劇場公開日 2023年3月10日

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Winnyのレビュー・感想・評価

全223件中、181~200件目を表示

4.5ナイフを作った天才

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

知的

こんなに見応えがあるとは、、、想定外!
東出昌大と三浦貴大の演技に圧倒されながら、じっくりと丁寧に、重厚感を保ちながらもテンポ良く進んでいくストーリー。近年の刑事映画ではベスト級じゃないでしょうか。目からウロコですわ...。

「天上の花」「とべない風船」と主演作が続いている東出昌大。残念ながら、上記2作品は近所の映画館での上映がたったの1週間であったために、見ることは出来なかったのですが、本作を見て、あれらの作品も面白いはずだと謎の自信が持てました。そのくらい、彼の演技力の成長具合は凄まじい。エンドロール中の映像を見てもらってもわかるが、Winny開発者・金子勇、そのものである。インタビューで、「金子勇が降りてきた」と言っていたが、その通りだと思う。身振りも話し方も、何から何まで素晴らしい。主演作が後を絶たない訳です。

と、同時に、壇弁護士を演じる三浦貴大も面白いくらいに上手い。金子勇と近しい人間であり、彼をどれほど信じ、尊敬していたのかが、一目散に分かる演技。「ある男」で妻夫木聡が最優秀賞主演男優賞を取りましたが、三浦貴大は次の"妻夫木聡"として名を連ねそうな勢いで、弁護士を熱演していました。私なら、来年度のアカデミー賞はこの2人を1番に推します。

ストーリー展開が非常に秀逸で、飽きるどころか、2時間引き込まれっぱなしで、続きが常に気になって仕方がありませんでした。法律や裁判、プログラミングに関する専門的な知識を要する用語が出てきたとしても、上手い具合に説明を加えており、結果的に専門的な知識がゼロでも大いに楽しめる作品となっています。しかしながら、言葉数は多く、集中力は必要。でも、それもまた面白い。集中力は必要とは言いながらも、同時進行で進むエピソードや、金子勇の過去、Winnyの真の目的などなど、興味深い内容が本筋の間挟まってくるため、途切れることはまず無いと思います。

どのようにしてボロを出させるのか。
どのようにして真実を語らせるのか。
裁判を通して生まれるドラマ、策略、名言などがあり、それらも最高に面白い。「イチケイのカラス」はコメディ裁判であったが、本作はシリアス裁判。濃厚で重厚。皆川猿時、吹越満もいい味出していて、Winny事件への関心は高まるばかり。「ナイフを使った殺人事件が起きたとしても、そのナイフを作った職人は捕まらない」。これほどまでに分かりやすい言葉はありません。

ついつい語りたくなる名作です。
正直なところ、金子勇が猛威を振るい、ネット社会に革命を起こした事件の前のエピソードも見たかったなという気はしたのですが、〈Winny事件〉を描くのならば、これ以上のものは絶対に作れないと思います。後世に語り続かれるべき作品。また見たいです。ぜひとも、この秀作を劇場で。

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サプライズ

5.0事実に基づく本格的社会派映画

2023年3月12日
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邦画のレベル低下が著しい中、ようやく見応えのある映画に出会った気がする。

裁判を扱う映画やドラマは数多くあれど、ほぼ全てが検察を正義の味方として描く短絡的なものばかりで辟易していたが、この映画は事実に基づくだけあって、忖度なく日本の刑事司法の暗黒を伝える、邦画には珍しい良作だった。

これから鑑賞される方は、これが日本の刑事司法の実情であることをしっかりと認識してほしい。

残念ながらいまや邦画はスケールの点ではハリウッドにも韓国にも太刀打ちできない。
しかしこの映画や、「新聞記者」などの忖度なしの社会派映画を製作することが、今後の邦画の活路を見出す一つの方法のような気がした。
権力者が平然と放送に介入するこの国では、TVでこの実在の事件をドラマ化することは不可能だろうし…。

この事件は絵に描いたような不当逮捕で本当に酷いものだったが、金子勇氏を逮捕・起訴した警察・検察は、謝罪一つしていないという事実も付記しておきたい。

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T A

3.5そうでしたそうでした

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

ウィニーやりましたね

当時はそんなソフトが他にも
あって

便利だったことを思い出しました

今があるのは

あの時があったからかも知れませんね

東出昌大がんばってました!

