永い言い訳のレビュー・感想・評価

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永い言い訳

劇場公開日 2016年10月14日
150件中、1~20件目を表示 映画レビューを書く

『そして父になる』へのアンサームービー?

妻を亡くしても悲しみを感じられない男が、自分がいかにマトモでないかを認識していく物語だ。アメリカ映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』と似通ったプロットだが、同時に是枝監督の『そして父になる』も思い出した。

『そして父になる』は、エリート意識にとらわれた男が父親としての愛情を見つけ出す話。その触媒になるのが貧しいが愛情豊かな別の家庭という点でも本作とよく似ている。

た、西川監督は「親は、夫は、家族はこうあるべき」という結論に向かおうとはしない。本作の主人公は物語の冒頭からして、性格のねじくれた、相当に面倒くさいダメ人間だ。それが倫理的な正しさに目覚めるのでなく、ろくでもない自分を認識した上で、ちょっとマシな人間になる。

しゃっきりしない話ではあるが、ある意味ストレートな成長物語だった『そして父になる』の反歌のようで、似た素材でここまで違うものを描く西川監督の手腕を楽しんだ。

バッハ。
バッハ。さん / 2017年1月31日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  知的
  • 鑑賞方法:映画館
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心を抉るような鋭さと、深く抱きしめる優しさと

突如の別れはどのように受け入れられるものなのか。遺された者はそこで何を感じるのか。

主人公が即座に感情表現できる人であれば本作は成立しえない。その分“サチオ”はうってつけだ。2時間かけてゆっくりと寄せる喪失の波。いやむしろ「一向に泣けなかった自分」についての探求の旅というべきか。その意味で彼は、最後まで己にしか関心のない人間だったのかもしれない。

しかしそれでも心に差し込む光の角度だけは、徐々に、確実に変わりゆく。妻への思いは曖昧だが、この先の生き方として、「他人との間」にこそ自分の現在地を見出していくような気配が見て取れる。そのことが何よりの尊さを持って胸に響く。

「オンブラマイフ(優しい木陰)」の調べに乗せ靄を進む列車は人生の縮図のようだ。共にいた人が下車し、新たな旅人と旅を続ける。そうやって木陰を求め人は彷徨う。西川監督はまたも、慈愛と切れ味が同居する演出で人生の本質をすくい取って見せてくれた。

ぐうたら
ぐうたらさん / 2016年10月31日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  悲しい
  • 鑑賞方法:映画館
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「おくりびと」に並ぶモックンの代表作

テレビに出演するような有名作家だけれど、本業の執筆に生きがいを感じているようには見えない。無名時代に支えてもらった妻との愛は冷め切っている。妻の留守中、自宅で浮気相手と一夜を過ごした朝、妻の事故死の報を受けるが、悲しむ感情すら起こらない……。

外づらはいいが中身はダメダメな中年男を、本木雅弘が説得力十分に演じている。別の遺族一家に出会って、子育てを手伝っていくうちに変わっていく過程の表現もうまい。

妻役の深津絵里は、諦念を漂わせるクールな美しさが光る。出番が少ないのがちょっと残念。

西川美和監督が映画に先駆けて描いた原作小説にも同じ空気が流れていて、ちゃんと地続きの世界観なんだなと思わせる。映画を楽しめた方、小説もぜひ。

AuVis
AuVisさん / 2016年10月17日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  泣ける 知的
  • 鑑賞方法:試写会
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愛するということ

売れっ子作家にもなった。お金もある。若くて綺麗な愛人もいる。

幸夫は、いわゆる世間では「成功」している人です。でも、心の中は愛する人ができなかった虚無感で一杯です。お互い、嘘をつき続けた夫婦だったから。

今作で西川監督が描く「嘘」は、自分に対する嘘です。そして、幸夫の「嘘」と対局に描かれるのが、大宮です。

妻を失って、気がついた自分への「嘘」。本当は、自分よりも大切な誰かが欲しかったんだ。

そんな「嘘」を、少しずつ少しずつ、大宮やシンちゃん、あーちゃんから剥がされることを許していく幸夫が、人間臭くて好きです。

ミカ
ミカさん / 2017年7月21日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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私はとても好きな作品

