658km、陽子の旅のレビュー・感想・評価
全70件中、1~20件目を表示
何度も胸が張り裂けそうになった
何度も胸が張り裂けそうになった。私が主人公と同じ世代であるのも大きな理由の一つ。だがこの映画への共感は世代うんぬんでなく、きっと日本全体、いや世界中へ浸透していくものだと感じる。誰もがはじめは希望を持っていた。けれどそれが儚い夢だと知る。現実に押し潰される。感情を押し殺す。人との接触が減る。孤独が当たり前になる。気がつくと声を発する感覚さえ薄れているーーーそんな切迫した状態から物語は始まるが、決して悲劇というわけではない。これは旅路を通じて人間が人間であることを回復させていく作品なのだから。研ぎ澄まされたカメラワーク。ハッと息を飲む、動きのあるシーンの創出。折々に現れる父の幻想。干からびた心を白く静かに染め上げていくような雪・・・。主人公の人生と現状を痛ましく体現し、なおかつ旅と共に刻々と変わりゆく菊地凛子の存在感が神がかっている。菊地と熊切監督にとっての新たな代表作となるのは間違いない。
震災とコロナで疲れた日本人の心象が重なる
2019年のTSUTAYA主催のコンテストで受賞した室井孝介の脚本の映画化なので、当然コロナ禍の前に書かれているのだが、ある事情により半ば引きこもり状態で在宅ワークをしている陽子の暮らしぶりは2020年以降のロックダウン時の閉塞感を否応なく思い出させる。冒頭のシークエンス、暗い部屋でPCのモニターに照らされた菊地凛子の顔、イカ墨パスタを箸で食べて黒く光るくちびるに、まず心をぐっと掴まれた。
タイトルが示すように、本作はロードムービーのフォーマットで進む。疎遠になっていた父親(オダギリジョー)の葬儀のため、従兄一家の車で故郷・青森県弘前市に向かうが、栃木県のサービスエリアでトラブルが起きて置き去りに。人と話すのが苦手な陽子は、勇気を振り絞ってヒッチハイクで実家を目指す……。
陽子を乗せた車は福島、宮城と進むので、車窓からは汚染土を収めて積まれた黒いフレコンバッグが延々と続くのが目に入る。私も震災後に一度福島県の飯舘村などを訪れて直接目にしたが、あのフレコンバッグの途方もない量には本当に圧倒された。原発事故からすでに12年、当時の記憶が風化しつつある人も多いのではと想像するが、映像を介してであれ、いまだ復興半ばの東北の姿を見つめて思いを馳せるのは意義があるはず。
旅の中盤まで悪いことが重なり、地獄めぐりのような展開になるのかと危ぶんだが、海はやはり生命の源、再生の象徴。陽子は夜の波に洗われ、出会った人々の助けも借りて、少しずつ生きる力を取り戻していく。天災や疫病に翻弄され疲弊した私たちの心を、ささやかな一筋の光で照らす好作だ。公開タイミングは、酷暑の真夏ではなく冬の寒い時期のほうがよりしみじみ体感できそうなのに、惜しい。
ヒッチハイク
従兄弟が突然訪ねてきて、お父さんが亡くなったから帰ろう。ついでに車に乗っていけと言われる。陽子の携帯が壊れて繋がらずいきなり来ることに。そもそも携帯が壊れたことがタイミング悪すぎる。慌てて支度をして従兄弟の家族と共に出発。途中のサービスエリアで子供が怪我をしたことで置き去りにされてしまった陽子。従兄弟は戻ってきてくれたのに、携帯がないために微妙なすれ違いで会えず。所持金も少なく、ヒッチハイクすることに。
陽子はコミュ障。普通の人でもヒッチハイクなんて勇気がいるのに、コミュ障の人がヒッチハイクなんて、とんでもない勇気が必要だろう。「何言ってるかわからない」と言われて、トイレで練習している姿はなんか可愛い。
最初の女性は親切だったが、2人めの男性は、、、まあ、そんなこともあるかもね的なヤバい状態。
最後には自分の事を話すことが出来るようになり、コミュ障も少し克服できたようで何より。
時々、幽霊のように現れる父親がオダギリジョーで、違和感があったけど、18歳で家出してから会っていないから、最後に会った父親はオダギリジョーの年齢で合っている。と納得。
カミングアウトシーン、見事でした
終盤、凛子さんが篠原さんの車でカミングアウトするシーン、素晴らしかった。陽子さんもあれができるということは、自分を完全に理解できていて、もう立ち直っていると言うことでしょう。
人生いろいろですから、それを他人に話せるってことは大事な転機ではと思います。
竹原さんは熊切監督作品と相性いいですね。うーん、でも「海炭市叙景」の方が好きかも。ところどころ、「リアリズムの宿」のようなシーンを感じてしまったのは気にし過ぎか?
