松岡茉優主演で恩田陸「蜜蜂と遠雷」映画化!松坂桃李×森崎ウィン×新人・鈴鹿央士と共闘
2018年10月22日 05:00
[映画.com ニュース] 直木賞と本屋大賞をダブル受賞するという史上初の快挙を成し遂げた、恩田陸氏の名作「蜜蜂と遠雷」が石川慶監督(「愚行録」)のメガホンで実写映画化されることになった。映像化不可能と言われた今作で、製作サイドから満場一致でオファーを受け主演を務めるのは、若手随一の演技力を持つ女優・松岡茉優だ。
原作は栄伝亜夜(えいでん・あや)、高島明石、マサル・C・レヴィ・アナトール、風間塵という全く異なる境遇にある4人のピアニストたちが、国際コンクールでの熾烈な戦いを通して刺激し合い、葛藤し、そして成長を遂げて“覚醒”していくさまを描いている。映画では松岡が亜夜を演じるほか、松坂桃李が明石、森崎ウィンがマサル、鈴鹿が塵に扮する。
主人公の亜夜は、13歳のときに最愛の母を亡くしたことで長らく表舞台から遠ざかり、ピアニストとしての活動から距離を置いてきた“元”天才少女。小学生の頃にピアノを習っていたという松岡は、「祖父に買ってもらったアップライトピアノは高価なものでした。でも、中学生になると仕事や友達と遊ぶ方が楽しくて、あっという間に触らなくなり、リビングに置かれたピアノは家具となっていきました。あれから10年ほどたち、いま私の目の前にはピアノがあります」と運命のめぐり合わせに思いを馳せる。「大自然のようでした。寛大で、儚く、残酷で、美しくて」と原作を評し、それだけに「読み終えたとき、この作品を映像として表現するのは難しいと思いました」と明かすが、「音楽はそれぞれの音がある。実体化した音楽で納得してもらえるだろうか。ピアノやクラシックに興味のない人にも、楽しんでもらえるだろうか。これは戦いだと思って撮影に挑んでいきたいです。見てくれた方の頭に音楽を鳴らしたいと思っています」と並々ならぬ覚悟を胸に、10月下旬からの撮影に臨む。
石川監督の「愚行録」を見て「いつかご一緒してみたいと思っていた」と語る松坂が息吹を注ぐのは、音大出身だが現在は楽器店勤務の明石。年齢制限ギリギリだが、家族の後押しもあり最後の挑戦としてコンクールへのエントリーを決意するという役どころ。「ピアノは初挑戦ですが、演奏も含めて、明石としっかり対話し全力で作品と向き合っていこうと思います」と意欲を語っている。名門ジュリアード音楽院に在籍し優勝候補と目されているマサルを演じる森崎も、「いままさにピアノレッスンの真っ最中ですが、本当に難しい。何度やってもぶつかる壁が減ることがなく、毎回戦っています。でも、ひとつ言えるのは、それでも楽しいんです。改めて音楽の素晴らしさを体験出来ている喜びをかみ締めて、壁を越えられるように日々巻狩ります」と負けていない。
また、世界最高のピアニストが遺した、凄まじい演奏技術で見る者すべてを圧倒する謎の少年・塵に大抜擢された鈴鹿は、岡山出身の18歳。女優の広瀬すずが映画の撮影現場でスカウトし、芸能界入りを果たした新星であるだけに、「お芝居の経験がなく、すべてのことが初めてで不安なこともありますが、共演者の方々、監督はじめスタッフの方々のお力をお借りしながら、風間塵を楽しみながら演じていきたいと思います」と貪欲な姿勢をうかがわせている。
労作を書き上げた恩田氏は、 映画化の話を聞いた当初「なんという無謀な人たちだろうとほとんど内心あきれていた」という。「やるのなら『映画でしかできないこと』をやってくださいね」と口にしたそうだが、「いくらなんでもこれを映像化する無謀さに気づき、そのうちきっとあきらめるだろうと思っていたのである。ところが、彼らはあきらめなかった。どんどんものすごいキャストが決まっていく。かくなる上は、と覚悟を決めた。完成した映画を見て、『参りました』と言う準備はいまからできている」。一方、脚本も兼ねる石川監督は、「“文学の勝利”とも呼べるこの作品に映像で挑むのは無謀なことなのかもしれません。でも、この本を読んでいるときに鳴っていた音を、どうしても映画で聴きたくなった」と胸中を明かし、準備に余念がない。映画は、2019年秋に全国で公開。
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