西川美和監督は「ゆれる」でとても印象に残っていたので、今回も期待していました。
この監督は、人間の微妙な心の動きを描かせたらピカイチだな、しかも男性心理描写がすごいのです。見栄とプライドの影に隠れる女と違った黒くて弱い感情。それが今回もひしひしと伝わってきてよかった。
配役もよく、もっくんの成熟した男の色気を拝見できるだけでも十分価値があるのでは。こういう作家いそう。それと真逆の竹原ピストルさんの人間味溢れる演技もよかったなあ。対比が文句なしによかった。
強いて言えば、あまりにラストがふわっとしており、物足りない人には物足りないかもしれません。でも、人間そんなに劇的に成長なんていきなりしないよ、という監督の意図だとすれば、それはそれでリアリティーがあり納得です。

にゃあ
にゃあさん / 2017年7月16日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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辛気臭い

心に何の淀みもなく、平常心で話の深みを探れる時はいい。
だが、今の私にそのような余裕はなく、端的に目に映るものが総てだ。
そうなると、ただただ陰鬱で辛気臭い映画だった。
落ち込みがちな心がさらに暗がりに引きずり込まれるような感覚があった。
ハッピーエンド風のラストも、でっ?としか思えない。
浅はかな私には、考えの及ぶべくもない世界だった。

みみず
みみずさん / 2017年7月11日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  寝られる 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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題名の意味

死んだことで分かる妻の真意、皮肉だ。素直で言い訳をしない人間が幸せだ。なんだかずっと悲しかった。ずっと涙が止まらなかった。役者はみんな良かった。もっくんの妻が死んで間もない時の人ごとのような振る舞い、竹原ピストルの未練たらたらの闇の表情と取り繕った明るい表情の落差、妹役の子は特に良かった。あれは確実に演技ではないだろう。監督の力。人生は他者。

いつこ
いつこさん / 2017年7月2日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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どんでん返しではないけど、先が読みづらい作品。 妻が泣くなり、悲劇...

どんでん返しではないけど、先が読みづらい作品。

妻が泣くなり、悲劇の主人公をTVでは演じなければならない、冷え切った関係。そして亡くなった妻の友人(この友人も亡くなる)家族とのふれあいによって、自分の家族観を見つめるきっかけとなっていく。

冷めきった関係からドライな思いを持ちながらも、妻への思いが揺れ動く微妙なさまが見事に描かれている。

細かい目の動き、携帯とスマホ、カメラワーク、すべてで心情が表現できるのだなーと感じた。

キッスィ
キッスィさん / 2017年7月1日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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「悪いけど、後片付けはお願いね」「そのつもりだけど・・」 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

映画「永い言い訳」(西川美和監督)から。
妻が、親友と出かけたバス旅行の事故で突然、他界するところから、
この物語がスタートするが、私のメモ帳に残ったメモは、
なんと、そのバス旅行に出る前の「夫婦」の会話だった。
「悪いけど、後片付けはお願いね」「そのつもりだけど・・」
本当に何気ない台詞で、気にすることもないのだろうけれど、
事故で亡くなる前の妻の台詞だから、気になった。
自分の旅行中に、夫が不倫相手とエッチするだろうなぁ、と
考えていたかもしれない、そんな想像が膨らんだ。(汗)
だから「悪いけど、後片付けはお願いね」と声を掛け、
不倫がバレていることを知った夫は「そのつもりだけど・・」と
口ごもったのではないか、とまたまた想像が膨らんだ。
作品の中に隠されている「何気ない会話」「例え話」が、
作品後半になって、意味を持ってくると、なぜか嬉しいから、
こんな会話が「気になる一言」になってしまう。(笑)
あっ、この作品、原作があったんだよなぁ。
全然、関係なかったら、ちょっと恥ずかしいけれど、
今度、本屋で確かめてみようっと。

shimo
shimoさん / 2017年6月24日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  難しい
  • 鑑賞方法:-
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人間とは?とうったえかけてくる作品

不覚にもこの映画で竹原ピストルのこと初めて知った。今ではその音楽にもすっかり取りつかれている。西川作品は劇場で観た後、必ずdvdも購入している大の大ファン。今までの中で一番の作品ではないだろうか。人間の心の奥底をえぐりとるような深い作品。孤独、絶望、本音、ゆれる感情、見終わった後に考えさせられました。

