658km、陽子の旅のレビュー・感想・評価
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もう一度見たいとは思わないが、見た後にじわじわと思うことが出てくる...
もう一度見たいとは思わないが、見た後にじわじわと思うことが出てくる。見ていていい気持ちになれる映画ではないが、その中で感じたことは何か大事にしていかないといけない気がした。
トラックか青森ナンバー当たろうよ
コミュ障拗らせ42歳女性のヒッチハイク旅のお話。
東京で独りで暮らす42歳の陽子がスマホを落として壊してしまった翌朝、従兄が自宅アパートにやってきて、お前の父親が死んだから青森に帰るぞと、車に一緒に乗っていけと始まって行く。
常磐道に入って早々、立ち寄ったパーキングエリアで誤って置いてきぼりになってヒッチハイクの流れになるけれど、もうちょい必死に電話するとか、もうちょい相手に合わせる努力するとか、そういうニュアンスぐらいはあっても良いのに…と、何だかコミュ障というより発達障害か、自己中DQNにみえてしまう。
これは何を見せたい作品?20代ぐらいの設定ならまだしもね。
40過ぎたら親が逝くことの想像ぐらいはしているでしょう。
だらだらテンポで特段主人公の中身に変化もなく進行していき冗長な中、終盤になって一応変化したけれど、何だか急過ぎて成長というのとは違うような感じだし。
何だか極端過ぎて主人公に共感も同情もできなかった。
ジョーとジュンがこんなに脇役!?
菊地凛子演じるアラフォーの陽子は1人でモヤモヤ生活してきたが、ある日突然、従兄の茂が尋ねてきて、陽子の父親が亡くなったから、一緒に青森に帰ろうと陽子を連れ出す。そしてサービスエリアでトラブルが発生し、陽子が置き去りになる。ん?そんな事あり得る?それから始まる陽子のヒッチハイク。うそ!コミケ能力ない人間が見ず知らずの人に依頼して、車に乗せてもらうなんて、そうしなきゃならない設定は分かるけど、普通は出来ないっつうか、やらないよな。だって最初の段階では、ほとんど喋らないんだよ。感じ悪すぎるぞ!そんなやつとエッチするなんて俺には無理!
あれ?ちょこっと出てくるオダギリジョー父さん。幽霊かよ!?もっとビックリしたのが乗せてくれた老夫婦の婆さん、風吹ジュンだった。ウソ!本当にちょっとだけだった。もったいないよ。とにかく陽子の性格が好きじゃないので、ずっとモヤモヤしながらツッコミだらけ。ラストはちょっと泣けたけど、本当にちょっとだけね。
菊地凛子さん
菊地凛子さんが好きなのと、彼女や、この作品が、海外で賞を取ったり称賛された事を知って観てみました。
クリーンなギターを使ったオシャレなインスト曲とか、画になる映える美しいロケーションを使ってて、
美しくオシャレに撮りたい気持ちが伝わりますが、
方言やイントネーションなどで何を言ってるか聞き取れない事が度々…
評価が良かったので観たけど、手放しで良いとは言えないかな…
まあ良かったけど…
3.5と4の間で、厳しめ評価の3.5です。
邦画が好きな方は観られては?
せっかくオダギリジョーを使うのなら、もっとコメディ・タッチにしても良かったのでは?
人生にうまくいかず引きこもりのような生活を送っていた主人公が、自分で何とかしなければならない状況の中で、コミュニケーション能力と生きる力を取り戻していく様子が、ロードムービーとしてうまく描かれている。
わざわざヒッチハイクをしなくても、青森までいく手段はありそうなものだが、そんなことに気が回るほど「世間慣れ」していない主人公に、菊地凛子がうまく血を通わせていると思う。
ヒッチハイクで出会うのが善意の人々だけでなく、下心だけの輩もいて、主人公が「ちゃんと」イヤな目にあうところも、人生そんなに甘いものじゃないという説得力が感じられて良い。
物語の白眉は、最後に乗せてもらった乗用車の後部座席で、主人公が、自分の人生と父親への思いを独り語りする長回しのワンシーンだが、旅を通して主人公が成長し「一皮むけた」ことが実感できるようになっている。
ただ、その一方で、台詞ですべてを説明してしまっていることに、物足りなさも感じてしまった。
時々、主人公の目の前に姿を現す、オダギリジョー演じる(20年前の)父親は、せっかく映画的に面白くなりそうだったのに、結局、うまく活かし切れないまま終わってしまい、残念としか言いようがない。
冬の東北のどんよりとした天気と寒々とした風景が印象に残り、重苦しい雰囲気を感じてしまうだけに、ドラマとしては、もっとコメディに振っても良かったのではないかと思えるのである。
菊地凛子が出るから見ようかな、 くらいだったのに、 なんだかすごい...
菊地凛子が出るから見ようかな、
くらいだったのに、
なんだかすごい映画だった
菊地凛子がどんな人か知らないけど、
とにかく陽子にしか見えなくて、
映画館の外に貼ってあったインタビュー記事の写真が、
普通の女優さんすぎて違和感だらけだった
車を乗り換えるたびに心も変わっていく。
自分を守れる平和な卵の中の世界に引きこもっていた主人公だけど、突然準備なくその殻を突き破られ外に出されてしまった。
その上降りかかったアクシデントは、自分でこの状況をなんとかするしかない、という自分を取り戻すための通過儀礼のような試練だったけど、結果彼女に必要な変化をもたらしたと思う。
薄皮を一枚ずつ剥ぐように、車を乗り換えるたび彼女の発する言葉が増えていき、少しずつ言いたいことを言えるようになっていくことに、彼女の心の成長を感じた。
口から出る言葉は書くのと違って消しゴムで消せない。どうしても慎重になってしまう。
伝えたい気持ちはあるけど、それを言葉にしたら違う感じになって伝わってしまうこともある。
言葉は難しい。
私も人と関わるのが面倒で集団を避けている所があるから、最後の彼女の独白がとても心に沁み入った。
いや、しかし凛子ちゃん凄かったわー。
気持ちを言葉にして語らない主人公だから、表現方法が表情や動きに集中したと思うけど、すごい伝わったもんね。
実物は繊細そうなイメージはそのままだったけど、役柄でほぼ笑顔を見せなかったから、余計にニコニコ笑ってるのが可愛かった。
658kmの中で見えたものは何か
完成披露試写会にて。
「サービスエリアに置いていかれたアラフォーの女性が父親の葬儀の為にヒッチハイクで青森向かう。果たして間に合うのか?」
という前情報だけ得ていた為、コメディなのかな?くらいの気持ちで観始めた結果…
非常に余韻の残る現時点で2023年ベスト映画になりました。
まず、菊地凛子さん演じる陽子が本当に陽子で、陽子にしか見えなくて、憑依ってこういうことを言うんだなと。
撮影中、「役が憑依しているのか待ち時間なども全く会話をしなかった」と共演者の方々が話していました。
海のシーンは心が痛くて、福島での吉澤健さんとシーンも好き。
ラストシーンがまたいいんです。
「台本に雪が降ったいると書いてあって、本当に撮影当日雪が降った」と試写会内でお話ししてました。
ラストシーンからの余韻の残る終わり方がとても好きです。
人の優しさに触れたり、傷付けられたり、東北道を走るのでメインテーマではないですが至る所に震災の爪痕が映ります。
劇的なことが起こるわけではないけれど、心の奥に響く。
陽子と一緒に泣いて叫んで、共に旅した658kmでした。
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