アトミック・ブロンドのレビュー・感想・評価
全293件中、1~20件目を表示
ブロンドに映える反射色とその意味
デヴィッド・リーチ繋がりで見直したくなったので視聴。
○作品全体
ロレーンの行動が全て筒抜けというミスリードを下地に敷いて、ロレーンの基礎となる色をぼかす。ラスト、コロコロと変わっていく真実…というシーンは、ぼかし尽くした色が存分に活かされるシーンだ。
色は必ずしも髪や服や照明の色だけに限らず、例えば照明の色は人に反射する色を加えれば多様性を増す。部屋全体は統一的な色が注いでいるのに、間接照明等を使っての別の色を含ませ、意味を増やすシーンが多々あった。さらに言えば、ロレーンのブロンドの髪にかかる反射色の面積によって、仮面に隠した裏の表情を見て取ることもできる。例として、パーシヴァルがロレーンの部屋に潜り込んで、それを咎めるロレーンのシーン。パーシヴァル側には青の光がブロンドの色を変えているが、その逆方向は赤色だ。ソ連・KGBを意味する赤色とも取れるし、ロレーンの内側に隠した怒りや疑心を示す警告色とも取れる。シーンによって変わっていくブロンドの反射色のエキゾチックな雰囲気、そしてそこに内包された意味を探ることも、この作品の醍醐味と言えるだろう。
○カメラワークとか
なんと言っても長回しカット。エレベーターに乗るところから始まり、下へと降りていく縦の軸を意識したアクションを長回しにするという新鮮味。階層ごとにシチュエーションを変える役割はもちろん、画面外からインしてくる時の自由自在な発想を担う役割もあった。
スパイグラスが「二人来ている」と言って二本指を出すシーンが良い。ロレーンにとっては既に視認しているが、フレーム内には収まっていないから視聴者からすれば突拍子もない出来事のように映る。視聴者側に次の相手の出現だとミスリードを狙ったアイデア。緊張感の続く長回しの中でいいアクセントになっていた。
アクションの組み立ても見てて飽きない。画面ブレを少なくしてアクションそのものの魅力で真っ向勝負している感じが良い。PVにもある横位置で左右の敵を蹴散らすカットが特に良かった。
○その他
・画面を横一線で覆うレンズフレアはデヴィッド・リーチの「手癖感」がある。あんまり意味ない気がする。でも画面の雰囲気はガラッと変わる感じではある…ただそれだけな気がする。
・美術館で窓のようなフレーム内に雨の映像を流しているシーン。あそこにやってくるとロレーンがフードを外すのがかっこよかった。ロレーンの嘘にまみれた感覚とマッチしている…けど、単純に雨なのにフードを脱ぐというのがかっこいいから!でやってそうな演出でもある。
・カット初めでグルッとカメラを回したりするカットがいくつかあった。これも表と裏の意味合いだろうか。演出的な規則性とかあるのかな。…ないような気がする。
・ラサールとロレーンの関係性が百合感強くて良い。『キャロル』よりも年が近いように見えるし、少し年上のお姉さんとそれを慕う年下、みたいな関係性。実際女優の年齢差もそんな感じっぽいけど、思っていた以上に歳行ってて驚いた。
満身創痍アプローチが大成功
セロン姐さんがタフな女スパイに扮して大活躍……というのは嘘ではないが、大活躍なんて言葉の響きとはだいぶ印象が違う。本作でアクションしまくっているのは本当だが、とにかく身体を痛めつけられ、傷だらけになり、青タンを作りまくり、それでもギリギリのところで戦うのが、本作でのセロン姐さんの覚悟なのだから。
傷だらけになって戦うアクションスターというのは過去にも大勢いて、ブルース・リー、ジャッキー・チェン、メル・ギブソン辺りにはそういうイメージが強い。『用心棒』の三船敏郎だってその系譜に入れられる。
ただ役の上でも女優としてもこれほど身体を張ったアクションヒロインがいただろうか? セロンはもちろん絶世の美女の一人だが、闘いが続くに従って彼女の美貌はどうでもよくなってしまう。ただただヘトヘトになり、心だけは折れずに攻撃の精度を高めていくその姿に、われわれはボクシングの試合のようなエールを送ってしまうのだ。
またも限界越えに挑んだセロンに熱狂
『マッドマックス』とはガラリと違う役ではあるものの、今回もまたシャーリーズ・セロンが破格のストイックさで身体表現の極みに挑戦。コート姿に髪をなびかせ、スタイリッシュな身のこなしで相手をバッタバッタとなぎ倒す様が無性にかっこいい上に、終盤のワンカットのアクションは近年公開された映画の中でも指折りのクオリティ。さすが『ジョン・ウィック』チームだけあって、アクション構成には抜かりがない。
それに比べてマカヴォイは見事な堕天使ぶりを発揮。スキンヘッドにギブスの腕で、破格のボルテージに沸くベルリンの壁崩壊の瞬間を余すところなく引っ掻き回してくれる。この役者の対比だけでも十分楽しい。
独特なのは80年代のカルチャーを音楽と色彩とで表現し尽くしているところ。単なる往年のスパイスリラーの二番煎じではなく、当時のリアルな空気を匂わせつつ、常識が何ら通用しない異空間を作り出しているところに妙味を覚えた。
アクションが思いのほかゴツい、重い!