くう様
くう様さん / 2017年6月23日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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とても人間らしい作品。よかったです。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

本木雅弘と言えば、おくりびとのイメージ。人生に葛藤しながらも納棺師という職業を通して故人と向き合い、人生の意味を再発見するといったものだった。

今回の作品もある意味で人生の再発見をしている。この作品での役どころは、おくりびとのイメージとはうって変わって、夫婦円満とはほど遠いプライドのかたまりになってしまった亭主役である。

最愛だったはずの奥さんに愛想がつきてしまっている。奥さんが旅行で家をあけている間、ほかの女の人を家に連れ込んでしまっている矢先、奥さんが高速バスの移動中に事故に遭い、還らぬ人となってしまう。

しかし、愛想が尽きていたためか、主人公は、奥さんの死を目の前にしても涙はこれっぽっちも出なかったのである。情事にいそしんでいた自分を責めることさえもなかった。

そんな無機質な状況のなか、奥さんの友人であり、一緒に旅行に行き、命を落とした方の遺族との出会いを通して、葛藤しながらも、人を愛することの意味を見いだしていくといった感じの話である。

自分自身は、同じような状況ではないけれども、今の環境を愛して、大切にしていきたいなと思わせてもらった。

出ている役者、一人一人の表情やセリフがリアルで、とてもよかった。多彩な才能を発揮されているらしい竹原ピストルさんの演技がとてもいいなと思った。また、池松壮亮のセリフにも、グッとくるものがあった。映画っていいなと思った今日この頃である。

だにそん
だにそんさん / 2017年6月5日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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黒木

西川美和はなんか凄くヒドい。画もダサい。しかも長い。是枝に乗れないように、なんか倫理的に、ヒドい気がする。山田洋次を100倍に薄めて、そこに目配せを2,3滴入れた感じ。因みに山田洋次はもちろん全然良くないんだけど。俳優への寄りかかり方とか、子供の扱いとか、特に。トラック運転手とか、吃りも。虫唾が走るいやらしい感じ、あざといとか技法の問題ではなくて、生理的に。黒木華だけは、なんだかぽくて良い感じだけど。

ssspkk
ssspkkさん / 2017年5月27日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 0.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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不器用で繊細でエゴが強い、でも、みんな持っている要素 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

邦画だからこそできる、繊細な心の描写とストーリーで、「泣く」といった単純な感情表現よりも、もっと複雑で苦しい幸雄の描写が生きた作品。

妻が事故で死んだ時、彼は部屋で不倫の真っ最中だった。愛も冷めていて、ただ、突然20年連れ添った妻が居なくなり、戸惑う自分がいる。
全く泣かず、それほど凹まず。作家のスキルを活かして葬式のスピーチはもっともらしく振る舞い、その後はネットでエゴサーチ。
人間の汚いところ、弱いところを巧みに演出している。

傲慢で偉そうに編集者に当たったり、モノを投げつけたり。
いるよなあ、こういう人。
でも、そんな一見最低の男である幸雄が、本当に根っからの悪いやつじゃなくて、彼なりの繊細さや優しさも持っている。
人一倍繊細で、傷つきやすくて、自尊心も強い、感情表現が苦手な不器用な人間なだけなのだ。

妻とともに亡くなった友人の一家で主夫として家事を手伝い、子供達とも仲良くなる。彼らの生活の中で支えになりながら、「人と交わること」で得られる温もりのようなものを思い出す。
そんな行為を、マネジャーからは「子供達の面倒をみるのは最高の免罪符だ」とズバリ指摘を受ける。
幸雄なりに妻の死は辛かったが、不倫もしていて最低な自分であるのもわかっていて、そんな状態を受け入れる、昇華するための罪滅ぼしなのだ。

とはいえそんな自分が、実は妻に愛されていなかったことが分かるメールが見つかり、さらに家族にとっても「要らなくなるかもしれない」というシチュエーションが出てきた。急に不安になり、不器用になり、本音だが言ってはいけないことをぶつけてしまう幸雄。
これまで素晴らしい関係を作ってきたのに、最後までどれだけ不器用なんだ…。

自暴自棄に再びなった幸雄だが、家族の危機に再度呼び出され、そこで素直な本音を。
「自分を大事にしてくれる人を大切にしないとダメだ。そうしないと、僕みたいに誰も愛せなくなってしまうんだ。」
なんという、脆く、そして確信的な一言。彼の不器用さは、やはり、そういった免罪符の中で生まれてきていたのだ。

