デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章

劇場公開日:

解説

地球外からの侵略者が日常に溶け込んだ世界で青春を謳歌する少女たちの姿を描いた浅野いにおの同名コミックをアニメーション映画化した2部作の前編。

3年前の8月31日、巨大な宇宙船「母艦」が突如として東京に襲来し、世界は終わりを迎えるかに見えた。その後、絶望的な状況は次第に日常に溶け込み、上空に母艦が浮遊する異様な光景が当たり前となっていた。そんな中、女子高生の小山門出と「おんたん」こと中川凰蘭は、担任教師の渡良瀬や仲の良い友人たちとともに何気ない学生生活を送っていたが……。

音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraとしても活動するシンガーソングライターの幾田りらが門出、歌手やタレントとして若い世代を中心に人気を集めるあのがおんたんの声をそれぞれ演じる。「ぼくらのよあけ」の黒川智之がアニメーションディレクター、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズの吉田玲子がシリーズ構成・脚本を手がけ、「地球外少年少女」のProduction +h.がアニメーション制作を担当。

2024年製作/120分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2024年3月22日

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(C)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

映画レビュー

4.5この国の生きている感覚をみごとに封じ込めた世界観。

2024年3月31日
PCから投稿

原作未読なため、どこまでが浅野いにおのマンガに忠実で、どこまでが吉田玲子の脚色の妙なのか判別がつかないのだが、如実にわかる藤子不二雄や水木しげるの引用から、震災やコロナ禍の暗喩、この国を覆う閉塞感と展望のないモラトリアム感など、日本で生きてきて「あ、知ってる……」と思う感覚をギュギュッと凝縮させたような世界観であり、ひとつひとつの表象が多層的であることに魅入られて、咀嚼できる許容量をはみ出して知恵熱が出て倒れるかとすら思った。斬新、ではないのだが、自分たちが浴びてきたある種のカルチャーの総決算を目の当たりにしているようで、マジで圧倒された。

あのは実写映画『鯨の骨』での演技も素晴らしかったが、幾田りらともども声優としても空恐ろしいくらい完璧に思える。そして2人のコラボ曲でガツンと終わるポップさが、かろうじて息をつかせてくれた気がする。と、手放しで絶賛しつつ、考えたらお話的にはまだ半分なんで、ストーリー全体をどう評価したものかはまだ保留。5月までに原作を読むか、このまま知識ゼロを保持して後半も映画から観るかでアタマを抱えています。映画を待つのが自分的には正解だと思いつつ、気になってしょうがないんですもん。

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村山章

5.0本当はこの世界はどのくらいヤバいのか

2024年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ポスト震災、ポストトゥルース時代の青春映画として大変完成度の高い傑作だと思う。世の中では何か大変なことが起きているけど、自分の半径数メートルは平和で、今しか味わえない青春が大事。「本当はこの世界はどれくらいやばいのか」と教師の質問する主人公の思いは、みんなが抱えているけど、普段それを口に出すことはない。なんとなくヤバいとみんな思ってるけど、人は信じたいものしか信じることはないし、気づいていても気づいてないフリ、見ないフリをしてしまう。
日常が突然壊れたとしても、非日常が日常に変わって日々は続いていく。それは不気味なことだと同時に、決して悪いことばかりでもない。そうしないと人間は生きていけない。この作品は、危機感を持てないことへのいらだちや諦観だけじゃない、それでも生きていく人の強さはその鈍感さにこそあるかもしれないと言っているようにも思える。アニメーションの完成度も極めて高いし、主演二人の声はキャラクターのお腹から出ているとしか思えないくらいにハマっている。今年を代表するアニメーション映画の一本だ。

