よしながふみ : ウィキペディア(Wikipedia)

よしなが ふみ(1971年〈昭和46年〉 - )は、日本の女性漫画家である。血液型はB型。

東京都出身で、東京都立富士高等学校を経て、慶應義塾大学法学部を卒業後、大学院法学研究科を中退する。ペンネームは女優の吉永小百合檀ふみから採った。多くの代表作を持つほか、同人サークル「大沢家政婦協会」の主宰者で、2006年以降活動を休止していたが2015年コミックマーケット89から活動を再開。漫画雑誌『花音』1994年10月号にて『月とサンダル』でプロデビュー。練りこまれた筋書きや綿密なストーリー構成を得意とする。2001年にテレビドラマ化された『西洋骨董洋菓子店』を皮切りに、複数の作品が多様にメディア展開されている。

作風

『ベルサイユのばら』や『スラムダンク』などの影響を受けながら、二次創作の同人活動を皮切りに青年誌・少女誌などで幅広く活躍する。ビブロスや芳文社などボーイズラブ (BL) 誌で執筆し、ボーイズラブ小説の挿絵なども手がける。メガネが好きで、作品内にメガネをかけた人物を必ず一人は登場させている取材日:2005年4月25日。協力:新書館「ウィングス」編集部。。

BL誌連載作品だけではなく、青年誌や少女誌連載作品にも、男性同性愛者(ゲイ)が登場する作品が多い。同人活動で、男性同性愛をモチーフとした創作JUNE系などの作品群を発表している。商業誌で活動してからは、自身の商業作品の後日談を同人誌として発表した。一部の作品はまとめて単行本化され、第1巻は比較的穏やかで2巻で性描写が多発する作品もある。『1限めはやる気の民法』は連載「第1巻」と同人「第2巻」として発売されている。

作中には料理やスイーツが多く登場し、描写から食にこだわりが感じられる。『愛がなくても喰ってゆけます。』における食事シーンのキャラクター描写について、「官能的ですらある」「表情もまた見事」「人間関係の微妙なアヤを浮き彫りにしている」などと評し、食欲が性欲以上に「根源的でエゴイスティック」で「食べ方や食の嗜好には人間性が」表れることにきわめて自覚的である、と断定している。

影響

よしながが「最初に萌えたキャラクター」は、池田理代子『ベルサイユのばら』のアンドレ。以降、読者として「主人公に嫉妬をしないで『損得抜き』で応援する」「どこまでもへなちょこな」アンドレ的な立ち位置のキャラクターを探し続けていると述べている「大奥」「パレス・メイヂ」特集 よしながふみ&久世番子対談 コミックナタリー。

ローカス賞を受賞したアメリカの女性ファンタジー作家N・K・ジェミシンは、よしながの影響を公言しており、『大奥』がジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞を受賞する以前から愛読していたA・U「解説」N・K・ジェミシン『空の都の神々は』早川書房、2011年。

受賞歴

  • 2002年 『西洋骨董洋菓子店』 - 第26回講談社漫画賞少女部門
  • 2006年 『大奥』第1巻 - 第5回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞
  • 2006年 『大奥』第1巻 - 第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞
  • 2009年 『大奥』 - 第13回手塚治虫文化賞大賞
  • 2010年 『大奥』 - 2009年度ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞
  • 2011年 『大奥』 - 第56回(平成22年度)小学館漫画賞少女向け部門
  • 2019年 『きのう何食べた?』 - 第43回講談社漫画賞一般部門
  • 2021年 『大奥』 - 第42回日本SF大賞、第21回センス・オブ・ジェンダー賞の殿堂賞
  • 2022年 『大奥』および『きのう何食べた?』 - 芸術選奨文部科学大臣新人賞(メディア芸術部門)

作品リスト

漫画

  • 月とサンダル (1996年3月、芳文社)
  • 本当に、やさしい。(1997年3月、ビブロス)
  • ソルフェージュ (1998年3月、芳文社)
  • 1限めはやる気の民法 (1998年7月-2002年3月、ビブロス、全2巻)
  • こどもの体温 (1998年7月、新書館)
  • 愛とは夜に気付くもの(文庫化タイトル『執事の分際』)(1999年3月、ビブロス)
  • 彼は花園で夢を見る (1999年9月、新書館)
  • ジェラールとジャック (2000年2月-2001年4月、ビブロス、全2巻)
  • 西洋骨董洋菓子店 (2000年6月-2002年9月、新書館、全4巻)
  • 愛すべき娘たち(2003年12月、白泉社)
  • それを言ったらおしまいよ(2003年2月、太田出版)
  • フラワー・オブ・ライフ(2004年5月-2007年6月、新書館)
  • 大奥 (2005年10月-2022年3月、白泉社、全19巻)
  • きのう何食べた?(2007年11月- 、講談社、既刊23巻)
  • 環と周

エッセイ・その他

  • 愛がなくても喰ってゆけます。(2005年、太田出版)
YながFみ31歳を主人公とした、フィクションともノンフィクションとも付かないグルメエッセイ。オススメする料理店が登場する。
  • あのひととここだけのおしゃべり(2007年、太田出版)
やまだないと三浦しをん羽海野チカ萩尾望都志村貴子らとの対談集。
  • 仕事でも、仕事じゃなくても 漫画とよしながふみ(2022年、フィルムアート社)
編集者・ライターの山本文子によるインタビュー本

メディア化作品

ドラマ
  • 西洋骨董洋菓子店 (2001年、フジテレビ)(2021年、タイ)
  • 大奥(2012年、TBS)(2023年、NHK)
  • きのう何食べた? (2019年、2023年、テレビ東京)
映画
  • 西洋骨董洋菓子店 (2008年、韓国)
  • 大奥(2010年、松竹)(2012年、松竹)
  • きのう何食べた?(2021年、東宝)
アニメ
  • 西洋骨董洋菓子店(2008年、フジテレビ)
  • 大奥(2023年、Netflix)
ドラマCD
  • フラワー・オブ・ライフ(2006年、新書館)
  • 西洋骨董洋菓子店(2002年-2003年、新書館)
  • ジェラールとジャック(2006年、エンタメシンクタンク)

参考文献

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/10/27 18:32 UTC (変更履歴
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