劇場公開日 2019年11月29日 PROMOTION

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ドクター・スリープ : 特集

2019年11月18日更新

【本編レビュー】とにかくシンプルに面白い!
S・キング最高傑作「シャイニング」続編は、“完璧な続編”だった…!
“迷い”は不要 話題作続出の中、本作を見逃せない“10の理由”がある!

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スティーブン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督による「シャイニング」(1980)は、今もなおホラー映画の傑作として名高い。その続編「ドクター・スリープ」が、11月29日に公開を迎える。強度の高いエンタメ性を兼ね備え、前作未鑑賞でも存分に楽しめる。一方で、偉大な前作を汚すことのない“完璧な続編”としても成立している。

呪われたホテルの惨劇を生き延びたダニーが、なぜ再び、あのホテルに戻るのか? そして彼は、狂気にとらわれた父と同じ運命をたどってしまうのか? 「シャイニング」が、本作でついに完結する――。

本特集の前半では、本作が必見である理由を詳述していく。そして後半は、映画.com編集長(筋金入りのキューブリック・ファン)のレビューを掲載するので、前作ファンにもぜひ目を通してもらいたい。


全ての謎が判明…鑑賞直後の編集部が語る、本作を見逃せない10の理由
シンプルにハイレベル! 話題作大量の11月でも、魅力はひときわ鋭く輝く

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今年は11月に公開される話題作がよく目立つ。「IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」「ターミネーター ニュー・フェイト」「アナと雪の女王2」など……。

そんななか「どの作品を見ようか」と迷っている読者は、すぐにでも「ドクター・スリープ」の鑑賞券を購入するべきだ。編集部はひと足先に鑑賞したが、その品質は“ハイレベル”の一言に尽きる。


理由①:原作は「IT イット」などのS・キングによる“最高傑作”

“世界一有名なホラー作家”といっても過言ではないキング。77年に発表した「シャイニング」を、彼の最高傑作に挙げる声は多い。2013年に発表された「ドクター・スリープ」は、そんな傑作の“その後”に言及したファン待望の続編だ。

「シャイニング」場面写真
「シャイニング」場面写真

理由②:異端の巨匠S・キューブリックによる“最高傑作” その40年越し続編

「シャイニング」は80年に映画化。メガホンをとったのは、20世紀を代表する監督・キューブリック(「2001年宇宙の旅」など)だった。主演したジャック・ニコルソンの怪演はもちろん、彼がドアから顔をのぞかせる“わずか2秒”に約2週間(テイク数は190以上!)を費やしたなど、キューブリックの異質のこだわりも語り継がれている。

このシーンに2週間! 「シャイニング」場面写真/パッケージジャケット
このシーンに2週間! 「シャイニング」場面写真/パッケージジャケット

理由③:異例の事態が発生… キングも、キューブリック遺族も本作に太鼓判

キングは自作の映画化に対し辛辣な態度をとることで有名。ところが本作には超好意的で、鑑賞後に「良い仕事」と激賞した。さらにキューブリックの遺族も出来栄えに太鼓判。両者が褒める映画……これはもう、異常事態というほかない。

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【予告編】 理由④:“シャイニング”とは何か? 熱い視線を集める大注目作

理由⑤:映画史上、最も凶悪な“呪いのホテル”が、時を経て再登場

「シャイニング」に登場するオーバールック・ホテル。管理人のジャックは狂気に取りつかれ、妻や息子のダニーを襲ってしまう。そこは怪異がはびこり、「かつての管理人が家族を惨殺した」という呪われた場所だった……。映画ファンの記憶の中央に屹立するホテルが、時を越えて登場。再び、観客を禍々しい恐怖の渦へと引きずり込む。

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理由⑥:世界的に有名な“ホラーアイコン”も多数登場 前作の謎のすべてが明らかに…

たたずむ双子、幾何学模様の絨毯、血のエレベーター……。様々な映画でオマージュされ続ける(近年では「レディ・プレイヤー1」が記憶に新しい)あまりにも有名なホラーアイコンたちが今回も登場。そもそも“シャイニング”という能力は何なのか? あのホテルや“住人たち”は何だったのか? 前作で示唆されながらも、明かされなかった謎のすべてが、“完結編”ともいえる本作で語られる――。

前作ファンの心を躍らせる、粋な演出が多数用意されているので、鑑賞をお楽しみに!

