ウィレム・デフォー : ウィキペディア(Wikipedia)
ウィレム・デフォー(, 1955年7月22日 - )は、アメリカ合衆国ウィスコンシン州出身の俳優。劇団ウースター・グループの創設メンバーである。
来歴
アメリカ合衆国ウィスコンシン州アップルトンで外科医の父と看護婦の母の間に生まれた。8人兄弟の7番目で、幼少時に「ウィレム」の愛称を得る。なお「ウィレム」というオランダ人風の愛称であるが、彼自身はオランダには縁もゆかりもない。彼はウィスコンシン大学でドラマを研究したが、前衛劇団シアターXに加わるため途中退学した。シアターXでアメリカ合衆国およびヨーロッパを4年間公演旅行し、その後ニューヨークでエリザベス・レコンテの率いる劇団に加わった。
デフォーの映画出演は1981年の『天国の門』から始まった。しかし彼の登場シーンは編集によりカットされた。1年後『ラブレス』でオートバイ・ギャングのリーダー役を演じ、その後『L.A.大捜査線/狼たちの街』で注目を浴び、最初の国際的評価を得たのは1986年の『プラトーン』でのエライアス3等軍曹役である。彼はその後性格俳優として人気が出る。その表情から『スピード2』のガイガーや『スパイダーマン』のグリーン・ゴブリンの様な怪しい悪役を演じることが多い。彼は1988年の『最後の誘惑』でイエス・キリストを演じた。また『プラトーン』および2000年の『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』、2017年の『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』でアカデミー賞最優秀助演男優賞のノミネートを受けた。さらに2019年には、『永遠の門 ゴッホの見た未来』で、初のアカデミー賞最優秀主演男優賞にノミネートされている。
彼は1990年にプラダのコマーシャルに出演した。また、2004年にはジェームズ・ボンドのテレビゲーム『007 エブリシング・オア・ナッシング』の悪役ニコライ・ディアボロの声を演じた。
2021年には『』にて久々にグリーン・ゴブリン役を演じて話題となったが、同作に出演したことによって、2022年1月25日に共演したトビー・マグワイアと共に、「19年と225日の最も長期でマーベルのキャラクターを演じた俳優」として当時ギネス世界記録に認定された。
私生活
エリザベス・レコンテとデフォーは演劇および生活のパートナーとなった。1982年に息子が生まれているが、2人は結婚せず2004年に別れている。デフォーは2005年にイタリア人女優ジアダ・コラグランデ(Giada Colagrande)と結婚した。
フィルモグラフィ
映画
年 | 題名 | 役名 | 備考 | 日本語吹替 |
---|---|---|---|---|
1980 | 天国の門Heaven's Gate | クレジットなし | 不明 | |
1982 | ラブレスThe Loveless | ヴァンス | 日本劇場未公開 | |
1983 | ハンガー The Hunger | 電話ボックスの若者 | 塩屋浩三 | |
1984 | ロードハウス66Roadhouse 66 | ジョニー | 日本劇場未公開 | |
ストリート・オブ・ファイヤーStreets of Fire | レイヴェン | 石丸博也(フジテレビ版)咲野俊介(オンデマンド版) | ||
1985 | L.A.大捜査線/狼たちの街 To Live and Die in L.A. | エリック・マスターズ | 千田光男 | |
1986 | プラトーンPlatoon | エライアス3等軍曹 | アカデミー助演男優賞 ノミネート | 苅谷俊介(テレビ朝日版)大塚芳忠(ソフト版)森田順平(テレビ東京版) |
1988 | サイゴンOff Limits | バック・マクグリフ | 磯部勉 | |
最後の誘惑The Last Temptation of Christ | イエス・キリスト | |||
ミシシッピー・バーニングMississippi Burning | アラン・ウォード | 納谷六朗(ソフト版)野沢那智(テレビ朝日版) | ||
1989 | 生きるためにTriumph of the Spirit | サラモ・アラウチ | ||
7月4日に生まれてBorn on the Fourth of July | チャーリー | 江角英明(VHS版)千田光男(テレビ朝日版)世古陽丸(DVD版) | ||
1990 | クライ・ベイビーCry-Baby | 刑務所の看守 | 不明 | |
ワイルド・アット・ハートWild at Heart | ボビー・ペルー | 桐本琢也 | ||
1991 | イントルーダー 怒りの翼Flight of the Intruder | コール少佐 | 納谷六朗(ソフト版)樋浦勉(フジテレビ版) | |
1992 | ホワイト・サンズWhite Sands | レイ | ||
ライト・スリーパーLight Sleeper | ジョン | |||
1993 | BODY/ボディBody of Evidence | フランク・デュラニー | 佐古正人(ソフト版)牛山茂(テレビ朝日版) | |