コミ障からの回復。
陽子が家を出た理由、父親を許せない理由はわからないまま。でも20年くらい何もせずスマホとアップルPCとアマゾンを相手に生きてコミ障にならなければ、浜野謙太とのこともなかったかも。でもそこから能動的になる陽子は感動的です。観る価値がある作品でした!
帰りたくない でも帰ろう 帰ってきたよ カントリーロード
監督は『ノン子36歳(家事手伝い)』『海炭市叙景』『私の男』『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』『#マンホール』の熊切和嘉
脚本は『劇場版ほんとうにあった怖い話』の室井孝介
脚本は他に浪子想
上海国際映画祭で最優秀作品賞最優秀脚本賞最優秀主演女優賞
ヒッチハイクで東京から弘前を目指すロードムービー
粗筋
しばらく会っていなかった従兄に訃報を知らされる
実家の弘前に住む父が亡くなった
葬儀のため東京から従兄の家族と一緒に従兄が運転する車に同行することになったが栃木のサービスエリアで逸れてしまう
従兄の息子がサービスエリアで怪我をしてしまい近くの病院に行ったからだ
携帯電話は故障していて自宅に置いたままの工藤陽子はヒッチハイクで弘前を目指すことを決意する
『♯マンホール』の熊切監督
あっちはマンホールの中に落ちてしまいなかなか出られない男の話で新郎として翌日の結婚式に間に合わないといけない
こっちはサービスエリアで従兄の車に逸れてしまいヒッチハイクで父の葬儀に間に合わないといけない
あっちはスマホがあるがこっちはスマホがない
その設定だけでそそるじゃないか
映画館で観たかったが仕事の関係もあり優先順位で両方とも観ることができなかった
ヒッチハイクに協力する人たちは大体が良い人なんだが女性ならではの危険はある
自分は女じゃないし明らかに男なわけだし基本的に登場人物に感情移入して物語を鑑賞するタイプではない
だがそれでも浜野謙太演じる若宮というライターに物凄くストレスを感じた
登場したばかりの時点ですでに観るのが途中で嫌になるくらいの吐き気がするほどの嫌悪感
浜野謙太の家族には申し訳ないけど元々生理的にあの顔は受け付けないのだ
これもいわゆる緊張と緩和だろうか
最悪な経験の後に優しくされると心はどんどん開いていくのだろうかまさかの長々と自分語りを始めてしまう
なんやかんやで弘前の実家に辿り着く工藤陽子
陽子の父親はそれほど悪い人でなかったようだ
憧れの東京に移り住もうとしたが親に反対され飛び出してきたまま帰らなかった陽子
仕事もうまくいかず結婚もしないまま20年以上の時が経ち40過ぎになった陽子
なぜ日本のロードムービーの多くは北を目指すのか
『幸福の黄色いハンカチ』『風花』『風の電話』『ドライブ・イン・マイカー』『すずめの戸締り』枚挙に暇がない
演歌にしたって『津軽海峡冬景色』『哀しみ本線日本海』
鹿児島や宮崎を目指しても良いじゃないか
仙台は良くて薩摩川内はダメなのか
東京人の考えはよくわからない
いずれにせよ安易な発想に違いない
東北ということもあって震災について触れる場面もあったが古くから地元に住む人たちは特にそれについて語る者はいなかった
まあそうだろう
震災の日あたり以外は語り部以外語る者はまずいない
あくまで個人的意見だがワンシチュエーションのサスペンスと比較すると一般的なロードムービーは娯楽性が低い
主人公が陰キャだとなお低くなる
だがわりと国際的な映画祭で高く評価される傾向を感じる
閉ざし気味の主人公が行く先々の人々と心を触れ合い助けを受け徐々に心を開きなんとか目的地に辿り着き人間的に成長していく過程が海外のインテリに受けるんだろう
もう少し今どのあたりにいるのかわかると良いのだがそれがない
せめて『すずめの戸締り』くらいはほしい