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理由⑦:ダニーをめぐる“再生の人間ドラマ”が、いつまでも胸に残る

主人公は、不思議な力“シャイニング”を持つダニー(ユアン・マクレガー)。40年前の“ホテルの惨劇”というトラウマを抱え、酒にまみれた退廃的な日常を送っている。しかし親切な手助けや同じ能力を持つ少女・アブラとの出会いを経て、彼は人生に希望を見出していく。背筋も凍るホラーの合間に、心を温める普遍的なドラマが挿入され、予想以上の相乗効果を生んでいる。

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理由⑧:連続児童誘拐事件、謎の女性ローズ・ザ・ハット… サスペンスも強烈

ホラーとドラマにサスペンスも絡みつき、観客をひと時も飽きさせない。全米で児童誘拐事件が次々と発生し、“ローズ・ザ・ハット”と名乗る謎の女性(レベッカ・ファーガソン)や、“トゥルー・ノット”と呼ばれる集団の影がちらつく。キング作品史上、最恐のヴィランとも言える彼らの目的は判然とせず、観客はその不気味な暗躍にゾッとすることになる。

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理由⑨:音響も良質 “鼓動”が緊迫感を最大化する

重要な見せ場では必ず、鼓動の音が劇場全体を震わせる。見る者の体内で膨張と収縮を強く繰り返し、物語への没入は何倍も促進されていく。映像、演出も一級品だが、音響にも耳を澄ませてみれば、さらに多くの発見がもたらされるだろう。

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理由⑩:でも「シャイニング」の予習はマストではない 本作→前作もオススメ

未鑑賞者には強く「本作を見てから前作を見る」ことをオススメしたい。予習せずとも100%楽しめるつくりになっており、鑑賞後の試写室ロビーでは「帰ったら『シャイニング』をVODで見てみます」という声も聞こえてきた。あえて続編から見て、過去の名作に思いを馳せてみるのも一興だ。

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「シャイニング」ファンはどう見た? 映画.com編集長の総力レビュー
「ファンを搾取する作品… 思いっきり、搾取されに行ってよし!」

「シャイニング」場面写真
「シャイニング」場面写真
 映画.com編集長・駒井尚文 物心ついた頃から、私がもっともリスペクトする映画監督はスタンリー・キューブリックです。没後20年経った今も、その気持ちに微塵も変化はありません。日本における2019年は、そんなキューブリック信者にとって、特別な年になりました。「キューブリックに愛された男」「キューブリックに魅せられた男」という、キューブリックにスタッフとして仕えた男を描いたドキュメンタリーが2本も公開され、「時計じかけのオレンジ」が「午前十時の映画祭」でリバイバル上映され、信者たちのキューブリックロスはだいぶ癒されています。キューブリック大国・日本の面目躍如ですね。 そして今年、そんな信者たちにもっとも大きな喜びと驚きをもたらす案件が「ドクター・スリープ」です。何しろ「シャイニング」の続編なわけですから。しかしこの映画の予告編(特別映像:ダニー編)を見て、私は「やられた!」と思いました。原作者のスティーブン・キング自らが登場して「大人になったダニーがどうなったか、ずっと気になっていた」とか語っているじゃないですか! しかもこの予告編は、「シャイニング」のオープニングの空撮シーンの音楽「デーンデーンデーンデーデーデーデーン」で終わるんですよ。ズルい! ズル過ぎる。
「シャイニング」場面写真
「シャイニング」場面写真
 キューブリック信者は絶対に見に行きます。見に行かない理由がない。もちろん信者は、キューブリックの「シャイニング」が、スティーブン・キングのお気に召さなかったことも知っています。そして本編を見れば、この「ドクター・スリープ」はキューブリック映画ではなくて、キング映画であるという事実に打ちのめされるわけですよ。 この映画は、スティーブン・キングが、キューブリックに復讐しながら、キューブリック信者を搾取してやろうという案件です。まあでも、喜んで搾取されようじゃないですか。キューブリック信者としては、「キングに借りを返してやったよ」って気持ちで太っ腹なところを見せてやろうじゃありませんか。そして、「ドクター・スリープ」を見た後は、家に帰って「シャイニング」を見直すんですよ。 キューブリックが「シャイニング」を監督していなかったら、「ドクター・スリープ」は存在していないってことが分かりますからね。
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