他の記者とのやり取りだけで主人公の立ち位置が伝わってくる上に、社内でお荷物扱いされる理由まで見えてくるあたり凄い。
柏木良子と蓮の張り込みを命じられる主人公が柏木良子に接近しようとするも不審者そのもので、仕事のできない主人公ノダメさ加減もすばらしい演技といえる。
また、柏木良子のセリフでいうまでもなく表情だけで何を考えているのかがわかる演技もすばらしく、彼女の知性と人間性に気が付くと良子に共感してしまうというつくりも見事。
社内で差別されている主人公が日本での差別を受けるXを告発するという、弱いものがより弱いものを狩るという構図の面白さもあるが、そういうのを置いても、やはり登場人物一人一人の演技と思考の説得力が素晴らしい。
しかしながら、さすがにクズの集まりの底辺マスゴミといえどもここまでコンプラ意識がないわけはないとは思いますが・・・
というか最初の資料はどこから・・・
メタファーなんだろうけどさ、、(原作未読)
宇宙人Xの存在が全く活かされてないと思ったね。これ、結構原作改変とかがきついんじゃないのかな?
「∴」のマークがあるとかないとか、わかりにくくてそれを最後のどんでん返しにしたいのかもだけど、
どん、でん、
なんて、大きなものはひっくり返ってないよね。んで、あのお父さんはXなの?違うの?ってのがはっきりしてないし、、、さらに設定として、自分がXだと気づいてない人もいるってなったら、もう、確かめようがないよね?
そして、あーゆー、マスコミの姿って、結構時代がかってるっていうか、「ザ昭和」だよね。今ならコンプラ重視で訴訟を気にした展開でしょ?あんなにマスコミが押しかける姿も今は昔、じゃないかなあ。
宇宙人ってキャラ設定ではないとならない理由がないと言うかね、宇宙人だからこんなこともいいよね、的なんだよなあ。
でも、まあ、そんなにイラつかずに鑑賞できたから良かったけどね。
でも、あの声の掛け方でうまく行く?突然知らない人に声かけられてすぐにご飯行ったり、出かけて行ったりさ、強引なストーカーの手口じゃない?そこら辺の用心をしないって言うのもね。もしかしたら原作へのダメ出しになってたら、ごめんなさい。
あ、あと、スクラッチ一枚買いはやめようよ。せめて1000円分だよ
よく分からないことが多過ぎて、納得も共感もできない
偏見や差別の醜さとか、疑心暗鬼の愚かさとかをいくらでも描けそうな題材なのに、そうならないのはどうしたことだろう?
Xは人間をコピー(スキャンとトレース)するということだけど、コピーされた元の人間はどうなってしまうのだろうか?同じ人間が2人いるみたいな描写がないところを見ると、抹殺されてしまうのか、あるいはXに体を乗っ取られるということなのか?そうだとしたら、まさしく「侵略」以外の何ものでもないのではないか?
終盤で、台湾人留学生のコピー元と考えられていた麻薬の密売人が逮捕される場面が出てくるが、単なる人違いだったのか、それともやはりコピー元だったのかがよく分からなかった。
あるいは、人間をコピーしたXは、その人間になり切ってしまって、自分がXであるという自覚もないのだろうか?
途中、人間とXの子供だとそうなるといった説明があるが、そうだとしたら、最後にXらしいと判明する人々について、辻褄が合わないことが多過ぎるように思える。
調査会社にリストアップさせたという週刊誌の取材対象にしても、どういう理由でXと疑われたのかがよく分からないし、誰がXなのかは、登場人物の1人が最初に黒い影に襲われた時点で察しがついてしまう。
主人公の記者が、2人の取材対象のうちの1人に恋愛感情を抱き、もう1人をそっちのけにしてのめり込んでいくのは、明らかにジャーナリストとして失格だし、確たるウラも取らずにデマかせの記事を出す週刊誌の編集部もお粗末過ぎる。取材対象の家に押しかけるマスコミの描き方もありきたりで、主人公が言及する「大統領の陰謀」の足元にも及ばない。
この場合、マスコミが伝えなければならないのは、「誰がXか」ということよりも「Xは本当に人間に危害を加えないのか」ということのはずで、そうであるならば、主人公は、マスコミの世界に留まって、Xの安全性を訴え続けるべきだったのではないだろうか?