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杉本穂高

4.0日常を覆うSF要素、二人の声が織りなす固い絆に引き込まれた

2024年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

原作を何も知らないまま本作に飛び込んだが、SF青春劇に思いのほか引き込まれた。主人公の二人は高校生。それこそ自分とは親子ほど歳が離れているものの、私もこの日本で生きる身として、巨大宇宙船飛来とまではいかなくとも、社会が揺れるたび何度となく似たような感覚に陥ってきた気がする。もしかすると前の世代も、これから後の世代も、感じることは同じかもしれない。想像を超えた事態は何の前触れもなく唐突に訪れ、日常を豹変させる。だがその状況下にあっても、高校時代は、青春は続く。彼女らが交わす他愛のない会話、ただ一緒にいるだけで醸し出される安心感が尊い。門出(幾田りら)の落ち着いた基調トーンと、おんたん(あの)がもたらす破天荒な揺さぶり。時に攻守を反転させながら描かれる二人にとっての「絶対」。通常なら青臭く思えるその概念も彼らを見ているとすとんと胸に落ちるのが不思議だ。後編がどう展開するのか非常に楽しみである。

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牛津厚信

4.0隔壁

2024年6月4日
iPhoneアプリから投稿

なんだか面白かった。
後半になって魅惑的なワードが飛び出してくる。
「8.32の始まり」
「シフター」
「怠惰な夏休み」などなど。

世界観は独特で…地球外生命体のUFOが3年もの間、上空に鎮座する世界。
強烈な非日常を感じるも、女子高生達の思春期が描かれる。至って普通に。コレがなんだか微笑ましい。
主人公2人の声優さんはハマってた。
特にあのさんの醸し出す空気感は格別だった。
非日常が日常となった世界で彼女達は青春を謳歌していく。きっとそんなもんだろうと思う。
直接的な危害がないのであれば、気に留める理由も薄くはなる。
だが、異質な物体はやっぱり異質なままで、彼女達の世界に干渉はしているようだ。

物語に何度か挿入される「偉い人」
誰かを特定するわけではないが、世界線の区別を感じる。そういう言葉を俺が使う時は「自分の意見が届かない人」という意味もこもってる。
その人達は、その侵略者達を排除しようとやっきなようだ。自衛隊はフル稼働してるようだし、撃退する兵器の開発にも余念がない。
無闇に蜂の巣を突くものでもないとは思うのだけど、描かれてない理由があるのか、単純に無謀なのかは現段階では分からない。
どうやら反撃はないようで、宇宙人自体は知性も理性もあるし、防護服ではあるものの可愛いらしい風貌もしてる。擬態の可能性は十分あるが。
?なのは、小蠅を落としてもしょうがないだろうにと思う事だ。母艦の大きさは圧倒的だし、そこを攻める気がありそうでもなく、遥かに小さいものを撃破して喜んでる。どんな密約が交わされてんだろうかと不思議でしょうがない。
政府として、全ての情報を開示するはずもなく、重要な事こそ隠蔽はしていて…その実情を国民達は知らされない。
だからこそ、彼女達は彼女達の青春を謳歌もできる。

今は。

だが彼女達が知らないだけで、本質は変わらず事態も変化をしていく。
そして、おそらく事実を突きつけられる。
最早、手遅れとしか言いようがないタイミングで。
意図的に作り上げられた隔壁が瓦解した時、突発的にその隔壁が取り除かれた時、彼女達はどんな選択をするのであろうか?
そして、僕らならどんな選択ができるのだろうか?
「偉い人」達によってもたらされる仮初の平和。
後半はそれが幻だったと自覚するような展開なのであろう。
平和で微笑ましかった前半の終わりには不穏な影がさしていく。ステンドグラスが脆く割れるような印象を残したまま前半は終わった。

まるで現代が持つ病巣をギュッと濃縮したようにも見える世界観。
上空に佇むモノは得体が知れない。
そこに付与される様々なレッテル。真実も確証もそこには無いのに数の論理と疑心暗鬼が、そのデマを真実にしていく。
陰謀論のようなものに振り回されるキホの元彼なんかはいい例だ。彼ば武器を取り他者を傷つける事を選ぶ。
確証もないまま流布される憶測に惑わされ他者を傷つける選択をする。
テロリストのように描かれてはいるが、SNSで日常的に起こる誹謗中傷と根っこは変わらないんだろうと思う。
ただただ隠蔽する政府
情報操作に加担するマスコミ
強迫観念に支配される親などなど。

どんな終幕が待っているのか?
全く予想も出来ない後半が楽しみである。

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U-3153
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