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究極にコスパの良い介護を目指す“画期的な”治療とは――悪夢のようなヒューマンサスペンス「廃用身」染谷将太主演で映画化

2025年12月24日 11:00

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ティザービジュアル
ティザービジュアル
©2025 N.R.E.

出版当時、そのあまりに強烈な設定から、「映像化、絶対不可能!」と話題を呼んだ、久坂部羊の小説デビュー作を染谷将太主演で映画化する「廃用身」が、2026年公開される。主演、監督、原作者のコメントおよび、ティザービジュアルが披露された。

タイトルの廃用身(はいようしん)とは、麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと。本作で描かれるのは、「廃用身」をめぐる、ある画期的な “幸福実験”。それは残酷な禁断療法なのか、それとも究極のコスパの良い介護なのか――。世界最速で超高齢社会へ突き進む日本に突きつける、観る者の心の均衡を静かに解体していく、悪夢のようなヒューマンサスペンスだ。

外務省医務官を経て、在宅訪問医として終末医療の最前線に立ち続けてきた著者自身の経験から生まれた本作は、超高齢社会に突入した今の日本社会と不気味なほど地続きのテーマを孕み、半歩先の未来を想起させる。

ある町のデイケア「異人坂クリニック」に通うお年寄りの間で、漆原院長(染谷将太)が考案した“画期的な”治療が密かに広まっている。究極のコスパの良い介護を目指すため、<廃用身>(麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと)の切断を行った結果、「身体も心も軽くなった」、「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の“好ましい副作用”が現れたという。噂を聞きつけた編集者・矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける。しかしやがて、デイケアに関するとある内部告発が週刊誌に流出。さらに、患者宅で起きた衝撃の事件をきっかけに、すべてが暗転していく。

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染谷は、医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危うい狭間へと踏み込んでいく主人公、医師・漆原糾を怪演。監督と脚本を務めるのは吉田光希。東京造形大学在学中より諏訪敦彦に師事し、塚本晋也作品での現場経験を経て、自主製作映画「症例X」で第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)の審査員特別賞を受賞。さらに第61回ロカルノ国際映画祭新鋭監督コンペティション部門の入選、「家族X」「三つの光」のベルリン国際映画祭など、多数の国際映画祭で評価されている。本作は、????田監督が学生時代に原作と出会って衝撃を受けて以来、20年にわたり温め続けてきた企画だ。5月TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。

▼コメント全文
■主演・染谷将太
自分が吉田監督と出会ったのは高校生の頃でした、素敵な作品と素敵なお人柄に惚れてから長い年月が経ち、この度お話を頂いた時、驚きと喜びに溢れました。そして頂いた台本の題名が「廃用身」でした。久坂部先生の衝撃作を吉田監督が実写化、
もはやある種の恐怖を感じました。とんでもない作品になるなと。
それと同時に漆原糺という主人公を演じる恐怖にも襲われました。
正義と悪は曖昧なものだという事は様々な作品で語られてきました。しかしこのような切り口から描かれ、世に投げかける作品は無かったのではないでしょうか?社会的な意味も大いに含むこの作品を映画芸術として吉田監督は正々堂々と描き切りました。
1人の医師の、1つの症例のような人生を、皆様に目撃して欲しいです。
■吉田光希(監督) コメント
原作を初めて読んだときの感触は、今も消えずに残っています。
心がどこにも置けなくなる不安と同時に、自分の未来が冷たく、正確に切り取られた気がしました。 あの読後に立ち上がった名付けがたい気配を、映画という形で問い直したい──その思いが、長いあいだ自分を突き動かしてきました。
自由な映画表現を受け止め、原作を託してくれた久坂部羊さんに、心から感謝いたします。
この作品は、誰もが自身の未来を映し出し、息を潜めて向き合わざるを得ない問いを、優しく、しかし容赦なく投げかけます。
超高齢化社会の現実に直面したとき、ひとりの医師が下す選択を、観る人の皮膚の下まで、静かに届けたいと思いました。
どうか、目を背けないでください。
ここに映るのは、誰かの母でもあり、父でもあり、
やがてあなた自身でもある、避けられない現実です。
この問いが、それぞれの場所に残ることを願っています。
■久坂部羊(原作者)コメント
まさか映画化されるとは思いませんでした。
なにしろ「廃用身」が出版されたときの宣伝文句が「映画化、絶対不可能!」でしたから。
「切って楽になれるなら切ってほしい」は、私が現場で実際に聞いた言葉です。
介護に関わる方、介護に悩む方、すべての人に、常識の枠を取っ払ってこの映画を観ていただきたいです。

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