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れいん 【観る前にレビューは見ない派】

5.0熱い想いが

2023年3月12日
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込められた良作でした。
お金はかかってませんが、最後まで退屈な場面が全く無く…愛媛県警の仙波さんのエピソードと絡めて、丁寧に且つ緊迫感のある演出で、久しぶりに映画館で映画を観た充実感に浸りました。
やっぱり脚本と演技、これに尽きます。

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shin

4.5早すぎた素晴らしいシステム

2023年3月12日
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今ではあたりまえのシステムなのですが、
余りにも早すぎたパソコン用システムだったので悪用、流用されてしまってこのような現象になってしまったため、有能プログラマーが巻き込まれてしまった事件。
彼の製作したプログラムの一部は現在も生き続けています。
映画のストーリーですが、Winnyを主軸として製作者、それにかかわった人の物語、
Winnyを使用した者が善にも悪にもなるという事を裁判、出来事で紡いでいき、その終焉までを描いていく。
プログラマーとその裁判に関わった弁護士、周りの人たちの物語を紡いだ話。
役者さんたちがかなりリアルに演じていらっしゃるので劇場で見ている時間を忘れてしまいます。
エンディング始まっても席をたたないように、ラストにリアルがまっています。
是非とも劇場にて鑑賞してください。

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流浪の旅人ぱぱや

3.5国家権力は怖いね

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

国家権力は怖いね、何でもできちゃう。白を黒にもできちゃうから。

いや、国家権力を行使できる人間が怖いんだろうな、きっと。

なんせ、戦争起こして、如何にも、善人面してるのもいるくらいだからさ。

マスコミもあてにならないな、国家権力への忖度も見苦しいこと極まりない。

結局!正義が必ずしも真実として処置されないのが法治国家の本当の姿なんじゃないかな。

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ちゆう

4.0法治国家における「正義」とは何か

2023年3月12日
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法治国家における有罪無罪の判定基準は、社会における一般的な善悪基準と重なることもあるだろうが、決してイコールではない。前者は、後者よりもはるかに厳密なものでなければならないが、何せ運用するのは人なので、いつでも悪しき運用がなされる可能性がある。拡大解釈で有罪にされるとき、法は法としての用をなさなくなる。

しかし、人は、雰囲気に流され、感情に支配されるので、厳密な法解釈と運用は至難の業。だから、そうした恣意的な解釈や運用(しかもその動機は、しばしば「悪」ではなく、むしろ「善」への指向)をどこまで抑止できるシステムになっているかが問われる。

金子勇さんが最終的に高裁と最高裁で無罪を勝ち取ったことは、日本の法制度が「最終的には」真っ当に機能したことの証左と言えるが、一審で有罪になってしまったことは日本の法制度の瑕疵を示している…ということを訴えた作品。

見る価値のある映画だし、作る価値のある映画だったと思う。主演の東出さんがまったくタイプが違うであろう金子さんを見事に演じていて、その演技力には脱帽。

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Naofumi

2.0着眼点は良い

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

インターネット共有ソフトの開発者が逮捕された実際の事件を基にした社会派ドラマ。インターネットの問題点を鋭く描いている着眼点は非常に良いが、メリハリに欠ける印象で不満が残る。それでも不当逮捕から無罪を勝ち取るという主人公には敬意を表したい。

2023-39

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隣組

4.0二本立てで見たかった

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

この事件があった当時

そこまでパソコンに詳しいわけじゃなかったけど

あちこちで流出騒動があったのは記憶してる。

巻き込まれた人々も多かったでしょうね。

可能なら、Winnyの開発者の話と、愛媛県警の不正問題の話

ちょっとずつ絡みながらも

それぞれの作品として見たかった。

一本でまとめるのが勿体無い。

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BAMBi

2.0古く浅い。

2023年3月12日
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刃物と登山の比喩論拠レベルでは、
故意でなくても大人の不用意無自覚は駄目だよ、
天才なら技術管理と公開段取りの責任あるよ、
を覆せない。
即ち浅い。
無垢な個人は善、お固い役所は悪。
法と技術は男の世界、女は美人事務員と姉貴だけ。
即ち古い。
東出も寄生獣や羽生善治役の二番煎じで新味無し。

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きねまっきい

5.0正義ってなんだ?

