コラム:板尾創路の脱獄映画万歳! - 第4回
2009年11月30日更新
第4回:サッカーの王様ペレも出演。S・スタローン主演「勝利への脱出」
第4回は、サッカーと脱出劇を融合させた壮大な戦争ドラマ「勝利への脱出」(80)をお届け。シルベスター・スタローン、マイケル・ケインら実力派俳優のほか、サッカーの王様ペレをはじめとする当時のスター選手が多数出演する本作について語る。
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◇「勝利への脱出」ストーリー◇
1943年、ドイツ南部のゲンズドルフ捕虜収容所では、連合国軍の捕虜たちが気晴らしでサッカーに興じていた。その様子を見ていたドイツ軍将校シュタイナーは、ドイツ代表対連合国軍捕虜チームとの親善試合を思いつき、捕虜のリーダーで元英国代表サッカー選手のコルビー大尉もその提案を受け入れる。だが、実は連合国軍には試合に乗じた大規模な脱走計画があり、一方のドイツ軍も試合をプロパガンダに利用しようとして……。―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――この映画は1980年の作品で、板尾さんは当時高校生ぐらいだったと思いますが、初めて映画を見たときのことは覚えていますか?
「この映画は映画館に見に行きました。脱獄とサッカーを絡めるというのが『大丈夫か?』とも思ったんですが、実際うまく取り入れられているし、よく出来た映画だと思いました」
――「大脱走」と「勝利への脱出」には、ナチスの捕虜となった連合軍、主人公がアメリカ人などいくつか共通点がありますね。
「特にそういうことは意識していなくて、単純に良い映画として印象に残っていたからなんですけどね」
――主役はシルベスター・スタローンですが、「ロッキー」のイメージが定着していた彼がゴールキーパーを演じたのは意外に感じませんでしたか?
「もちろん『ロッキー』も好きなんですけど、スタローンの出演作の中ではこの映画はかなり良かったですよ。それに当時大人気だったスタローンを起用したことで、作品の注目度も上がったし、あの役にスタローンを持ってきたのは正解やったと思いますね」
――脱獄とサッカーという組み合わせも面白いですね。
「サッカーというスポーツ自体、国と国とが戦う戦争だと言われてますからね。この映画では戦闘シーンをサッカーで表現して、しかもそこから逃げようとするストーリーです。もちろん実際にあった話ではないですけど、本当にあったことのように描かれています。試合と平行して脱獄のことも描かれていて、どんどん試合が盛り上がるので『脱獄のことは忘れたんかな?』と一瞬思ってしまうんやけど、最後まで気が抜けない面白さがあるんですよ」
――サッカーの王様ペレや、当時活躍していたサッカー選手が出演したことでも話題になりましたね。
「僕はあまりサッカーには興味なかったんですけど、さすがにペレは知ってました。サッカーのスター選手ががっつり映画に出るなんてあまりないことですしね。彼はお芝居もうまかったし、オーバヘッドなどプロらしい見せ場もあって良かったですね」
――この映画は脱獄(脱出)の仕方がユニークです。色んな脱獄方法があると思いますが、脱獄と聞いて最初にどんな方法を思い浮かべますか?
「やっぱりトンネルを掘る方法かなあ。見つからないように掘り続けて逃げたということは、囚人はものすごい年月をかけて掘ってたはずやから、脱獄された側としては『なんで気付けへんかったんや』と悔やむでしょうからね。囚人たちも表向きは涼しい顔をしながら夜な夜なコツコツ掘っていくというのが面白いですよね」
――脱獄映画としては一風変わった「勝利への脱出」ですが、見どころをお願いします。
「見どころというと、やっぱりペレが役者として出ていることですかね。ストーリーも決してベタではなく、最後まで読めない展開です。スタローン主演と聞いて『勝利への脱出』を思い浮かべる人はほとんどいないと思うし、今の若い人にはあまり知られてない映画かもしれません。でも公開当時より今の方がサッカーが断然メジャーやし、試合のシーンもよく出来てますから、今見た方が絶対楽しめると思いますよ。連合軍対ドイツ軍というのも何だかワールドカップみたいな感じがしますよね。ぜひ、若い人に見てほしいですね」
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「勝利への脱出」
原題:Escape to Victory
監督:ジョン・ヒューストン
製作:フレディ・フィールズ
出演:マイケル・ケイン、ペレ、マックス・フォン・シドー、シルベスター・スタローン
価格:2100円(税込)/発売中
発売・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