時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!In weiter Ferne, so nah! | エミット・フレスティ | |||
1994 | 愛しすぎて 詩人の妻Tom & Viv | T・S・エリオット | ||
今そこにある危機Clear and Present Danger | ジョン・クラーク | 伊井篤史(ソフト版)野沢那智(テレビ朝日版) | ||
1995 | 欲望の華The Night and the Moment | 作家 | 日本劇場未公開 | |
ヴィクトリー 遥かなる大地Victory | アレックス | 菅生隆之 | ||
1996 | バスキアBasquiat | 電気技師 | 宝亀克寿 | |
イングリッシュ・ペイシェントThe English Patient | デヴィッド・カラヴァッジョ | 野沢那智(ソフト版)桐本拓哉(Netflix版) | ||
1997 | スピード2Speed 2: Cruise Control | ジョン・ガイガー | 江原正士(ソフト版)大塚芳忠(フジテレビ版) | |
白い刻印Affliction | ロルフ・ホワイトハウス | 花田光 | ||
1998 | ルル・オン・ザ・ブリッジLulu on the Bridge | ヴァン・ホーン | 山路和弘 | |
1999 | イグジステンズeXistenZ | ガス | 上田敏也 | |
処刑人The Boondock Saints | ポール・スメッカー | 江原正士 | ||
2000 | アメリカン・サイコAmerican Psycho | ドナルド・キンボール | 野沢那智(ソフト版)中野健治(Netflix版) | |
アニマル・ファクトリーAnimal Factory | アール | 日本劇場未公開 | 森田順平 | |
シャドウ・オブ・ヴァンパイアShadow of the Vampire | マックス・シュレック | インディペンデント・スピリット賞 助演男優賞 受賞アカデミー助演男優賞 ノミネート | 青野武 | |
2001 | 楽園の女Pavilion of Women/庭院里的女人 | アンドレ神父 | 日本劇場未公開 | 野島昭生 |
ぼくの神さまEdges of the Lord | 神父 | 山路和弘 | ||
2002 | スパイダーマンSpider-Man | ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン | ||
ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスターAuto Focus | ジョン・カーペンター | 江原正士 | ||
2003 | ファインディング・ニモFinding Nemo | ギル | 声の出演 | 山路和弘 |
レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラードOnce Upon a Time in Mexico | アーマンド・バリーリョ | |||
仮面の真実The Reckoning | マーティン | 日本劇場未公開 | (日本語吹替版なし) | |
2004 | 二重誘拐The Clearing | アーノルド・マック | 村田則男 | |
スパイダーマン2Spider-Man 2 | ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン | カメオ出演 | 山路和弘 | |
ライフ・アクアティックThe Life Aquatic with Steve Zissou | クラウス・ダイムラー | 中村秀利 | ||
コントロールControl | マイケル・コープランド | 金尾哲夫 | ||
アビエイターThe Aviator | ローランド・スイート | |||
2005 | マンダレイManderlay | グレースの父 | 不明 | |
トリプルX ネクスト・レベルXXX State of the Union | ジョージ・デッカート | 山路和弘(ソフト版、テレビ朝日版) | ||
誘惑の微笑Before It Had a Name | レスリー | 兼脚本日本劇場未公開 | (日本語吹替版なし) | |
リプリー 暴かれた贋作Ripley Under Ground | マーチソン | 日本劇場未公開 | ||
2006 | インサイド・マンInside man | ジョン・ダリウス | 中村秀利 | |
アメリカン・ドリームズAmerican Dreamz | 首席補佐官 | 日本劇場未公開 | 池田勝 | |
パリ、ジュテームParis, je t'aime | カウボーイ | 古澤徹 | ||
2007 | Mr. ビーン カンヌで大迷惑?!Mr.Bean's Holiday | カーソン・クレイ | 金尾哲夫 | |