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

 Youtubeが普及する前に一人の天才プログラマーが開発した「Winny」の事件を映画化したノンフィクションリーガル作品。弁護士・壇さんと無邪気な天才プログラマー金子さんが「著作権侵害」をめぐる裁判を繰り広げる傍ら、愛媛県警の巡査部長・仙波さんが県警内で裏金作りが行われているのを告発する。「著作権侵害」と「裏金作り」一見関係なさそうに見えるが「Winny」をきっかけに国家の闇を暴く、という濃ゆい内容で脳みそが満腹になりました。
 一言でいえば暴露映画だと認識しました。警察・検察・裁判所の面子を潰す場面が多く、「公権力の信憑性」を今一度見直す良い映画でした。
また、この映画を今の10代に観てほしい気持ちになりました。プログラマーの苦悩や弁護士の仕事がこの映画で細かく描かれているので、プログラマーや弁護士の仕事に興味ある人は必見だと感じました。
 おふざけ一切ないですが、無駄な場面がなく充実した時間でした。

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keyton

4.020年前も今も日本の組織は何も変わっていない

2023年3月12日
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《2ちゃんねる》や《Winny》が何かを知らなくても、社会人であれば何となく自分との共通項を見出せる作品。

かく言う自分も、Winnyのことはほとんど知りません。
ただ、上司からの指示が社会通念上あり得ないものだったり、実際にことが起きた時に指示役の上司が責任を取らなかったという経験。社長クラスでない限りは、ほぼ全ての社会人なら(公的機関に勤めている人も含め)何かしら経験していると思います。
自分も覚えがあります。

20年前の事件を扱っている作品ですが、日本の組織の仕組みとしては、今も昔も何も変わっていないんじゃないかと思いました。
これは別に警察組織という場に限らず、一般企業にも当てはまりますが。

映画自体の出来は素晴らしかったですが、社会人的には観終わった後、すこぶる嫌な気分になりました。
まあ、でも何にしろアレですね。
自分と共通言語で話せる仲間の存在(今作では壇弁護士)は、精神的にも社会的にも大きな存在なんだなと。

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BONNA

4.0過酷な境遇にさえ不平不満を述べず、 誰のせいにもしない その姿勢が...

2023年3月12日
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過酷な境遇にさえ不平不満を述べず、

誰のせいにもしない

その姿勢が、

松本サリン事件で容疑をかけられた、

河野義行さんを思い出させた

エンドロールで、

本人が話すところを出したのがとても良かった

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jung

3.5もっと広い視野で描いてほしかった

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

かつて話題となったソフト「Winny」を題材としているところに興味をひかれて鑑賞してきました。他にも、作中にソフト「Napster」や雑誌「ネットランナー」等が登場していて懐かしかったです。思えば、この頃から情報漏洩や著作権といったものが、自分にとって身近になってきたように感じます。

ストーリーは、ファイル共有ソフト「Winny」による著作権侵害が社会問題となる中、開発者である金子勇を著作権法違反幇助の罪に問おうとする警察と、無罪を主張する弁護士・壇俊光たちとの裁判での攻防を描くというもの。実話をもとにしているため、ドラマチックな見せ場はないですが、当時の記憶がある方には興味深く鑑賞できるのではないかと思います。

Winny開発者の刑事責任の有無を問うという単純なストーリーですが、Winnyの使用経験のない方には少々イメージしにくいかもしれません。とはいえ、その仕組みや違法性について単純化して噛み砕いて描いているので、ネットワークの基礎知識がなくても内容は理解できると思います。また、裁判での争点や駆け引きもなかなかおもしろかったです。

これと同時進行で愛媛県警内部の裏金問題が、メインストーリーとは絡まないながらも、間接的にWinnyの援護射撃をするかのような形で描かれます。全編通して、警察の悪意ある捜査、隠蔽体質、組織の腐敗などを糾弾するスタンスを感じます。開発者の金子勇氏が優れた技術者であり、彼に犯罪目的は微塵もなかった、そんな彼の名誉を守るために、本作は作られたのではないかと思います。もちろんこれはこれでおもしろいのですが、著作権保護の立場からWinnyの存在を苦々しく思っていた人には、作為的な描き方と受け取られるかもしれません。

