「ベネデッタ」ビルジニー・エフィラが、濱口竜介監督をべた褒め パリ撮影の新作「急に具合が悪くなる」で主演【第22回マラケシュ国際映画祭】
2025年12月10日 09:00

第22回マラケシュ国際映画祭で、キアラ・マストロヤンニとともにトークに出席したビルジニー・エフィラが、この夏撮影を終えた濱口竜介監督の新作「急に具合が悪くなる」について触れた。
©︎B.Dauchez MIFF2025トークの内容は、監督と俳優のコラボレーションについての流れで、彼女はやはり撮影を終えたばかりのアスガー・ファルハディ監督(「Histoires Parallèles」)と濱口監督の演出の例をあげ、「ファルハディ監督はとても緻密な演出をする監督で、どう動くべきかなど細かく指示される。ですからそこにはあまり自由がないのですが、それによって、他の俳優とのアンサンブルなどで自分が想像していなかったことが生まれる。そこが面白いところです。濱口監督のやり方はとても特異で驚きました。撮影前にみんなで集まってたくさん本読みをするのですが、感情を込めずに読むのです。それを繰り返していると、なんというか、お腹がぐるぐる鳴っているような感じに陥るんです(笑)。そこから何かが内側に染み込んでいくというか。撮影の雰囲気もとても静かで独特でした。日本語を勉強して臨みましたが、素晴らしい経験でした。特別な魅力を持った監督だと思います」と語った。
ちなみにファルハディ作品もパリを舞台にした仏、伊、ベルギー合作で、エフィラの他にカトリーヌ・ドヌーブ、イザベル・ユペール、ピエール・ニネ、バンサン・カッセルらが名を連ねる豪華なキャスティング。濱口監督ともども、2026年のカンヌ国際映画祭を狙う強力作と言えるだろう。
©︎B.Dauchez MIFF2025トークの翌日には、彼女に取材する機会を得たのだが、こちらが日本人だと言うと嬉しそうに、覚えたばかりだという「タバコを吸ってる」、「素晴らしかったです。胸に響きました」といった日本語を披露してくれた。さらに、「本当に濱口監督と仕事ができて、言葉にできない喜びを感じました。その繊細さ、社会に対する眼差し、内省的なものに関する深い表現、俳優として多くのものを学んだ気がします。撮影は驚くほどシンプルで、スタッフ全員がこの世界に入り込み、カメラは最良の場所に置かれて、同時に、他の撮影に比べてとても自由な雰囲気がありました。日本映画というわけではないですし、パリが舞台ですからフランスっぽいのですが、とても異なるものがありました。たしかなのは、俳優の仕事がただ「スタート」と「カット」の間だけではないことを実感させられたこと。とても綿密な準備をするなかで、まるで芝居の一座のような連帯感が生まれるのです。そこから、この監督ならではのマジックが生み出されるのだと思います」と、称賛の言葉が止まらない様子だった。
マラケシュではまた、彼女がジョディ・フォスターと共演したレベッカ・ズロトヴスキ監督の新作「Vie Privée」が披露された。エフィラ扮するポーラは、セラピスト、リリアン(フォスター)の馴染みの患者であったが、ある日突然亡くなり、リリアンに動揺を与える。「わたしは死人なので、小さな役ですよ」と笑うエフィラだが、その存在が映画全体に影響を与える重要な役どころだ。
©︎B.Dauchez MIFF2025ポール・バーホーベンの「ベネデッタ」(2021)で国際的に高い評価を受け、アリス・ウィンクール監督の「Revoir Paris」(2022)では、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞主演女優賞を受賞。いまやフランス映画を牽引する俳優のひとりである彼女は、2026年にその評価がさらに増すことは間違いないだろう。(佐藤久理子)
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執筆者紹介
佐藤久理子 (さとう・くりこ)
パリ在住。編集者を経て、現在フリージャーナリスト。映画だけでなく、ファッション、アート等の分野でも筆を振るう。「CUT」「キネマ旬報」「ふらんす」などでその活躍を披露している。著書に「映画で歩くパリ」(スペースシャワーネットワーク)。
Twitter:@KurikoSato
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