それがこの作品の欠点だがそういえば『風の電話』や『ドライブ・イン・マイカー』もそうだった記憶がある
ちょっと不親切だ
ヒッチハイクなんてやったことないしやっているのを観たことないし協力して乗せてあげたことないしこれからもない
見ず知らずの人を乗せるなんてありえない
たとえ女性でも乗せない
なんで拒否するんだよと思うレビュアーも多いかもしれないがまあ普通なのかな
自分がつまらない多数派なのは癪だけど
そういえば宮崎駿の『耳をすませば』のエンディングテーマ『カントリーロード』は原曲の歌詞の内容が全くの真逆でびっくりしましたがそれを歌っている歌手は本名陽子
この映画のヒロインと名前が一緒ですが偶然でしょうか
あっちは「帰りたい帰れないさようならカントリーロード」ですが父の葬儀ということでこっちの陽子は帰りました
たぶん陽子は従兄に訃報を告げられた時も半ば強制的に車に乗せられたときも本当は帰りたくなかったのかもしれない
栃木のパーキングエリアで逸れたときも東京に帰っても良かったはずだがコミュ症にも関わらずヒッチハイクをしてまで陽子は弘前を目指した
それはなぜなのか
ケジメをつけたかったのか
それは自分にはよくわからない
ちなみに山城新伍の娘は父の葬儀には来なかった
それだけ嫌いだったのだ
陽子はそうではなかった
あそこで終わるのも悪くない
わりと好き
配役
42歳独身在宅フリーターの工藤陽子に菊地凛子
陽子の従兄の工藤茂に竹原ピストル
茂の妻に原田佳奈
茂の娘の春海に池谷美音
春海の弟の海人に阿久津将真
利用者が少ないパーキングエリアでヒッチハイクをしている小野田リサに見上愛
陽子の記憶に度々幻影として現れる若い頃の父の工藤昭政にオダギリジョー
※
ヒッチハイクの陽子を乗せる人たち
※
デザイン会社に勤めるシングルマザーの立花久美子に黒沢あすか
ライターの若宮修に浜野謙太
震災ボランティアをきっかけに東北に移住した便利屋の八尾麻衣子に仁村紗和
寡黙な地元民の水野隆太に篠原篤
隆太の息子の健太に松藤史恩
バイク乗りの健太の兄に鈴木馨太
木下夫婦の夫の方の木下登に吉澤健
木下夫婦の妻の方の木下静江に風吹ジュン
鏡
生きていたって何もいい事ない、
「こんな私」なんか、生きてても意味が無い。
そんな風に思うことばかりな世の中かもしれない。
それでも658km1人でも旅した。
もう「こんな私なんか」から卒業できる。
人は優しくされれば、優しくなれる。
邪険に扱われれば、憎しみも湧く。
自分の優しさは鏡のごとく、自分に返ってくる。あの老夫婦のような優しさを持ちたい。
コミュ障の「握手いいですか」
夢あって上京したものの挫折し、今に至る42歳独身女性コミュ障の陽子。疎遠だった父の葬儀のために、いとこの家族と車で弘前に向かう。しかし途中のサービスエリアに取り残されてしまう。所持金僅か、スマホは故障中で、仕方なくヒッチハイクすることに。
コミュ障なので一人でいたい、しかし見知らぬ人に頼らざるを得ない状況に共感します。しかし上京に反対した父の視線を感じ、もともとコミュ障ではなかったと思われる陽子が、自分を取り戻していく姿に感動しました。「握手いいですか」が良かった。自分の実家まであと150km。ラストで涙する陽子に、初めて東京から実家までバイクで帰った自分を思い出しました。
「サービスエリア演出いい」
今年12本目。
2023年7月の作品。近くだと新宿で公開で気になっていましたが行けず、今週新文芸坐で上映なので行って来ました。
素晴らしかった点が2つ。
見上愛がサービスエリアでダッシュするシーン。ランニングする事はありますがダッシュは何年してないし、今度家の帰りにダッシュしたいと思います。
もう一つ、菊地凛子が車の助手席で眠くてドライバーが「どうぞ」と言うシーン。自分も20才の時に事務所移転のアルバイトをしていて、高速道路でどうしても眠くてドライバーさんが「寝てていいですよ」優しい、と共に申し訳ない気持ちで寝たのを覚えています。あの仕事がこの映画に繋がるんだと。
