コラム:シネマ映画.comコラム - 第8回

2022年4月1日更新

シネマ映画.comコラム

ドキュメンタリー「GUNDA グンダ」と「ビッグ・リトル・ファーム」

第8回目となる本コラムでは、プレミアムスクリーンで4月1日より先行独占配信の「GUNDA グンダ」と、スクリーン2で配信中の「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」をピックアップして紹介します。

画像1

GUNDA グンダ」は、農場に暮らす動物たちの深遠なる世界を、斬新な手法で叙情豊かに描いたドキュメンタリーの傑作です。研ぎ澄まされたモノクロームの映像と驚異的なカメラワーク、人工的な音楽やナレーションを排した迫力の立体音響による、究極の映像体験が得られることでしょう。“最も革新的なドキュメンタリー作家”と称される、ビクトル・コサコフスキー監督が脚本、撮影、編集も手掛け、「ジョーカー」のホアキン・フェニックスが製作総指揮に名を連ねています。

とある農場で暮らす母ブタ「GUNDA」。生まれたばかりの子ブタたちが、必死に立ち上がり乳を求める。一本脚で力強く地面を踏みしめるニワトリや、大地を駆け抜けるウシの群れ。そこで暮らす動物たちの息吹が、驚異の映像美と臨場感で迫ってきます。カメラの存在を感じさせず、覗き見るようなその深遠なる世界に、今まで見たことがない映像体験を得られることでしょう。これまでに国内外で100以上の映画賞を受賞。アルフォンソ・キュアロンアレクサンドル・ソクーロフポール・トーマス・アンダーソンら世界の名だたる映画作家も絶賛しています。

「GUNDA グンダ」
「GUNDA グンダ」

画像2


純粋なサイレント(無声)映画ではありませんが、ナレーションや音楽のない、動物の鳴き声や息づかい、虫の羽音、風などの自然音のみのモノクロ映像からは、映画の原初の力を感じることができます。セリフや字幕、効果音や音楽がなくても、映像だけで物語を描く力を持っていた映画の原点にかえったような作品と言えるのではないでしょうか。コサコフスキー監督は「感傷的に表現するのは避け、ビーガン(完全菜食主義者)のプロパガンダにならない映画を目指しました」としつつ、「私にとって、“映画”の本質は見せることで、伝えることではありません。“映画”の原点に立ち返ることが正しいアプローチだと思ったからです」と述べています。(作品公式サイト参照)

農場で暮らす母ブタ「GUNDA」と子ブタの姿からは生命の誕生や成長、母性愛、子の愛くるしさ、生きる厳しさとおかしさが、地面を踏みしめるニワトリの姿には自然の厳しさと動物の威厳や美しさのようなものが、牛たちが大地を駆ける様や表情、鳴き声には動物の生命力や躍動感、そして覚悟のようなドラマを感じることができます。

「GUNDA グンダ」
「GUNDA グンダ」

「ビッグ・リトル・ファーム」は、自然を愛する夫婦が、息を呑むほど美しい“究極のオーガニック農場”を作り上げるまでの8年間を追ったドキュメンタリーです。都会から郊外へ引っ越した夫婦は、自然の厳しさに直面しながらも、命の誕生と終わりを身をもって学び、動物や植物たちとともに農場を作るために奮闘する姿が感動を呼びます。今年1月28日から2月10日まで「シネマ映画.com」で開催された、環境問題や社会課題がテーマの「第1回サステナブル未来映画祭」の配信作品に選ばれて、非常に多くの視聴チケットが購入されました。

自然の美しさや厳しさとともに、農場で生活する動物たちのかわいらしい姿をとらえているのが「ビッグ・リトル・ファーム」の見どころのひとつです。ニワトリや牛ももちろん登場しますが、その中でも子ブタを生み育てるパワフルで魅力的な母ブタ「エマ」の生きる姿は、母ブタ「GUNDA」と重なります。愛しい動物や植物たちと未来への希望に満ちた農場をつくりあげていくことは果たして可能なのか—。

画像5

この2作品には、農場で暮らす動物の現実がしっかりと記録されています。「GUNDA」の後半の息づかいと鳴き声から感情が伝わってきて切なくなりますが、命のサイクル、動物の命をいただくことの重さや有り難さ、食生活や環境保護について考えるきっかけになると思います。「GUNDA グンダ」のコサコフスキー監督は、カメラに何ができるかに改めて挑戦していて、私たちが見逃していること、忘れかけていたことに気づかせてくれます。(執筆&編集者/和田隆

なお「シネマ映画.com」では、4月1日から4月30日の期間中に「GUNDA グンダ」を購入(視聴)された会員様に対して、購入後2週間有効な「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」の20%OFFクーポンを付与します。未見の方は是非続けてご覧ください。

■クーポン利用方法
 「GUNDA グンダ」をご購入済の会員様※は、「ビッグ・リトル・ファーム」のお支払い画面で「ビッグ・リトル・ファーム特別クーポン」が表示されます。クーポンの「適用」ボタンを押すことで、割引価格で作品をお楽しみいただけます。
※「GUNDA グンダ」購入後2週間以内の会員様が対象となります。

「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」
「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」

>>【シネマ映画.comはこちら!】

シネマ映画.comで今すぐ見る

筆者紹介

シネマ映画.comスタッフのコラム

シネマ映画.comスタッフのメンバーが、シネマ映画.comで配信するオススメの映画や関連情報などをご紹介します。

Amazonで今すぐ購入

映画ニュースアクセスランキング

本日

  1. 宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが四姉妹 是枝裕和がドラマ化「阿修羅のごとく」メイン予告、スペシャルアート、追加キャスト発表

    1

    宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが四姉妹 是枝裕和がドラマ化「阿修羅のごとく」メイン予告、スペシャルアート、追加キャスト発表

    2024年12月17日 08:00
  2. ソニー、「スパイダーマン」関連作品の展開を終了へ 「クレイヴン」が最後のスピンオフに

    2

    ソニー、「スパイダーマン」関連作品の展開を終了へ 「クレイヴン」が最後のスピンオフに

    2024年12月17日 17:00
  3. 元ボンドガール、次期007の女性起用に異議 「伝統を守るべき」

    3

    元ボンドガール、次期007の女性起用に異議 「伝統を守るべき」

    2024年12月17日 12:00
  4. 津田健次郎、中1時代の写真を公開 “趣味”で丸刈りにしていた「自分でも何を言っているか……」

    4

    津田健次郎、中1時代の写真を公開 “趣味”で丸刈りにしていた「自分でも何を言っているか……」

    2024年12月17日 14:00
  5. 永野芽郁×大泉洋で東村アキコの自伝漫画「かくかくしかじか」を映画化! 原作者自ら脚本を担当 公開日決定&特報披露

    5

    永野芽郁×大泉洋で東村アキコの自伝漫画「かくかくしかじか」を映画化! 原作者自ら脚本を担当 公開日決定&特報披露

    2024年12月17日 13:00

今週