最後は妻とのストーリーを本に書き、みんなと幸せになり、エンディング。本の中では「人生は他者」という一言。これも深い。
不器用な幸雄が、人と関わり始めるような一歩目なのだろうか。でも、結局ヒトは人と関わり合わないと生きていけないのだ。どんなに不器用で繊細でも…。

憂だ感じや、感情表現がとつとつとしているところ、妙に男前なところ含めて、モッくんが最高にハマリ役だった。
竹原ピストルさんや子役の2人も上手い。
すごく、よい映画。

yamapple
yamappleさん / 2017年5月23日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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期待以上でした。

夫婦だからといって必ずしも愛し合っているとは限らない。そうではない夫婦が相手を失った時の戸惑いと自己嫌悪感がとてもリアルで、西川美和お得意の人間の黒い部分が今回も上手く描かれていてとても良かった。子どもたちが子どもなりに状況を受け入れるシーンも健気で物悲しくもあり、近親者の死を受け入れる様々な立場での様々な受け入れ方がどれも心に響いた。本当に西川美和は天才だと思った。

emi
emiさん / 2017年5月22日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 悲しい
  • 鑑賞方法:-
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よかった。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

救いようのない話かと思ったけど、ほっこりしたり、救われたり。子供たちがかわいい。たしかに免罪符だわ。
しかしながら、浮気って、ということを悶々と考えてしまう帰り道。ひとかけらも。て重たい。でもそれで吹っ切れたんじゃないかと思う。キツい言葉が逆に優しさだわ。
オンブラマイフ、手嶌葵ちゃんだったか。

ぽみこ
ぽみこさん / 2017年5月18日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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ほっこりして、泣ける

すごく、面白い。『ゆれる』より好き。
最低な男が、心の繋がりから変化していく様をうまく描いている。
もっくんはもちろん、子役の二人がとても上手い。
ところどころ、ちよっとしたところで笑えるし、泣ける。
竹原ピストルもはまり役(笑)いとおしくてダメなお父さん。
旦那や家族を大切にしたくなる、そんな映画。

asm0601
asm0601さん / 2017年5月16日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 笑える 幸せ
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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涙の量と哀しみは必ずしも比例している訳ではないのだ。

涙の量と哀しみは必ずしも比例している訳ではないのだ。

sakahiro
sakahiroさん / 2017年5月8日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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永い言い訳、短い本心 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

西川美和が自身の小説を映画化。
バス事故で妻を亡くしたのに悲しめない男を描く。
孤独、空虚、苦悩…心情に深く迫るさすがの演出、語り口。
今回も一つのテーマから人間を掘り下げ、見応えのある人間ドラマに仕上げている。

著名な作家としてTVにも出ている幸夫。
彼がかなりの最低人間。
性格は卑屈。上から目線で相手を見下す時あり。
妻が事故に遭った時、愛人を抱いていた。
心有らずの葬式の弔辞。TVを意識してか泣いたフリ。
喪中に豪遊したり、また愛人を抱く。
花見の席で大荒れ。
…などなどだが、何より涙を流せなかった。
でも何か画に書いたような最低の人間って感じじゃなく、悲しみや喪失といったものを何をどう表していいのか分からないという感じがした。

そんなある時出会ったのが、妻の親友の遺族。
トラック運転手の陽一と、幼い兄妹の真平と灯。
陽一は幸夫とは逆で、妻を失った悲しみを隠さない。遺族への説明会では怒りをぶちまけ、幸夫の前で何度も何度も涙する。

ひょんな事から幸夫は、トラック運転手として家を空ける事の多い陽一に変わって、幼い兄妹の面倒を見る事になるのだが…、
何故かここがちょっと面白い。
慣れない“主夫”に悪戦苦闘。
家事、送り迎え、子守り、頭のいい真平の勉強を見てあげたり…。
不思議なもんで、序盤で心空っぽに見えた幸夫が優しいおじちゃんに見える。
この時どんな意図でやってたのかそれは分からないが(次作の執筆の為、何らかの罪滅ぼし、本当に手助け)、でも子供たちと接してた時の顔はまんざら嘘でもないだろう。
(何だか素のもっくんを見てるようだったけど)