不惑過ぎのシャーリーズ・セロン、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」でもアクションを見せていたが、女性版ボンドという売り文句を聞いて、カットを細かく割ってスピーディーに見せる華麗な格闘シーンを予想していた。ところがどっこい、本作のアクションはかなりの本格派だ。実際にコンタクトしているように見える迫真の殴り合い、敵役のスタントマンが階段を転げ落ちるショットなど、観ている側にまで痛みが伝染しそうなシークエンスに思わず声が出てしまう。
「キングスマン」のガゼル役が最高だったソフィア・ブテラは、味方として登場するが果たしてその正体は?というミステリアスな役どころなのだが、彼女は期待に反してアクションの見せ場が少なくて残念。その代わりなのか、別の意味で刺激的なシーンは用意されているが。
アトミック・ブロンド
サブスクで久々に視聴。
シャーリーズ・セロンが主演した最初のアクション作品は2005年の「イーオン・フラックス」だったかな?
覚えてるのは、周りの俳優が彼女の筋力に合わせて無理してゆっくり動くアクションに…何これ!しょぼくてガッカリなんですけど(・o・;)って事。
きっとこの作品でセロン自身アクションに不満を持っていて、挽回の機会をずっと窺っていたんじゃないかな…ってw
で、それが果たされたのが本作アトミックブロンド!
ジャンルはスパイものなんだけど、けっこうな肉弾映画で、特筆すべきは後半、傷を負った亡命者を保護しながら逃亡を図るシーン。
雑居ビルに入って、出てきてカーチェイスが終わるまでの10分を1カットに収めていて、本作の見どころはここに尽きる!
ビルの中で6人の敵とバトルするんだけど手足と肘・膝・銃把で50発くらい殴る(数えたw)で、彼女も同じくらい殴られます。
どこまで本当に当てているのかは分からない位リアルで、彼女と敵が体のアチコチから流す血はホンモノに見えるし、顔のカタチが変わっていく。
全ての打撃にしっかり体重と殺気が乗っていて、痛いし痛々しい…。
最近のアクション映画の格闘シーンは1秒のカットを何十も繋げて誤魔化すことが主流な中、久しぶりに凄いものを見させてもらったなっ、て感じ(ノ゚0゚)ノ
何だか面倒くさいストーリーは、シャーリーズ・セロンがゲンコツにモノを言わせることで最後までサクッと観れますw
ノリのいい音楽に乗せて、パツキンのねーちゃんがキレッキレのアクションを魅せる。それだけで100点ってなる作品。
アクションシーンはかなり見応えあった
だいぶ痛いよね、このアクション
結末はひとつ
当時、映画館で観ました🎬
セロン姐さん演じるロレーンのアクションが全編に渡って堪能できますね!