この2つが日常に深く切り込んだ描写で、ここ描くんだと映画見て本当に良かったと嬉しくなりました。
リアルの中の非リアリティ
横柄な寿司屋の大将が、「ほら旨いもの作ってあげたよ!」といって出された料理のような映画。主人公が行く先々の人たちと触れ合って少しずつ変わっていく様子をリアルに作り込んだ感じはしますが、その分細かい作りにリアリティがないところが見え隠れして思考停止してしまうシーンがいくつかありました。そもそも弘前に帰りたい人が「青森まで」と言うものなのでしょうか?リアルな作りに徹するのなら細かい細かい部分までこだわってほしかったです。
陽子の凝り固まった心が少しずつほぐれていく658㎞の旅
ストーリーよりも菊地凛子に惹かれて観る。若い頃にアメリカ・ハリウッドで仕事をするために単独で渡ったと言うことでずっと興味を持っていた女優さん。
今まで観た映画の中で主人公のセリフがここまで少ないものは初めて。言葉が無い代わりに仕草や表情がとても重要になってくる。私も自然と陽子の表情を見つめながら心を読もうとしたりしていた。希望を持って上京した若い頃から挫折を繰り返して、カチカチに固まってしまった今の状況の苦しい心の状態の陽子。人を寄せ付けない孤独で誰にも心を開こうとしない陽子の表情が658㎞の旅(ヒッチハイク)を進めて行くうちに、少しずつ和らいで行き言葉も聞こえてくるように。途中には嫌な奴もいたけど、様々な人から無償の優しさで接してもらいながら、東京から福島~弘前へ向かう風景を見つつ上京以来疎遠になっていた父(帰郷はその父の葬儀のため)を受け入れることが出来るようになった陽子の表情の変化の演技が素晴らしい。人と目を合わせることも出来ず、蚊の鳴くようなか細い声しか出なかった陽子がどんどん変わっていく。形として見ることの出来ない心の傷を癒してくれるのは、やはり形の無い人の思いやりか・・と改めてシミジミと感じた作品。
力作です。
前半は若干イラつきを感じていたけど、中学生の「ハイ!」で一気にほどけていく感じでした。
これまでの自分の価値観だけで観ていた自分を恥じました。
価値観は揺れるのですね。年を取っても。
世の中にはいろんな人がいて、私もその中の一人。
優しい人、そうでない人。私は…。
生を取り戻すための658kmの旅
658kmとは陽子が暮らす東京から故郷の青森までの距離のことだ。
その青森までヒッチハイクをしながら車で旅をするロードムービー。
陽子(菊地凛子)は18歳の時に親の反対を押し切って東京に出てきた。
夢を持って出てきたのだが、現実は在宅の仕事でほぼ引きこもりのフリーターで年齢も42歳になってしまった。
そこへ、父(オダギリジョー)の訃報が伝えられる。
陽子は出棺を見届けるために叔父(竹原ピストル)の車に同乗し青森に向かうのだが、サービスエリアでのあるトラブルにより、逸れてしまう。
荷物を車に置いたままでお金もないため、ヒッチハイクで青森に向かう旅が始まる・・
陽子は引きこもり生活で人とうまくコミュニケーションが取れないまで心が疲弊している。
18歳の時から24年、実際の距離は658kmだが時間軸の距離は658kmよりもっと、とてつもない距離が出来てしまったのかもしれない。
陽子の旅は青森に近づくにつれ心の距離も取り戻していく。
ヒッチハイクを成功させるには人とコミュニケーションを取らないといけない。
人間は生きるか死ぬかの局面では逞しくなる。
それは本来の生きる力だ。
陽子は旅で出会う人々、その中にはかつて喧嘩別れした父の幽霊も含まれるのだが、それらの人とのやりとりにより人間力を取り戻していく。
父の死を見届けるための旅で自身の生を取り戻していく姿が印象的。