エンドロールで、金子氏が「誰かのせいにすればいいというわけではない」とコメントしたVTRが流れるのですが、まさにそのとおりだと感じました。とかくこの国は何かが起こると誰かに責任を押し付けて叩いて、ことを収めようとしているように感じます。しかし、警察が全て悪いと言わんばかりの本作も同じではないでしょうか。なぜ警察が開発者の責任にあそこまでこだわり、あのような捜査や尋問をしたのか、その真意はどこにあったのか、軽い気持ちでWinnyを悪用した人間がどれほど多く、著作権者にどれほどの被害や迷惑があったのか、コンテンツクリエーターたちはどう感じていたのか等、愛媛県警の件よりこっちをもっと広く描いてほしかったです。そして、それぞれの立場や思いを感じ取らせ、観客が自身の行動を振り返るような描き方にしてもよかったのではないかと思いました。警察VS弁護団という小さな構図にしてしまうのは、ちょっともったいなく感じました。

キャストは、金子役に東出昌大さん、壇役に三浦貴大さんで、どちらも上手くハマっていました。脇を固めるのは、皆川猿時さん,吹越満さん、吉岡秀隆さん、渡辺いっけいさんらで、ベテランらしい安定の演技で作品を支えます。

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おじゃる

4.0良かったです。

2023年3月12日
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演技どうこうよりも、
金子さんとそれを支援する人たちの構図。
そのものにまず価値を感じ、またプログラミングが好きで、真っ直ぐに生きた人の生き方からは、
好きなことに時間を投じることの大切さ(分かってはいるけど、一度手放すとなかなか元の位置には戻れなくなる自分との対比)を思い返すきっかけにもなるような映画でした。
エンドロールでは金子さんのコメントが滲みました。

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石炭袋

4.020年立ちました

2023年3月11日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

パソコンに疎い私としては当時も今もほんの少し仕事で触れるくらいなので、難しく感じました。当時は画期的であっても今はどうなのでしょう。もし開発者の金子さんが生きていたら今のネット社会をどうとらえますかね。為になるソフトたくさん作っていたかも知れないですね。

東出昌大と三浦貴大の二人は成りきり感が半端なかったです。三浦貴大の風貌は弁護士にしか見えない。
金子さんが無罪になって一年ちょっとしか生存出来なかったことがホントに切ないですね。

そういえばこの時代はやたら警察の裏金問題が噴出していたはず。吉岡秀隆さんが演じたあの方はその後どうなったのですかね。見応え十分でした。

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エンジェル・ハート

5.0この映画の述べたいであろう「真の趣旨」は別のところにあるのでは?

2023年3月11日
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今年77本目(合計729本目/今月(2023年3月度)12本目)。

1時間差でみた今週の本命作であろう本映画です。
WinnyはIT技術者であればもちろん、当時は社会をにぎわした事件であるので、知っている方も多いのではないか、と思います。

「表向き」はタイトルがそもそもWinnyですし、Winnyを扱っている部分もありますが、個人的には「第二、第三の論点が見え隠れしているが、(大人の事情で)表向きに出せなかった」のではないか、換言すれば、「この映画の主義主張は他のところにあるのではないか」と思えます。

採点としては特に差し引く要素までは見当たりません。
多くの方が書かれている通り、第一審(地方裁判所)しか描かれていないのも、下記に述べる「この映画の真の論点」に焦点をあてたという解釈をすれば至極当然の話であるからです。

 なお、以下は、行政書士合格者レベルでの理解と採点、ほか補足説明や私見によるものです(反対意見ほか大歓迎です)。

 (減点なし/参考/「ほう助」について法律事務所で聞いているシーン)

 ・ 日本には「刑法」という法律があり、学説をとく本では「刑法総論」と「刑法各論」の2部構成(あるいは2冊)になっていることが多いです。前者は「どのようなときに罰せられるのか、罰するべきものは何か、あるいは「ほう助」とは何か「共犯」とは何か」といった総論的なもの、後者は「個々の刑罰(例えば、殺人罪や傷害罪ほか)について各種の展開をしていく」という構成になっているのが日本の伝統です(ただ、本格的にこれを学習するのは、司法試験(予備・本試験)以外ありません)。

 しかし、「ほう助とは何か」は映画内でも示されている通り、学説上の対立が非常に激しく、また判例も一貫していない部分があります(具体的な事件ごとにコロコロ変わっている)。この「ほう助」については学説の対立があり、「理解の難しいところ」であるのは確かです。

 (減点なし/参考/「判例を調べる」の部分)