主人公が想いを寄せる女性も、怪しげな雰囲気や謎めいた感じがなく、ミステリーとしても、サスペンスとしても、一向に盛り上がらない。せっかく、久しぶりの上野樹里なのに、勿体ないとしか言いようがない。
台湾人留学生にしても、あの語学レベルでは、アルバイトどころか留学はとても無理だろうし、それ以前に、ある程度の日本語を学んでから日本に来るのが普通だろう。むしろ、あれだけ流暢に英語が話せるのなら、日本ではなく英語圏の国に留学すればいいのにと、思わず突っ込みたくなってしまった。
ラストの、手首の3つのホクロにしても、どんでん返し的な驚きを狙ったのかもかれないが、観る者を混乱させるだけで、不要としか思えない。
結局、何から何までよく分からないことが多過ぎて、物語に納得することも、登場人物に共感することもできなかった。
バカリズムが嫌なヤツ
難民Xのくだりはなんか良くわからなかったけど、人間ドラマとして面白かった。
バカリズムの嫌なヤツぶりがハマっていて「いるいる、こんなヤツ」ってなる。
最後の本当のXは誰かっていう所がバババッて早いから、ぼんやり見ていると「あれ!?」ってなる。
折角の上野樹里が・・・
上野樹里の7年ぶりの映画出演作なので、どうしても観たかった。
【物語】
笹憲太郎(林遣都)はジャーナリストを夢見る若者。新聞記者になりたかったが、高卒の憲太郎には手が届かず、何とか 週刊誌の契約記者として働いている。しかし、これまで採用されるような記事は書けず、このままでは契約を切ると編集長に脅されていた。夢の実現が崖っぷちというだけでなく、彼を育ててくれた祖母の養護施設の費用も滞納している憲太郎は経済的にも追い込まれていた。
その頃世間の関心は“惑星難民X”一点に集まっていた。Xとは紛争により故郷の惑星を追われて地球を救いの地として訪れた異星人のこと。Xが世界中にあふれていることから、最近日本政府も彼らを難民として受け入れることを決定したからだった。
「Xは人に危害は加えない」とされていたが、多くの日本人は未知のXに不安を抱いていた。彼らは擬態する能力を持ち、見た目は完璧に日本人となるため、誰がXなのか分からないことがさらに不安を煽るのだった。
憲太郎が契約する週刊誌は世間の注目を集めるXの特集を大々的に組むことを決める。憲太郎は起死回生のスクープを狙ってX特集チームに志願。チームでは調査機関を使ってX
疑惑のある人間を抽出。憲太郎はその中の一人柏木良子(上野樹里)の調査を開始。しかし、正体を隠して少しずつ距離を縮めていくうちに彼女に惹かれてしまう。 一方で、憲太郎自身“惑星難民X”への不安、疑心暗鬼は人一倍強く、恋心と恐怖の狭間で揺れていた。
【感想】
久しぶりに上野樹里を見られることを楽しみにしていただけなので、文句を言うことも無いのかも知れないが、それでもちょっとガッカリ。
そう、折角上野樹里を主演に迎えるなら、地味でも構わないが、いい作品を観たかった。
ほとんど、予備知識無しで観始めたのだけれど、あまりに突飛な設定で始まるので、最初これはコメディー作品なのか? と思った。
しかし、話が進むとおかしな設定ではあるけれど、コメディー要素は薄いことが分って来て、ヒューマンドラマなのかと思い始める。確かに終盤はそれっぽい展開ではある。通して見れば社会派ドラマの風でもある。
しかし、それぞれが高次元で実現されていれば“凄い作品”なのだけれど、どれもこれもお粗末というのが正直な感想。良かったのは上野樹里のみ。
