コラム:編集長コラム 映画って何だ? - 第11回
2019年5月10日更新
自分たちの映画を携え、ウディネ映画祭に参加してきました
イタリアのウディネという町で、(2019年)4月26日から5月4日まで開催されたウディネ・ファーイースト映画祭(以下、ウディネ映画祭)に参加してきました。私たちが製作した映画「カンパイ!日本酒に恋した女たち」というドキュメンタリーがこの映画祭から招待され、公式上映されることになったのです。
映画.comはメディア運用のかたわら、映画製作も時々手がけています。「カンパイ!」の2作品「カンパイ!世界が恋する日本酒」「カンパイ!日本酒に恋した女たち」は、いずれも映画.comとゆかりの深いLA在住のジャーナリスト・小西未来氏が監督業に挑戦した映画ということで、私たちも全面的にサポートしています。
今回のウディネ映画祭には、小西監督と、出演者のひとりで今田酒造の杜氏である今田美穂さん、プロデューサーの柳本千晶さん、私(エグゼクティブ・プロデューサー)、その他2名の総勢6名で訪れました。
通常、カンヌとかトロントなどの国際映画祭に参加する際、私たちはプレスパス(映画祭を報道するプレスが対象)かバイヤーパス(映画祭で映画の売買を行う会社が対象)を取得するのですが、今回は上映作品を提供する立場。つまり「映画祭から招待されている立場」ということで、いつもの映画祭とは前提が違います。パスのタイトルも「GUEST OF HONOR」。
そして、行ってみて驚いたことには、このウディネ映画祭はゲストに対するホスピタリティーが非常に手厚いんですよ。そのあたり、私たちが映画祭の会場に到着するあたりから、少しだけ振り返ってみましょう。
4月30日、ベネチアの空港から映画祭の送迎シャトルに乗っておよそ1時間半、ウディネの町に到着しました。ホテルにチェックインを済ませると、ちょうどお昼時なので、シャトルは町のレストランに向かいます。このレストランは、映画祭が連日ランチタイムを借り切っており、映画祭のゲストは毎日無料のランチを楽しむことができるのです。
ランチはビュッフェ形式なんですが、このビュッフェのクオリティーが非常に高い。ワインやプロセッコ(スパークリングワイン)は飲み放題だし、生ハムは超絶旨いし、パスタも数種類あってどれも絶品。
ランチを楽しんでいると、日本人のスタッフが次々と私たちのテーブルに挨拶に訪れます。なんと、この映画祭には日本人スタッフがいました。しかも4人もいる。この4人は、現地在住の方が2名と、日本から出張ベースで来ているスタッフが2名とのこと。彼(彼女)らが、我々をほぼフルアテンドしてくれます。宿泊ホテルと映画祭会場との移動周り、ランチやディナーやおやつなどの食事周り、上映や記者会見などのイベント周りなど、指示が来るまでゲストはボーっとしていてもOK。スタッフがちゃんとエスコートしてくれる。なんて楽勝なの。
しかも、舞台挨拶やプレスインタビューの通訳のクオリティーがまた凄い。日本語=イタリア語=英語の同時通訳が完璧にこなせるレベルの通訳が複数名アサインされているのです。つまり日本からのゲストは、イタリア語も英語も話せなくても、映画祭のイベントを完全にこなすことが可能。
「カンパイ!日本酒に恋した女たち」の上映は、翌5月1日なので、今日は軽いオリエン程度。上映前の舞台挨拶と、上映に続いて行われる日本酒のテイスティングイベントについて、小西監督と杜氏の今田美穂さんがスタッフと簡単に打ち合わせします。
そしてこの日の夜は、町の丘の上に佇むウディネ城でのディナー。もちろん無料です。午後8時頃にシャトルバスで会場に到着してみると、私たちを待っていたのは、アルプス山脈に沈む美しい夕陽でした。
いつまでも眺めていられるほど見事なサンセット。みんなアルプスに向かって写真撮りまくり(笑)。集団インスタ大会。
ウディネ映画祭、凄すぎるよ。まだ到着したばかりなのに、映画の上映前なのに、すでに気分は上がりっぱなしです。
世の中には、こんな素敵な映画祭があったんですねえ。
明日は、13時から私たちの「カンパイ!日本酒に恋した女たち」の上映が行われます。日本国外での初上映、インターナショナル・プレミアです。次回は、その模様をお伝えします。
筆者紹介
駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。
Twitter:@komainaofumi