役所広司、同郷の先輩・市川森一さん訃報に驚きと無念
2011年12月10日 15:33

[映画.com ニュース] 俳優の役所広司が12月10日、主演映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」の特別上映が行われた東京・有楽町の日本外国人特派員協会で、成島出監督、小滝祥平プロデューサーとともに会見した。この日の早朝、脚本家の市川森一さんが死去したが、同じ長崎・諫早の出身であり、実兄が市川さんと同級生で小さい頃から親交があったという役所は「作家としても同郷の先輩としても尊敬できる方。残念です」と肩を落とした。
映画は日独伊三国同盟、そして日米開戦に誰よりも反対しつつも、皮肉にも真珠湾攻撃で自ら開戦の火ぶたを切ることになった山本五十六の姿を中心に、多くの惨禍をもたらした戦争の実態を描き出す。
成島監督、小滝プロデューサーの「山本五十六はチャーミングな人物だった」という言葉を受け、役所は「チャーミングな役所広司です(笑)」と茶目っ気たっぷりに挨拶。「恥ずかしながら山本五十六という人物についてほとんど知りませんでした。子供の頃に三船敏郎さんが演じた映画(『連合艦隊司令長官 山本五十六』)を見たので、ほとんど三船さんのイメージでした(笑)」と明かすと会場は笑いに包まれた。山本が指揮した真珠湾攻撃については「日本にとって最も早く戦争が終わる手段と(山本は)判断したのだと思います」と誰より戦争に反対した男の苦渋の決断に思いをはせた。
外国人記者からは、日本は戦争の加害者か、犠牲者か、日米間だけでなくアジアにおける戦争も描くべきでは、という質問も。小滝プロデューサーは「歴史は地球と同じく球体で、光の当て方によって見え方が違うものです。いろんな意見があることは分かっています。大事なのは山本さんも言っているようにお互いの違いを認識し、外交努力で解決していくこと。日本は加害者なのか? それだけではないのか? この映画をきっかけに考えていきたい」と語った。
役所は、会見後に改めて市川さんとの思い出について言及。「(訃報を聞いて)びっくりしました。旭日小褒章を受章されたときにお祝いにお酒をお送りして、お返しをいただいたのでずっと元気だと思っていました。ここ10年ほどご無沙汰していましたが、お会いして故郷(くに)の長崎の歴史とかを伺いたいと思っていたんで……」と信じられない様子。「『親戚たち』で初めて現代劇の連続ドラマの役をいただいて、代表作となるような作品ばかりを書いていただきました。『主役であれ脇役であれ、勝負なんだよ』とおっしゃっていたのが印象に残っています」と故人を偲んだ。
「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」は、12月23日から全国で公開。
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