何となく言いたいことは分かるし、描こうとした主題は悪くないと思う。 万国共通の異民族に対する差別の歴史、最近のコロナ騒ぎのときの自分達の安全を守るために排他的心理が露骨的な出たこと。あるいは急激なグローバル化で日本にも外人が溢れ、「今後どうしたものか?」と多くの人が不安も感じる現代日本社会。
そういう時代景にマッチした主題だと思う。
がしかし、背景描写・演出が陳腐過ぎる。特に編集長発言がコント並にナンセンス。コメディーの中で主題を描くというのなら、それはそれで良いのだが、そんなんでもない。
ヒューマンドラマとしては憲太郎の設定がカス過ぎる。主人公は常に聖人君子やスーパーマンである必要はないのだが、カス過ぎるのはやめて欲しい。共感することができなくなる。俺的には裏切りの背後にあるお婆さんの施設費用未払い問題をそうなる前に「なんとかせえや!」と言いたくなる。
例えば、「そうならないように夜は別の仕事をして稼ごうと思ったが、体を壊して働けなくなり、いよいよ困って自分は彼女より、自分を育ててくれたお婆さんをとるしかなかった」くらいの展開にしてくれたら、共感することができたが・・・
クライマックスの良子の父親の会見シーンだけは感動的だっただけに、そこに至るお話がもう少しまともだったら、記憶に残る作品になっただろうが・・・
容疑者Xの天真
とにかく序盤から、不自然さと描写不足が多過ぎる。
Xに危険性がない根拠があるなら政府が発表するハズだし、そもそもどうやって判明した?
擬態だけならいいが、コピーとなると相手はどうなるのか。
二人になるにしても成り代わられるにしても、(特に後者は)問題アリアリ。
ランダムに取った「首都圏」の調査対象二人が同じコンビニでバイトしてたとかご都合すぎる。
メイン二人の接近も、逆ならまだしも助けた側が誘うとサクラを疑うし、ついてかないでしょ。
あんな強引で違和感だらけの相手の車に乗り、家にまで入れる良子は警戒心皆無。
笹の中で公と私のバランスが入れ替わる様子も、その葛藤もまったく描かれない。
スクープ狙いのはずなのに前提となるXの知識すら皆無だし。(だからダメ記者なのかもだけど)
蓮ちゃんかわいいけど、あの日本語レベルでホール採用されないよ。
拓真は展開に合わせてのキャラぶれが激しいし、蓮を揺さぶるためだけの存在で終わる。
二人が曲を聴かせ合うシーン、2秒で即切りしてて笑った。
終盤は悪くなかったけど、あの展開なら誰がXかはハッキリさせなくてよかったと思う。
笹は結局Xじゃないし、あの3つの黒子みたいなのが特徴なのもいきなり示されても…
良子さん確かにお金使わなそうな生活してたけど、いきなり開業できるほど貯金あったのね。
意味ある一本
「X」というのをあらゆる被差別的な要因のメタファーとして描くことで、特に日本における差別の在りようを寓話的に描き出しているのは相当に意図的だと思われる。
「X」はたとえば被差別部落出身や在日朝鮮人あるいは直近でのコロナ感染者などの日本における、特に対象が特定しづらい被差別的な要因のどれとも容易に置き換え可能であり、だからこそ差別的なマスコミの騒ぎも容易に想像が付くところ。
ただ本作は林遣都演じる主人公がある意味暴走してしまうことから、逆にそうした個人的な要因がなくても日本人は容易に差別的になれるのだ、という点に目を瞑ってしまうことに加担していないか、という点が疑問。暴走しなくても僕らは容易に差別主義者たり得るのだ、という視点が重要だと思うのだけど…
むしろ台湾人蓮さんのエピソードの方がより日常に潜む差別意識をより克明に描いている印象。
しかしまぁこうしたことに意識的になることが重要と考えれば、意味ある一本と思われる。
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