妻を失った悲しみの温度差に違いはあれど、同じ境遇の残された者同士が、また穏やかな日常と心の拠り所を見つける。
…それも束の間、
ある日幸夫は、妻の遺品のスマホに残されてたある文を見て衝撃を受ける。
陽一にはちょっとした出会いが。
幸夫が陽一たちと親交を深めたのは、彼らを通して悲しむという事を知る為もあったかもしれない。
が、陽一はドン引くくらいのイジイジ、イジイジ。
長男の真平は幸夫と同じく葬式で泣けず、複雑な内面の持ち主。
そこに、突然の疎外感。
皆と囲んだ夕食の席で酔っ払った勢いで本心とも言える事をぶちまけ、幸夫の孤独や苦悩はさらに深まっていく…。

突破口となったのは、真平。
真平が父親に抵抗を感じていたのはすぐ分かったが、ある時父にキツい本心をぶちまける。
その直後、陽一は事故に遭う。
幸夫と真平は陽一を迎えに行く中で…
真平は、自分なのだ。自分と同じなのだ。
母親を失って、悲しいのは悲しい。しかし、その悲しいという感情をどう表していいか思い悩んでいる。
かと言って、父みたいになりたくない。それを恥じている。
毅然としているが、実は今にも壊れそうで、脆く、弱く、繊細。
つい周囲にぶちまけてしまう…。
真平と対した時、幸夫は最もらしい事を言う。
それは自分にも通じる事、自分に言っていたのではないか。
この幼い自分が、自分のようにならないように…。

本木雅弘がさすがの名演技!
嫌悪感、滑稽さ、憐れみ、それでいての人間味…それらを的確に体現。
やっぱり巧いね~。
本作を見るまで、竹原ピストルをほとんど知らなかったが、パワフルな存在感。
時々危なっかしさを醸し出しつつ、愛嬌もたっぷり。
本業はミュージシャンらしく、どうでもいい事だけどTVドラマ「バイプレイヤーズ」のエンディングソングが絶品!
何つっても、二人の子役が巧い!
本木雅弘も竹原ピストルも巧いが、真平役の藤田健心くんの巧さは随一!
灯役の白鳥玉季ちゃんは素というか、ドキュメンタリーを見てるようなナチュラルさ。
短い出演ながら妻の存在をずっと感じさせる深津絵里、池松壮亮のいつもながらの好助演。ところで…、黒木華ってああいうラブシーンNGとか言ってなかったっけ…??

人の悲しみはそれぞれ。
幸夫の苦悩。
陽一の素直さ。
真平の葛藤。
それぞれがそれぞれの悲しみの中で、喪失からの再生を見出だす。
西川作品の中でも、ポジティブなメッセージを感じた。

泣いたから悲しんでいる、泣いてないから悲しんでないなんて、言いがかりだ。
自分は母が死んだ時、泣かなかった。
元々泣くような性格ではないのだけれども、ああいう時涙というものを見せたくないのだ。
勿論、微塵も悲しんでない訳なんかではない。
今もふとした時母の事を思い出すし、自分なりにずっと母の死を悼んでいる。

“永い言い訳”の後の“短い本心”こそ、グッと心に響いた。

近大
近大さん / 2017年5月7日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 笑える 知的
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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退屈でテーマも不明

無理に知的で難しくつくってる感じがした
何を伝えたかったんだろう
わかりません

へまち
へまちさん / 2017年5月6日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 1.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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凄い子役

日本映画界において、恐らく奇跡的に出現した天才女流監督であろう西川美和の、「男性主人公」による新作という位置づけであり、また竹原ピストルの演技への賞賛も高い作品であろうと思う。
しかし、あえて言いたいのだが、この映画のハイライトは何と言っても子役、それも中学受験生を演じた藤田健心君の破壊力だと思う。
この子が画面にいる時の緊張感、身につまされ感、涙を誘う健気さ、そして何と言っても映画の真骨頂である「リアル感」が素晴らしい。
西川美和のほぼパーペキな脚本や、感情の揺れを細部に映し出す手練手管も相変わらずだが、子役からこの演技を引き出した「腕」に舌を巻いた映画だった。

シンドラーの手帳
シンドラーの手帳さん / 2017年5月5日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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