是枝裕和監督最新作は阿部寛主演!「海よりもまだ深く」で樹木希林&真木よう子とタッグ
2015年12月25日 08:00
[映画.com ニュース] 是枝裕和監督が阿部寛を主演に迎えた最新作「海よりもまだ深く」が、2016年5月21日に公開されることが発表された。阿部が演じる大人になりきれない男の母親役に樹木希林、元妻役に真木よう子と、日本映画界を代表する豪華な顔合わせで、夢見た未来とは違ってしまった今を生きる人々を描く。
前作「海街diary」で人気漫画の実写映画化を手がけた是枝監督が、再びオリジナル脚本で挑む。「最初の1ページ目に書いたのは、『みんながなりたかった大人になれるわけじゃない』という1行でした」という今作は、「どうしようもない現実を抱えながらも、夢をあきらめることもできず、だからこそ幸せを手にできないでいる、そんな等身大の人々の今に寄り添ったお話です」。さらに「自分の今を一番色濃く反映できた作品」だと断言し、「僕が死んだ後に神様かえんま様の前に連れて行かれて、お前は下界で何をしたんだと問われたら、真っ先にこの『海よりもまだ深く』を見せると思います」という言葉からも、思い入れの深さがうかがえる。
本作の主人公・良太は、15年前に文学賞を一度とったきりの売れない作家で、「小説の取材」と周囲にも自分にも言い訳をして探偵事務所に勤めている。そんな主人公を演じた阿部は、「僕も10代の頃などは夢に打ち破れ、それでも何とかやっていくような毎日の連続でした」と述懐し、「そういうリアルさもとても深く描かれている脚本です」と語る。「歩いても 歩いても」(08)、「奇跡」(11)でも是枝監督とタッグを組んでおり、「監督の判断にゆだねれば絶対大丈夫だという安心感」を胸に、ギャンブル好きで息子の養育費も払えないダメ男に扮し、「いつまでも夢を追いかけている人間の甘えを演じることで、今までにない面白い人間味を出せたのではないかと思います」と手ごたえを感じている様子だ。
深い愛で息子を包み込む母親役を演じた樹木は、「背が高すぎて苦労した時代が長かった阿部さん、ローマ風呂だけじゃない居場所を見つけたのね」と阿部をいたわる。一方の阿部は、演技の合間に作品のことだけでなく色々な話題を交わしていくうちに自然と親子の空気が生まれていったのは、樹木の配慮ではないかと察し、「是枝監督が樹木さんにしか言えないセリフを書き、それをバチーンと演じられる樹木さんがいる。そういう場面が見られる現場は、本当に貴重な経験でした」と振り返った。
是枝監督の「そして父になる」にも出演した真木は、「今回も自然でいられる現場でした」といい、自身が演じる響子については「子どもや自分の将来を見据え、それを行動に移せるしっかり者。だから、阿部さんが演じた良多のような夢見がちな男性が寄ってきてしまうし、反対にそういう男性を好きになってしまうのではないかと思います」と分析する。そして良多役の阿部を「ここまでダメ男の役は初めてな気がします。でも、すごくハマっていらっしゃいました(笑)」と称えている。
主な舞台となる母・淑子が暮らす団地の場面は、是枝監督が9歳から28歳まで実際に暮らしていた東京都清瀬市の旭が丘団地で撮影しており、樹木は「あの時代は憧れだった団地、70過ぎた婆さんにとって、エレベーターのない団地の撮影はヨッコラショ」と苦労をぽろり。是枝監督の幼い頃を知る住人たちもいたそうで、阿部は「皆さんすごく温かく盛り上げてくださって。盛り上がりすぎて、撮影できるのかなっていうくらい(笑)。なんだか僕まで誇らしい気持ちでした」と裏話を披露した。
良多(阿部)と響子(真木)の11歳になる息子・真悟役を吉澤太陽くんが演じるほか、良多の探偵業務の相棒役を池松壮亮、探偵事務所社長をリリー・フランキー、良多の姉を小林聡美、母親の憧れの存在を橋爪功と演技派が結集している。「海よりもまだ深く」は16年5月21日から東京・新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国で公開。
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