幽霊の父が見える陽子は死に近づく存在で、父との決別が父が陽子を再生させるための最後の愛情だと思うと胸が熱くなる。
菊地凛子が渾身の芝居を演じている。彼女の代表作の一つになるだろう。
そして旅で出会う人々
人気のないサービスエリア
旅の途中に通り過ぎる東日本大震災の被災地
寒々しい海岸沿いの道
雪の中にポツンとある青森の実家
人と風景が素晴らしい。
はたして父の出棺は見届けることができるのか、しかと見届けてほしい。
叫び
この「旅」はもちろんメタファーなので、「ああすればよかったのに、こうもできたのに」というツッコミは無意味です。
私も陽子と同じで、「あなたが努力しなかっただけでしょ」と言われ続けた世代です。
置いていかれ、排除され、嘘をつかれ、こちらの責任でないことの責任を取らされ……
本当に、ただ生きているだけで何度叫び出しそうになったことか。
困っている人がいたら車に乗せてあげるなんて、人間として当たり前のことじゃないですか。
困った女一人が車に乗ってきたからって、恩を着せたり、代わりに体を要求したり、そんなことしないのがまともな大人でしょう。
でも、二言目には「あなたが悪いんでしょ」。「人のことなんて知らねーわ」。
違いますよ。車に乗せてくれなかったおじさんとおばさん。
あんたたちの世代の失政や不作為の尻拭いを我々はさせられたんだ。自分の人生を犠牲にするという形でね。
「ここまで来られたのは皆さんのおかげです」なんて感謝、本当はしなくていいんですよ。
しかし、この社会と和解するには、そうとでも思うしかないんですよ。
今更ながら人はひとりで生きていくには
引きこもり生活の女性、若い頃にはやりたいこともあり夢もあった、くじかれた時に方向性を変えられる柔軟性がないばかりに引きこもり生活。現代には多いと思われるが、やはり人との関わりこそが人が人たる所以で、関わることをやめたら生きてる事の実感すら感じないだろう。
そんな問題を抱えた人間を菊地凛子が本当に演じきっていて観るに連れて引き込まれていく。
ヒッチハイクするに至る理由は無理があるが、最初は行く事にさえ面倒だと感じてたのも人と触れ合うに連れ自分を変えたい、父親の最期を見送らなきゃならないと思うようにもなり心の変化の過程を見事に演じていた。
風吹ジュンは最近老夫婦の役では右に出る者はいない。
それにしてもオダギリジョーはここのところ故人の役が多いのはなんでだろう。
この映画良かった、世の中捨てたものじゃない、けれど一部には弱みにつけ込む悪いやつもいる。
それでも人と関わることの大切さをしみじみと伝えてくれた。
居心地わるい
、科白聴き取り難い、画はイイ、これが熊切監督作品への印象。でも今回は大分観易かった。ちょこちょこ出るオダギリ父さん、ちょっと笑えたし。
引きこもり・コミュ障を脱するのは、自分を含めヒトなんだと感じた。
イカ墨パスタがすでに物語っている。
人生を諦め引きこもって暮らすコミュ症の陽子、42才。疎遠だった父の死を知り急遽東京から故郷青森へ向かうことに。その距離658km。
従兄の車で向かう途中トラブルが起き、一人でヒッチハイクする羽目になってしまう。
見ず知らずの自分を車に乗せてくれる人。その旅路で自分自身や突如幻影のように現れる父親と対峙してゆくことになる。陽子の孤独、絶望、疎外感。その反面きっと本心では誰かと繋がりを求めている。そんな複雑な人物像を見事に演じた菊地凛子の為の658kmだった。
陽子とほんの少しだけ交差する人達。好きな俳優さんばかりでシーン毎にとても豪華で見応えがあった。そして若き日の父にオダギリジョー。海辺のシーンは父娘の愛情が見えてきてジーンとした。ちょいちょい無理矢理展開もあったけど、とても情景が綺麗なロードムービーでした。
全70件中、1~20件目を表示