個人制作「無名の人生」鈴木竜也監督 衝撃のクリエイティビティは「悪魔のささやきの方を選んだ」【第1回ANIAFF】
2025年12月15日 16:30

名古屋市で開催中の「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」国際コンペティション部門で「無名の人生」が12月15日、ミッドランドスクエア シネマにて上映され、鈴木竜也監督が上映後トークを行った。
本作は、鈴木監督が、個人制作で1年半かけて完成させた長編アニメーション監督デビュー作。仙台の団地で暮らすいじめられっ子の孤独な少年が、ある転校生との出会いをきっかけに、アイドルを夢見るようになり、思いがけず成りあがっていく。源氏名や蔑称などさまざまな呼称で呼ばれながらも「誰からも本当の名前を呼ばれることのなかった男」の100年の生涯を、さまざまな社会問題を背景に、それぞれ主人公の「別名」を冠した10章で描く。

歌舞伎町のバー勤務の傍ら、コロナ禍で持て余していた時間でアニメーション制作を始めたという鈴木監督。「どこかのインタビューでは、『やることがなかったから』みたいに、ちょっ天才っぽく言ってた気がしたんですけども(笑)。もともと映画監督を目指していたので、なにか作品を作りたいな、そういう欲から、溜まっていたものの出し方がわかり始めたような感じです」と振り返る。
短編「MAHOROBA」が国内の自主映画祭で数々の賞を獲得したが、「ずっとここをループするのかなってちょっとモヤモヤしたところがあった」と吐露。「映画好きなので、映画は長編だろう、そんな自分の気持ちに気づいて、そのままの勢いでクラウドファンディングを始めて、内容もろくに決めぬまま制作し始めました」と初の長編制作のきっかけを明かす。
アイドルや暴力など実写表現ではタブーとされるような題材も「アニメーションにすることによって、それがポップに表現もできてしまう怖さと楽しさに魅了された」といい、「クラファンでお金集めて、生活費を節約するために実家の仙台に帰って、アニメだけ作れると思ったら、もう楽しくて楽しくて」と没頭したそう。

全10章の本作の物語の分岐点は2025年だそうで、その後の未来から衝撃的なラストにかけては「ホストのことなど自分が知っていたり、興味があるものを題材にしていましたが、そこから先は未来の話になっているので、全部想定外。悪魔と天使だったら、常に悪魔のささやきの方を選んで展開する感覚がありました。それで、自分も見たことのないものが見れるかな」と、敢えてわかりやすく安全な道は選ばなかった。
長編第1作「音楽」で注目を集め、現在「ひゃくえむ。」が公開中の岩井澤健治監督が本作をプロデュースした。「通れない道をゴリゴリと開拓していった方。それで相談したら『俺がプロデュースする』って言っていただきました。もう男の中の男。(岩井澤監督の)ロン毛が角刈りに見えました」と述懐する。
制作過程を振り返り、「実家の母がご飯を食べさせてくれたり、栄養ドリンクを補充してくれたり、情けないんですけど、タバコも買ってもらったり……僕が1人で作ったという証人が母しかいなかったので、ブルーレイの特典映像として、僕とお母さんが実家で40分ぐらい対談している映像が見られます」とアピールして会場を笑わせた。
「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」(ANIAFF)は12月17日まで、愛知県名古屋市で開催。チケットは公式サイト(https://aniaff.com/)で発売中。
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