コラム:清水節のメディア・シンクタンク - 第4回
2014年3月20日更新
「アナと雪の女王」をドルビーアトモスで最速体験!
そして、早速「アナと雪の女王」をドルビーアトモスで体験してみた。霜が張りめぐらされ、辺り一面が凍り付いていく場面では、3D効果と駆け抜ける音色が相俟って、氷の王国の現出を実感する。孤独と決意を謳い上げる「Let It Go」では、圧倒的な声量とともに、映画館がブロードウェイと化す。あの歌の主題は、ドルビーアトモスそのものだ。♪ ありのままの 世界聴かせるの ありのままの 魔法で包むの。
国内配給が決定している今後のドルビーアトモス採用作品は、「アメイジング・スパイダーマン2」(4月25日公開)。都内では日本橋のみでの興行ゆえ、予約殺到は必至だ。しかしハリウッドでは採用が決まっているのに、ドルビーアトモス版が配給未定の話題作も数多い。例えば、「Xメン:フューチャー・パスト」「300 帝国の進撃」「ノア 約束の舟」「GODZILLA」「猿の惑星:新世紀」…。ここはひとつファンが声を上げ、日本橋のスクリーン8を常時満席にすることで、配給会社を動かしていこうではないか。ちなみに、全世界におけるドルビーアトモス普及は、現在450スクリーン超で、年内に1000スクリーンへ拡大する計画。この潮流は止まらない。
ところで、日本橋という土地柄が呼び寄せる客層にとって、イギリス演劇界最高峰の劇場が贈る「ナショナル・シアター・ライブ」という希少性も格調も高いODS(Other Digital Stuff)は、ニーズが高まっていく予感がする。演出ダニー・ボイル、主演ベネディクト・カンバーバッチ&ジョニー・リー・ミラーによる「フランケンシュタイン」(3月28~30日/4月4~6日)には注目したい。
TOHOシネマズは今後、2015年新宿、2017年上野にシネコンをオープンする。日本橋内覧時のぶら下がり会見で、TOHOシネマズ瀬田一彦社長から筆者が質問して得た独自情報を、最後に2つお届けしよう。1つめは音響について。日本橋において、スクリーン8(292席)が盛況になった場合、最大キャパのスクリーン7(406席)にもドルビーアトモスを導入する可能性はあるのだろうか? 「あります。すでに下地作りはしています」。2つめは他の規格について。TCXという独自規格を生み出した以上、TOHOシネマズは「IMAX」や「4DX」を導入しないのだろうか? 「無くはない。研究しています。あらゆる可能性を考えていく。オープンハートの姿勢で様々なコラボを実現し、各社とのパートナーシップを強化していきます」。体感性をキーワードに、シネコンは進化し続けている。伝統と先端が融け合う街・日本橋で、まずはドルビーアトモス版「アナと雪の女王」の立体音響に包まれてみてはいかがだろう。