スパイダーマン3Spider-Man 3 | ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン | カメオ出演 | 山路和弘 | |
ウィレム・デフォー セブン:ビギンズ 〜彩られた猟奇〜Anamorph | スタン・オーブリー | 日本劇場未公開 | 中田譲治 | |
2008 | しあわせの帰る場所Fireflies in the Garden | チャールズ・テイラー | (日本語吹替版なし) | |
エレニの帰郷The Dust of Time | A | |||
囚われのサーカスAdam Resurrected | クライン司令官 | 日本劇場未公開 | 東十條 | |
2009 | アンチクライストAntichrist | 彼 | 大塚芳忠 | |
ファンタスティック Mr.FOXFantastic Mr. Fox | ラット | 声の出演 | 青山穣 | |
ダレン・シャンCirque du Freak: The Vampire's Assistant | ガブナー・パール | 山路和弘 | ||
処刑人IIThe Boondock Saints II: All Saints Day | ポール・スメッカー | カメオ出演 | 江原正士 | |
デイブレイカーDaybreakers | ライオネル・コーマック | |||
狂気の行方My Son, My Son, What Have Ye Done | ハンク・ヘイヴンハースト刑事 | 日本劇場未公開 | (日本語吹替版なし) | |
フェアウェル さらば、哀しみのスパイL'Affaire Farewell | フィニー(アメリカ合衆国中央情報局(CIA)長官) | |||
2010 | ミラルMiral | エディ | ||
A Woman | マックス・オリヴァー | |||
2011 | ハンターThe Hunter | マーティン・デヴィッド | 内田直哉 | |
[[:en:4:44 Last Day on Earth>4:44 Last Day on Earth]] | シスコ | 山路和弘 | ||
2012 | ジョン・カーターJohn Carter | タルス・タルカス | 石井康嗣 | |
ラスト・キリング 狼たちの銃弾Tomorrow You're Gone | ブッダ | 日本劇場未公開 | 立川三貴 | |
2013 | オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主Odd Thomas | 警察署長 | 星野充昭 | |
ファーナス/訣別の朝Out of the Furnace | ジョン・ペティ | 中村秀利 | ||
2014 | 誰よりも狙われた男A Most Wanted Man | トミー・ブルー | 大塚芳忠 | |
ニンフォマニアックNymphomaniac | L | (日本語吹替版なし) | ||
グランド・ブダペスト・ホテルThe Grand Budapest Hotel | ジョプリング | 竹本和正 | ||
インファナル・ディール 野蛮な正義Whiskey Bay | バド・カーター | 日本劇場未公開 | 中村秀利 | |
きっと、星のせいじゃない。The Fault in Our Stars | ピーター・ヴァン・ホーテン | 横島亘 | ||
ジョン・ウィックJohn Wick | マーカス | 山路和弘 | ||
2015 | Pasolini | ピエル・パオロ・パゾリーニ | ||
2016 | ドッグ・イート・ドッグDog Eat Dog | マッド・ドッグ | 山路和弘 | |
ファインディング・ドリーFinding Dory | ギル | 声の出演 | ||
ファミリー・マン ある父の決断A Family Man | エド・ブラックリッジ | 日本劇場未公開 | 永田博丈 | |
グレートウォールThe Great Wall / 長城 | バラード | 多田野曜平 | ||
2017 | フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法The Florida Project | ボビー・ヒックス | アカデミー賞助演男優賞ノミネートゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネート全米映画批評家協会賞助演男優賞受賞ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞受賞ロサンゼルス映画批評家協会賞助演男優賞受賞 | (日本語吹替版なし) |
クレイジー・フォー・マウンテンMountain | ナレーター | ドキュメンタリー | ||
セブン・シスターズWhat Happened to Monday | テレンス・セットマン | 上別府仁資 | ||
Death Note/デスノートDeath Note | リューク | モーションキャプチャ及び声の出演 | 中村獅童 | |
ジャスティス・リーグJustice League | バルコ | 出演シーンカット | ||