筋力では男性に劣るものの、それをカバーする道具を使ったアクションは格好いいです。
冷蔵庫の扉を叩きつけられる敵や、ロープで首を巻かれたまま引きずられる敵が痛々しい。
ロレーンも、無敵ではなく割とボロボロになりながらミッションに挑むのがまたリアルで良かったです。
ソフィア・ブテラ演じるデルフィーヌとロレーンは、恋人のような関係になりますが、ジェームズ・マカヴォイ演じるパーシヴァルに‥。
エンディングは、私の理解があまり追いつかず‥ロレーンはアメリカのスパイだったでことですかね❓
「サッチェル」とはロレーン自身であったが、パーシヴァルがサッチェルであるかのように偽装してましたよね。
結局アメリカの独り勝ちってことなのかな。
セロン姐さんの生身のアクション、見事でした❗
キネマ旬報ベストテン選考委員の選定に疑念を感じる鑑賞に…
多少興味のあるベルリンの壁崩壊前後の
スパイ物として鑑賞したが、
シャーリーズ・セロンの、
シャーリーズ・セロンによる、
シャーリーズ・セロンのための映画、
と言うべき内容で、
彼女の性的魅力と
体を張ったアクション満載の作品。
それ以上でもそれ以下でも無かったような
印象だったし、
吹き替えでカットされている箇所も
多数感じるTV放映の鑑賞機会だったので、
ここでは作品についてではなく、
別の少し気になった点について。
この作品のキネマ旬報の評価では、
一人の選考委員の方が10点満点の92位で、
それが得点の全てだった。
また同じ同点92位には、
やはり一人の選考委員の
10点満点評価のみによる映画が
他に10作品もあることには大変驚いた。
私の観ようと思う映画作品の選定は、
・興味あるテーマの作品
・国際映画祭で高い評価を受けた作品
・キネマ旬報のベストテンに選定されている作品
・上記ベストテン以下でも満点を付けた選考委員がいる作品
の中からが多いのだが、
かつては、ベストテン以下でも
満点評価を受けた作品は、
必ず複数の他の委員の方々にも
得点評価を受けていた記憶だ。
素人評価で恐縮ですが、私の印象では、
キネマ旬報での上位作品と下位作品には
明らかに作品の質に差を感じます。
各人の作品の評価の基準には幅があり、
好き嫌いの幅にも相当のものがあることは
理解しているつもりですが、
ただ、100位に近い作品が、
たった一人の選考委員の満点評価のみで、
その他の選考委員の得点評価を
全く得られていない作品が
こんなにも多いことには
大いなる疑問を感じてしまいました。
私が不安に思うのは、果たして
その所属性から客観的な立場に在られない
選考委員の方がいるのではないだろうか。
また、よもや
その作品の宣伝広告塔的な方が
選考委員に選ばれているのでは、
ということに対してでした。
確かに昔に比べたら、
現在の選考委員数は随分と増えた。
このことにより多数の平均だから
客観的な評価が自然と生まれているはずと、
キネマ旬報側が
安易に判断していることはないのだろうか。
私が鑑賞するしないの判断に信頼を寄せる
キネマ旬報ベストテン選定に
少し疑念を感じてしまう今回の鑑賞と
なってしまった。
凄まじいアクション
タイトルなし(ネタバレ)
誰が一番悪い奴か最初に分かるお話で、予定調和どころの話ではない。それでいて、相関関係がめちゃくちゃで、時間経過も分かりづらく、余計なアクションを入れすぎて、全く緊張感が無い。睡魔と戦いながら、3時間半かけてやっと見終わった。一つだけ良い所を上げるとすれば、
『一つもない』
と言い切れる。音楽も古いB級ロック歌手のやかましい歌。もはや安眠を妨げる騒音で、ストーリーは難解な展開、ゆえに、眠気を添加する。映画自体の存在が矛盾と言わざるを得ない。
さて『銃撃戦のシーン』等を『見事なアクション』と褒めたいところだが、よくよく考えれば、カットや小道具を使えば、いくらでも派手に作れる。しかも、最近はそこにCGまで登場するのだから、以前のスタントマンを使ったアクションどころでは無い。だから、この映画でのアクションでの『主役の役目』は『原子力金髪?』を見せるだけである。後は、全部周りのスタントマン、殺され役、小道具屋さん、そして、CG担当の技術なのである。
だから、この映画に限った事ではなく、いつも思う亊だが『まわい』を考えた日本の『殺陣の様な戦い』を見たいと思っている。椿三十郎の一瞬はこの映画の3時間半よりも貴重だ。
シャーリーズ・セロンの美貌は大いに楽しめる。アクションもまずまず合...
単純な善と悪の話ではない。それに気付けたらこの映画は傑作
ロレーンは殆ど何も語らず、パーシバルが最後にだいたいの本筋を語っている。
ベルリンの壁崩壊と絡めながら「誰が勝った?」「自分がつく側を知らないと勝てない」「俺達の仕事に答えが出ることはなく永遠に謎のまま」「よく戦っても悪魔を助けてる」
つまり、一見極悪のKGBも何かのために戦っていて、まるで悪人のようなパーシバルも仕事のために戦い手を汚し、まるで正義のヒロインのようなロレーンは実は三重スパイで、正義(?)のパーシバルに罪を擦りつけて殺している。
一見ありそうなシンプルなストーリーかと思いきや、白黒ハッキリした正義なんか無い!っていう話しっぽいところがかなりいいと思う。
と、ストーリーも去ることながら、やっぱり階段からのワンカット(実際はわからないようにカットあり)アクションは近頃は見ない超絶アクション! ここだけ観る価値もあり!
あと、80年代の音楽やフッション、ジャンキーな雰囲気も素晴らしい!
全293件中、1~20件目を表示