 ・ 日本の裁判制度では「判例」といった場合、最高裁判例を指すのが普通です(これに対し、高等裁判所以下のそれを「裁判例」といって使い分けるのが普通です)。

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 ▼ この映画が真に伝えたかったことは何なのか

 もちろん私は映画監督ではないので、一人の資格持ち、あるいは一人の鑑賞者としての意見になります。

 本映画でWinnyが題材にはなっていますが、Winny「それ自体」の技術的な論点ほかはほとんど映画内では前提になっていません。むしろ、「特定の警察組織」に関することばかりが多く取り上げられています(ネタバレ回避でぼかしています)。

 翻って日本を見ると、現在においても、「法の解釈を誤った間違った逮捕・拘留」といったものはある程度見られます。それは人がやることなので「ある程度は」仕方がないところです(だからといって、警察官が怠けてよいという理由にもならない)。

 しかしこの映画の「とある警察組織」のように、「そもそも根底論から無茶苦茶な警察組織」ではまともな裁判は展開できません。この映画は固有名詞が出るように、その大筋において史実と同じです(正直、国民目線からすればあきれるレベルでしかない)。「単なる誤認や勘違い」と「警察の支離滅裂な公権力の行使」は分けて考える必要があります。この映画はもっぱら後者を問題視したもので、ほか、リアル日本で「多くの人がこれは変だろう」と思えたであろう「無茶苦茶な事件」としては、「鹿児島県警の「踏み字」事件」などがあげられます(詳しくはネット参照。あまりにも無茶苦茶すぎて地裁で警察内部が裁判官から論破されて地裁で確定している)。

 この映画は、そのような「あまりにも支離滅裂、やる気もなければ不正行為もモラルのかけらもないやる気ゼロ」の警察組織に対するメッセージではなかろうか、というのが個人的な意見です。

 そしてそのような批判は、「常識的な範囲であり誹謗中傷等にあたらない限りにおいて」は日本では言論の自由で保障されますし、映画での上映においても同じです。また、映画内で出る「プログラム作成を通した自己表現の自由」や「報復を恐れる意味での匿名性を維持したソフトの開発」も、結局は「言論の自由」に帰着されます(「匿名性の確保」をどう考えるかは難しいですが、匿名性を盾にとって誹謗中傷を繰り返す類型と、匿名性を担保したうえで内部告発等を行う類型は、明確に区別する必要があります。今でも報復を恐れて内部告発ができないケースはあるからです。そして後者には「ある程度の妥当性」が認められるべきものです)。

 要は、この映画はタイトルこそ「Winny」であるものの、結局のところ「あまりにも支離滅裂がおかしい警察組織へのメッセージ」、あるいは、「表現・言論の自由は「基本的人権の王様」と呼ばれるように最大限尊重されるべき」という立場で作られたものなのだろう、というところです(もしこれが気に入らないなら、その映画内で参照されている「特定の都道府県の県警」が抗議などしていると思うので)。

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 長くなりましたが、この映画の「真のテーマ」はこのように別のところにあり、Winnyというタイトルは「ひとつの出来事のひとつにすぎないのではないか」というのが個人的な見方です。このように解すれば、「ストーリーが妙なところで終わってしまう」等も理解ができるので、個人的にはこの立場です。

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yukispica

4.5司法が潰した画期的な新技術

2023年3月11日
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 東出クン、開眼したんじゃないの。プログラミングのこととなると無邪気で話が止まらなくなる。刑事や検事の強面に臆してしまう。そんな金子さんの人となりがスクリーンを通して伝わってくる。
 東出クンを応援する気はさらさらないが、彼が出演する作品は見たくなるね。

 当時、金子さんの逮捕に驚いた。いくら悪用されているソフトの開発者とはいえ、無理筋にも程がある。
 京都府警の警察官がWinnyに生息するウイルスに引っかかって、捜査資料もろともPCの中身を晒された。京都府警のメンツは丸潰れで、著作権保護を大義名分にして金子さんを潰そうとしたのは間違いない。
 さらにもっと問題なのは、司法が機能しなかったことだ。作品中でも描かれているが、ソフトウェアが何たるかを理解できない裁判官が事件を担当している。京都地方裁判所の、いや日本の司法の無知蒙昧を全世界に知らしめてしまった。これは、恥ずかしい。