オリエント急行殺人事件Murder on the Orient Express | ゲアハルト・ハードマン | 家中宏 | ||
2018 | 永遠の門 ゴッホの見た未来At Eternity's Gate | フィンセント・ファン・ゴッホ | ヴェネツィア国際映画祭男優賞受賞アカデミー賞主演男優賞ノミネートゴールデングローブ賞主演男優賞 (ドラマ部門)ノミネート | (日本語吹替版なし) |
ポップスターVox Lux | ナレーター | |||
アクアマンAquaman | バルコ | 多田野曜平 | ||
2019 | ライトハウスThe Lighthouse | トーマス・ウェイク | 山路和弘 | |
Tommaso | トマソ | |||
マザーレス・ブルックリンMotherless Brooklyn | ポール・ランドルフ | 多田野曜平 | ||
トーゴーTogo | レナード・セパラ | |||
2020 | マクマホン・ファイルThe Last Thing He Wanted | リチャード・ディック・マクマホン | Netflixオリジナル映画 | |
Siberia | クリント | |||
2021 | Zack Snyder's Justice League | ヌイディス・バルコ | 多田野曜平 | |
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊The French Dispatch | アバカス | 不明 | ||
カード・カウンターThe Card Counter | ジョン・ゴード | (日本語吹替版なし) | ||
ナイトメア・アリーNightmare Alley | クレム・ホーテリー | 内田直哉 | ||
Spider-Man: No Way Home | ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン | 山路和弘 | ||
2022 | ノースマン 導かれし復讐者The Northman | ヘイミル | ||
Dead for a Dollar | Joe Cribbens | |||
2023 | インサイドInside | ネモ | 咲野俊介 | |
アステロイド・シティAsteroid City | ソルトツブルク・キーテル | 飛田展男 | ||
哀れなるものたちPoor Things | ゴッドウィン・バクスター博士 | (日本語吹替版なし) | ||
Finally Dawn | Rufus Priori | |||
君たちはどう生きるかThe Boy and the Heron | 老ペリカン | 声の出演(英語版吹き替え) | 小林薫(原語版の声優) | |
2024 | 憐れみの3章Kinds of Kindness | レイモンドジョージオミ | ||
ビートルジュース ビートルジュースBeetlejuice Beetlejuice | ウルフ・ジャクソン | 山路和弘 | ||
Saturday Night | David Tebet | ポストプロダクション | ||
Nosferatu | ヴィルヘルム・シーバース博士 | |||
TBA | The Legend of Ochi | Maxim | ||
Tropico | Raymond Sanz | |||
The Phoenician Scheme | ||||
Tenzing | ジョン・ハント |
ビデオ・ゲーム
年 | 題名 | 役名 | 備考 | 日本語吹替 |
---|---|---|---|---|
2002 | SPIDER-MANSpider-Man | ノーマン・オズボーン/グリーンゴブリン | |山路和弘 | |
2004 | 007 エブリシング オア ナッシングJames Bond 007: Everything or Nothing | ニコライ・ディアボロ | |大塚芳忠 | |
2013 | Beyond: Two Souls | ネイサン・ドーキンス | PS3用ゲーム作品、CGモデリング、声の出演 | 山路和弘 |
2019 | TWELVE MINUTESTWELVE MINUTES | 警官 |
日本語吹き替え
『ルル・オン・ザ・ブリッジ』で初めて担当し、スパイダーマン シリーズのノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン役を吹き替えてからは、主に山路和弘が大半の作品で担当している。
山路によるデフォーの吹き替えは同業者間でも高い評価と人気を得ており、山路自身もデフォーの演技に感嘆していることを明かしている(詳しくは山路の記事を参照)。
このほかにも、野沢那智、大塚芳忠、江原正士、中村秀利、納谷六朗、多田野曜平、千田光男、森田順平、咲野俊介なども複数回、声を当てている。
参照
注釈
出典
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/09/23 12:29 UTC (変更履歴)
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