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北村匠海、寝ず食べずで役作り「あえて自らを消し去るような演技」に挑む 内山拓也監督新作「しびれ」

2025年11月22日 21:45

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北村匠海
北村匠海

開催中の第26回東京フィルメックスで、コンペティション部門作品の一本である内山拓也監督の新作「しびれ」が、11月22日有楽町朝日ホールで世界初上映され、主人公・大地を演じた北村匠海、大地の幼年期を演じた穐本陽月、少年期を演じた加藤庵次、榎本司、そして内山拓也監督が上映前の舞台あいさつに登場した。

佐々木、イン、マイマイン」(20)をはじめ、現実に抗う若者の肖像を描いてきた内山拓也監督の新作「しびれ」は、監督自身の自伝的作品として、新潟を舞台に、幼少期から家族の愛に飢え、言葉を発することができなくなった男・大地の受難と、自身を取り巻く状況との和解を、母親との確執を軸に描き出した作品である。主人公・大地の青年期を体当たりで演じた北村、そして幼年期・少年期を演じた3人の若き俳優たち、さらに彼らの演技を大胆な演出で映し出した内山監督の姿を一目見ようと、会場には多くの観客が詰めかけた。

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MCの紹介で登場した5人を代表し、まず内山監督が来場した観客への感謝を述べ、その後、北村からは1年前に撮影していた本作が東京フィルメックスという映画祭で上映されることへの喜びが語られた。

まず、既存の作品と本作品の主題の変化について内山監督に質問が投げかけられた。内山監督は、人生を歩む中で「自分は一体何者なのか」と自問するタイミングが訪れることを強調したうえで、本作の制作はまさにそうした時期に至った中で行われたこと、そして本作を通して、これまでの作品に見られるような“過去の掘り下げ”以上に、“未来の話”をしたかったと述べた。

続いて「監督の思いをどのように受け止めたのか」という問いに対し、北村は「アンダードッグ」(2020、武正晴監督)を撮影していた時期に内山監督と出会い、共に映画を作りたいという強い想いを抱いたと語った。そして、内山が人生で初めて書いた脚本である「しびれ」に向き合い、何度も話し合いを重ねる中で、その情熱に胸を打たれ、「誰よりも本作を愛そう」という思いで参加したと述べた。

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さらに具体的な一例として、本作では「これまでの北村匠海の姿を、あえて自ら消し去るような演技」を目指したことを挙げた。そうした苦闘があったからこそ、本作を初めて鑑賞した際に「内山監督やスタッフのみんなと出会えたこと、この作品に出合えたことが本当に良かった」と強く感じたと振り返った。

「自身を消す」という演技メソッドについて北村は、役者は8割が技術も含めた“役作り”によって成立し、残りの2割は、自分自身が歩んできた人生や感じてきたこと、言葉にしてきたことといった“個性”で成り立っていると述べた。そのうえで本作では、その2割にあたる“自分の個性”をとにかく消す作業に従事したことを明かした。具体的には、“心の枯渇”が非常に重要であったため、寝ない、食べないといった行為を伴う役作りを通して、大地という役と向き合ったという。こうした取り組みにより、本作は北村史上一番(目の下に)クマが出ている状態”で臨む必要があったと振り返った。

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北村をはじめ、大地を演じた4人の俳優が勢揃いしたことを踏まえ、俳優の起用理由について問われた内山監督は、何カ月も時間をかけてオーディションを行う中で、表情以上に“目の力”を重視したと述べた。さらに、子役への演出として、青年期を演じる北村と同じように接したことで、「子どもたちは世界を一番よく見つめている存在だ」と気づくことができたと語った。こうした内山の発言に呼応するかのように、榎本、加藤、穐本の3人からも、監督への感謝の言葉が口々に述べられた。

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3人の演技について北村は、「本当に素晴らしいの一言」と評価したうえで、彼らの“ピュアな”演技に応えるためにも、改めて「自分自身を消す」必要があったことを強調した。スクリーンに映る三人が、目の前で起きていることや、考えていること、言葉にしたくてもできない現実に真正面から向き合っている姿に触れ、「まぎれもなく皆、大地だった」と感激したという。

そのうえで北村は、自身の役割は3人の演技を受け継ぎ、4人目の大地になることであり、さらにそのバトンを内山監督という“5人目の大地”へと手渡すことだったと語り、本作が“一人の人間”をここまで純粋に連続して描くことのできた、稀有な作品であることをアピールした。

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最後に北村からは、観客に向けて「大地という人間を抱きしめてあげられる一人に、ぜひなってほしい」というメッセージが伝えられた。そのうえで、本作はものすごくソリッドで、この場から逃れられないような閉鎖感を覚えるかもしれないが、最終的に示した“愛の答え”が必ず観客に届くはずだと信じている、と期待が述べられた。また内山監督は、本作がフィルムで撮影されていることに触れ、その“物質的な手触り”を感じてほしいと語るとともに、「光の中へ、前へ前へ」という思いを込めた118分の作品であると締めくくり、場内は温かな拍手に包まれた。

第26回東京フィルメックスは11月21日~11月30日まで、有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町で開催。

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