 愛媛県警の裏金問題をwinny事件に絡めて差し込んだのは、余計だった。金子さんは反権力を志向していなかったし、本人が語っているように「そこに山があるから登った」でしかないと思う。ちょっと焦点がぼやけたかも。
 全体から見ると、ちょっとしたマイナスでしかなく、それを上回る法廷シーンの面白さがある。弁護側が、京都府警の刑事の嘘を引っ剥がし、矛盾を突かれて歯軋りする刑事の顔には、胸がスッとしますよ。

 ビットコインの創始者のサトシ・ナカモトが金子勇氏であるとの都市伝説がある。拘置所でブロックチェーンのアイデアが浮かび、それを実現して換金せずにこの世を去ったとしたら。
 革命を起こして世を去ったと信じたい。

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bion

4.0水は方円の器に随う。それは人とモノの両方に言えること

2023年3月11日
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怖い

知的

難しい

今となっては死人に口なし、
『金子勇』が「Winny」を開発した時に
どのような思いであったのかは
しかとは判らない。

が、今回の映画版では
少なくとも悪意は無かった
との前提に立っているよう。

もっとも、そうした旗色を鮮明にしないと
ストーリーは創り辛いのだな、とも思う。

コンテンツを作る側は
違法動画のアップロードと日々闘っている。

承認欲求が満たされ、
オマケに報酬が得られる行為は
一つBANしても、
直ぐに異なるアカウントで復活する鼬ごっこ。

それでも、野放しにするわけにはいかず、
サイトをクロールしピックアップ、
弁護士からの要請で処理。

削除対応の速度はサイトによって様々も、
概ね以前よりもスピード感は上がっているとも。

とは言え、動画サイトそのものを悪としているわけでは勿論なく。

いみじくも本作でも語られているように、
道具は使い方によって善にも悪にも染まる。

あくまでも相対する側の人間性が現れるとの理解。

本作での『金子勇(東出昌大)』は
無垢というよりも世間常識がかなり欠落している人間との描写。

実際の当人の人となりは知る由もないが、
周囲にサポートする人間は存在しなかったのかと悲しくもあり。

海外でのそうした天才には
多くが伯楽の存在があり、
上手くサポートしている印象なのだが。

事件を通して知り合った弁護士が、
それに近い存在になるのは何とも皮肉。

主人公の描き方の偏りに加え、
法廷での幾つものシーンにも迫力が感じられぬのも不満。

また、最後まで警察が起訴した理由が明確に提示されぬことも
消化不良の要因。

中途挿入される「愛媛県警の裏金事件」も実際に有ったこと。

警察の暗部と、一方で中には正義の人も存在することの対比の妙はありつつ
「Winny」の功罪と併せて語るのはズレている気もする。

官の側は、先進の技術開発を可能な限りサポートすべきであり、
この国にありがちな、率先して枠を嵌めてしまう行為への反意は激しく頷ける。

もっとも、本作では先にも挙げた多くの要素を盛り込んだため、
ややピントがぼやけてしまった印象を受けるのだが。

警察と検察の阿吽の呼吸で
宥めすかし、知識が無さそうなの良いことに
騙すのに近い手法で誘導、罪を膨らませるやり口は
〔99.9〕や〔イチケイのカラス〕等のドラマを生む下地として
日本的なあるあると義憤も感じる。

自分が同じ立場になったら、と
空恐ろしくもあり。

エンドロールを見れば、制作に当たっての
公的機関の協力は当然のように一切無く(笑)。

弁護団の各員や『仙波敏郎』等の個人名に止まるのは
思わず笑ってしまった。

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ジュン一

5.0事実を‼️真実を‼️究極までに再現した‼️歴史的‼️❓ドキュメンタリー的‼️❓最高映画‼️

2023年3月11日
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さほど前でもないのに、どんな政治などに忖度することなく、警察や検察の悪巧みが存分に暴露されている。
これほど詳細に正確に警察や行政機関がいかに悪事を成し遂げているかを克明に大袈裟でなくそのまま描かれている。
警察を含む行政機関が上に行くほど腐敗していることが如実に暴露される、これは現在も変わらず、未来永劫変わる気配が無いのだから絶望的でもある。
でも、こんな映画がロードショーになるくらいだから、未来に微かな未来もあるのだろう。
腐敗する警察、検察、政治、行政機関を、みんなが監視して更生させるために、是非。

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アサシン5